香港攻略戦 

 MicroGames “The Siege of Hong Kong” リプレイ 

      

 太平洋戦争初頭の香港島攻略戦を扱うゲーム。シーケンスは単純で、移動戦闘の繰り返しに、日本軍のAMターンには移動後の砲爆撃が入るだけである。ここに所属部隊ルールが加わるほかは、補給の概念もない。ただしPMターンではユニットの意動力がAMターンの半分になる。一般のユニットはZOCを持たず、戦線は流動化しやすい。集中攻撃のルールがあるので後ろに回り込まれないように戦線を張ることには意味がある。いったん乱戦に陥ったら大損害が出るだろう。ソロプレイではあるが、前もって以下のとおり作戦方針を立てておく。

 日本軍の作戦方針最終的には香港島を制圧可能であろうが、15ターンの時間制限があるのである程度時間に追われながらの戦闘になる。上陸直後の敵が分散している状態で可能な限り各個撃破に努める。左翼第229連隊は龍背半島の制圧に向かい、その後スタンレーを経て南部海岸線沿いに西進する。右翼第230連隊はヴィクトリア市街に圧迫をかけ、イギリス主力を拘束する。中央第228連隊は山地帯を突破し、両翼と連携しつつパーカー山・ジャネディス看視山を抜き、ヴィクトリア・アバディーンを窺う。増援は適宜、敵最弱部をつくような形で投入する。

  イギリス軍の作戦方針兵力的には上陸する日本軍に圧倒されているわけではない。防御に関しては所属部隊による影響がないが、攻撃に関しては国籍・所属部隊が異なると攻撃力を合計することは出来ないルールがあるので、状況に恵まれてもせいぜい2個大隊をもっての反撃となる。それゆえ占領された地域を奪回するのは困難なので、出来るだけ早く、出来るだけ上陸地点に近いところで戦線を形成するのが時間稼ぎにつながる。予定防衛線はノースポイント〜タイタム湾湾頭。その後はヴィクトリア市街〜南部海岸線の市街地スタンレーもしくはアバジーン間まで防衛線を下げる。

 12/8 0340 開戦命令「ハナサク、ハナサク」

 対英戦開始と同時に日本軍は第38師団を中心とする第23軍による香港攻略作戦を発動した。作戦は苦戦が予想され九龍半島制圧に10日、香港島制圧に3日を予定していた。しかし要塞線ジン・ドリンカーズ・ラインもたいした抵抗も無く突破。結局12/13には九龍半島はすでに制圧されていた。わずか6日で半島を制圧した第23軍は、5日間の準備期間の後、香港島への上陸作戦を開始した。

  12/18 PM 1ターン

 ノースポイントから水牛湾にかけての5Km弱の海岸線に第38師団の3個連隊(第228、第229、第230連隊)が上陸を開始。次々と上陸成功を告げる信号弾があがる。上陸地点にはラジプット第7連隊第5大隊を中心とした英連邦軍1個大隊相当が海岸線に張り付いている。日本側は全部隊を確実に上陸させるため、自動的に上陸に成功した部隊も友軍支援に回り他部隊の上陸予定海岸でがんばっている英国軍を攻撃する。結果、英軍3個中隊が壊滅。唯一戦闘による全滅を免れた英軍最右翼のロイヤル・ライフル大隊B中隊も損害をこうむってコリンソン山方向へ後退する。海岸線で生き残った英軍も市街地を放棄し山地へ後退。後方地域の英軍部隊は前線へと展開を急ぎバトラー山山麓より西方の平地にはすでに1個連隊程度の英軍戦力が集結しつつある。

  12/19 AM 2ターン

 日本軍最右翼の第230連隊がバトラー山を攻撃、バトラー山山頂を奪取に成功。砲撃支援の効果もありジャディネス看視山上の1個中隊も後退させ、これも占領。中央では第228連隊がパーカー山を集中攻撃し、1個中隊を壊滅させ、同地を占領。左翼第229連隊はコリンソン山を回りこむように前進、ロイヤル・ライフル大隊B中隊と中国系住民が中心の香港義勇隊がこもるコリンソン山を集中攻撃し2個中隊を全滅させる。英軍もバトラー山西方の平地に3個大隊(パンジャブ14連隊第2大隊、ロイヤル・スコッツ大隊、ウィニペグ擲弾兵大隊)を集結。コリンソン山東部に孤立していたミドルセックス機関銃大隊D中隊は防御拠点を放棄し、敵中を突破、パーカー山南部に集結中のロイヤル・ライフル大隊に合流する。この時点で英軍はヴィクトリア市街東よりタイタム湾へつながる戦線を確保する。

