英雄三国志(HJ)


オリジナルタイトル 英雄三国志
出版社 HJ
プレイ人数 4人以上
オリジナルデザイン

デザイン

今野千尋

小泉るう

難易度(1〜5)
ソリティアー度(1〜5)

 

 このゲームは三国志を題材にしたマルチプレイヤーゲームです。元々「旌旗蔽空」という名前でタクテクス39号に付録として付いてきたゲームをリファインしたゲームです。私は「旌旗蔽空」をプレイした事がありませんが、ルールを読んだ感じでは「きちんとシミュレーションゲームになっている」と思いました。吉凶札を使わずにイベントを起こす奴(ヘクスの上を天命ユニットが移動する、アレ)とか、結構好きです。ただ個人的には、ここまで細かくルール化してしまうとプレイしづらくなるのではとも感じました。マルチプレイヤーゲームは簡単な方がプレイヤーを集めやすいですから。私は「戦国大名」程度までが限界だと思います。ただその頃のこの世界を見てみると、「パックスブリタニカ」とか難しい多人数ゲームが登場してますから、それが時代の趨勢だったのかもしれませんが。

 それはさておき、「英雄三国志」は元になった「旌旗蔽空」が色濃く残っています。基本のシステムとかはほぼ同一ですし、雰囲気が一緒というが何よりそれを語っています。ルールの細かさも勝るとも劣らずと言う感じでしょうか。

 「英雄三国志」は基本的に歴史のシミュレーションを目指しています。他の言い方をすればヒストリカルを目指しています。ですから例えばシナリオにフリーセットアップの物はありません。これはシステム的に不可能という事もあります(親族武将の存在とかが理由)が、このゲームの目指している方向の為でしょう。もう1つ有名な三国志のゲームとしてエポックの「三国志演義」がありますが、このゲームは逆に三国志をテーマに多人数ゲームを楽しむみたいな所もあり、どちらかと言えばフリーセットアップの方が楽しめる感じです。この2つのゲームは非常に対称的だと言えるでしょう。まあ「旌旗蔽空」のデザイナーはかなり「三国志演義」を意識していたみたいですから(タクテクス39号参照)、当然でしょう。

 私としては「英雄三国志」の方が好感が持てます。「英雄三国志」の方が「三国志演義」よりもかなりオーソドックスな作りをしているので、やり慣れているというのも理由ですし、例えばく曹操の配下に張飛がいるとかいうシチュエーションは納得がいきません。やはりヒストリカルに越した事は無いので、「英雄三国志」の方がよく見えます。

 マップはエリアで構成されています。かなり広いところまでカバーされていて、今で言うベトナムまで入っています。さすがに倭は入ってませんが。その他に蛮族エリアもマップに入っているので、かなり広いです。各エリアには国力と国名があり、都市のあるエリアには都市があったりします。基本的に国力1で収入1あるので、国力が多い方が有利である事は言うまでも無いでしょう。

 軍勢はポイント型で、1戦力を雇うのに5資金ポイントを必要とします。実は国力数は結構少ないので、資金が無いと一挙に雇うのは不可能でしょう。特に戦闘で軍勢が全滅したりした後には無理でしょう。無謀な戦争は消滅を招きます。

 特徴のあるルールでは「交渉」があります。これは普通のゲームで口頭で行われるものの代わりに武将とカードを使って行う物で、これにより同盟や強引な和平(戦争した直後に行ったり、絶交状態でもできる)したりできるものです。

 こうしてみるとこのゲームはヒストリカルな三国志をシミュレートしていると言う点ではかなり出来が良く、成功していると思います。気分も三国時代の群雄になり楽しめます。

 但しこのゲームにも私なりの不満が多数あります。例えば「市街戦」です。これはクーデターの際に起こる物で、都市のマップが用意されていて、この中で戦闘を行います。言ってみればこれは「信長の野望」とかの光栄ゲームの攻城戦みたいな物です。これは雰囲気はあるものの、戦略を主眼としたゲームに於いては蛇足と言える物でしょう。面倒ですし。まあ派閥が発生しなければ特に起こる事は無いものの、是非オプションルールにしてもらいたかったと思います。

 官位のルールもオプションにしておいてもらいたかったルールです。はっきり言って他人に説明するには難しい物だと思いますから。よくルールを知った者同士の場合は是非使いたいルールなんですが、初心者には面倒ですよね。

 あと、このゲームは時間がかかる割にはなかなか進みません。交渉とか、他のゲームならば「頼むよ」「はいよっ」で終わる物が時間がかかるのです。その為かシナリオも10ターン以上終わらないことは稀です。

 シナリオも面白そうな物は5人以上必要になります。4人だと三国鼎立の物しかありませんので、できれば5人以上のシナリオをお勧めします。やってみても4人シナリオは紛れが少なく、単純に楽しめる展開にはなりません。あと、3人用のシナリオがあれば(地域限定の練習シナリオでも)良かったかもしれません。このゲームの目指している所とはちょっと違うかもしれませんが。

 このゲームは少々の欠点はあるものの、非常に優れた三国志のゲームなので、是非やってみる事をお勧めします。

 

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