  12/19 PM 3ターン

 戦線が出来たことで日本軍の前進速度も鈍る。タイタム湾湾頭でロイヤル・ライフル大隊が守備する防衛線を第229連隊が攻撃。中央でも第228連隊がパーカー山付近で攻撃を行い英軍防衛線を1km後退させる。ウォリス東部旅団司令部もタイタム湾沿岸へ進出し、前線で指揮をとる。英軍はジャディネス看視山付近に2個大隊相当を展開させており、一方対する日本軍は第230連隊第1大隊1個が守るのみだが、本国兵部隊、インド人部隊、カナダ人部隊間との連携が取れず比較的脆弱な日本軍戦線に対しても反撃が出来ない。

  12/20 AM 4ターン

 中央部の山地では激しい戦闘が繰り広げられる。第230連隊は、駆逐艦HMSトラキアン乗員の水兵とラジプット第7連隊の生き残り部隊が防御しているバトラー山南方で攻撃を行う。この攻撃でインド人部隊は全滅するが、水兵たちの頑強な抵抗により第230連隊第1大隊第1中隊も40名あまりの死傷者を出す。結局午前中をかけた戦闘で英軍は譲らず、香港義勇隊2個中隊が増援に駆けつけ日本軍の攻撃は頓挫する。さらにその南、パーカー山とタイタム湾間の平地ではカナダ旅団、香港歩兵旅団、香港義勇部隊の各部隊所属の3個中隊が守備していたが、彼らは第229連隊による攻撃を押しとどめ日本軍が一方的に損害をこうむり、英軍が勝利をおさめる。

  12/20 PM 5ターン

 日本軍は午前中からの攻撃を継続。午前中はあれほど健闘していた英軍諸隊は疲れを見せ始め、相次いで戦線を後退させる。午後に入ってからの戦闘で英軍部隊は約150名の損害を出している。

  12/21 AM 6ターン

 じりじりと戦線が動く。対面する英軍が比較的弱い第229連隊がスタンレー方面を目指しつつ英軍右翼突破を図る。ウォリス司令部とカナダ人部隊を激しく圧迫し、バイオレット・ヒル方面への突破口が開く。イギリス側は時間稼ぎのため応急に香港義勇隊100名ほどをここに派遣。しかし対面するのは無傷の日本軍400名である。中央ジャディネス看視山の付近では第228連隊がこれもカナダ人のウィニペグ擲弾兵大隊を攻撃。攻めるに難い地形でもあり、消耗戦となる。現在のところ日本軍では第228連隊第1大隊が最大の犠牲者を出している。

  12/21 PM 7ターン

 第230連隊第3大隊、第229連隊第3大隊及び鈴川工兵隊が日本軍増援として海岸に到着。しかし予備兵力を生かすには戦線を拡大しなくてはならない。第229連隊によるイギリス軍右翼への攻撃が続く。イギリス軍右翼はこれによってぼろぼろになるが、死力を尽くしての抵抗は日本軍にも多大な損害を与える。簡単に突破できるかと思えた第229連隊だが、英軍が何とかこの日の午後をしのぎきる。他の戦線に動きは無い。

  12/22 AM 8ターン

 後半戦に突入。増援の到着を受けて第228連隊第1大隊は後方で休養。第229連隊はスタンレー山〜バイオレット・ヒル間で英軍2個中隊を粉砕。ついに突破口を開く。イギリス側は戦線後退を決意。バイオレット・ヒル以東を放棄。ウォリス東部旅団司令部もレパルス・ベイへと後退。ヴィクトリア〜レパルス・ベイ間で戦線を再設定。孤立するスタンレー市街にはミドルセックス機関銃大隊B中隊を送る。戦線北部では第230連隊は3個大隊がそろったところでロイヤル・スコット大隊に対する攻撃を開始。ところが兵力的に圧倒的に不利なのにも関らずイギリス兵たちは攻撃を退け意地を見せる。

  12/22 PM 9ターン

 戦線を下げたイギリス軍を日本軍はぴったりと追撃。防衛線が整わないうちにと、全戦線に渡って日本軍の総攻撃が行われる。北方第230連隊は引き続きロイヤル・スコット大隊を締め付け、ついにはこれを後退せしめる。中央第228連隊はローソン西部旅団長とウィニペグ擲弾兵大隊が守備する黄泥桶山峡を攻撃し、あっさりここを確保。これにより右翼が後退したウィニペグ擲弾兵大隊C/D中隊は日本軍中に取り残されるのを避けてニコルソン山へと後退。さらに南方では第229連隊がレパルス・ベイを見下ろす丘上の機関銃陣地に突撃をかける。ここはウォリス司令部中隊とミドルセックス機関銃大隊C中隊が守備していたが、婦女子の疎開場所でもある香港ホテル別館があるためか、激しく抵抗。両軍ともに100名程度の損害を出す激戦となる。また第229連隊第1大隊は、スタンレー市郊外へと到達する。市内ではミドルセックス機関銃大隊B中隊が不気味な沈黙を守っている。

  12/23 AM 10ターン

 この日の朝は、スタンレー市街に対する砲爆撃から始まった。第229連隊第1大隊は砲撃支援の中前進を開始するが、機銃掃射の前に攻めあぐねる。しかしイギリス側にとってもこの勝利の代価は大きく、スタンレー陥落は時間の問題となった。レパルス・ベイの機関銃陣地に対する第229連隊による再度の突撃は、再び英軍の粘り強い抵抗に食い止められるが、イギリス軍側も損害大きく昼前には陣地を放棄して後退した。北方での第230連隊所属2個大隊によるロイヤル・スコット大隊に対する攻撃は大成功をおさめ、2個中隊を失ったイギリス軍はヴィクトリア市東端郊外に設定した機関銃陣地まで撤退。これにより第230連隊の3個大隊に攻撃されうる体勢になったパンジャブ大隊は戦線最左翼から中央へ移動。英軍は戦線を整理しなおし、ヴィクトリア市〜ブリック・ヒル間での戦線を再度設定する。

  12/23 PM 11ターン

 スタンレー市街が今日1日で陥落する。香港島中央部では島の最狭部で防御するイギリス軍を日本軍が攻撃する。攻撃担当の第230連隊と第228連隊がそれぞれ金馬倫山〜ブリック・ヒル間の守備隊とヴィクトリア市郊外の機関銃陣地それぞれに対する攻撃を行う。最終防衛ラインともいえる両地点双方でイギリス軍は頑強に抵抗し日本軍にも多くの損害を出させる。午後に入ってから戦線は膠着したままである。

  12/24 AM 12ターン

 第229連隊が戦線最左翼へ移動。鈴川工兵隊の支援を受けつつ金馬倫山〜ブリック・ヒル間を守る駆逐艦水兵と機関銃中隊に攻撃を行う。この戦闘により水兵たちは損害を被りつつも、接近してくる日本軍工兵隊に果敢な反撃を行い何とか地点を守りきる。しかしこの勝利も空しく、戦線北方でヴィクトリア市郊外の機関銃陣地が陥落、ローソン西部旅団長指揮下の部隊が後退したことによりイギリス軍は戦線をさらに後退させざるを得なくなった。日本軍はヴィクトリア市に突入。戦線はヴィクトリア市〜金馬倫山〜ベンネッツ山のラインへ移動する。

  12/24 PM 13ターン

 第229連隊は鈴川工兵隊の支援の下、ウォリス東部旅団長が直卒する最左翼ベンネッツ山を攻撃。イギリス軍の敢闘の前に鈴川工兵隊は大損害を被って攻撃は撃退される。中央では第228連隊が水兵と機関銃中隊の残余が立てこもる金馬倫山を攻撃。これを難なく壊滅させ、同地に日章旗を掲げる。第230連隊は右翼にあってヴィクトリア市で市街戦を展開。パンジャブ大隊B中隊を壊滅させ、ローソン西部旅団司令部中隊とミドルセックス機関銃大隊Z中隊を後退させる。イギリス側は、一部で頑強な抵抗を示し、日本軍に多大な出血を強いてはいるものの、その損害はもはや耐えがたく戦線はぎりぎり崩壊を免れている状態である。

  12/25 AM 14ターン

 この日の朝からのヴィクトリア市での市街戦は双方とも100名ほどの犠牲者を出している。市街地では英軍は日本軍に地歩を譲らなかったもののミドルセックス機関銃大隊Z中隊が壊滅。中央では第230連隊第1、第2大隊がパンジャブ大隊C中隊を壊滅させ、山地を前進。香港島のイギリス軍司令部、マルトビー少将の香港要塞司令部に対する攻撃位置を確保する。第229連隊は3個大隊をもってベンネッツ山の英軍守備隊を攻撃。1個中隊を殲滅し、ここを占拠する。イギリス軍は中央のカナダ人部隊ウィニペグ擲弾兵大隊2個中隊を後退させ、内A中隊をマルトビー要塞司令部の支援に送る。

  12/25 PM 15ターン

 ヴィクトリア市での戦闘は午後中、イギリス軍が有利に運び、日本軍第230連隊が一方的に被害を被った。市の郊外でもインド人中隊が抵抗、双方が約40名の損害を出している。ここまで無傷の第228連隊第2大隊はマルトビー要塞司令部を南から抑える地点に攻撃を敢行し、ウィニペグ擲弾兵大隊C中隊を完膚なきまでに撃破、前進する。マルトビー要塞司令部に対する第230連隊第1大隊の攻撃はウィニペグ擲弾兵大隊A中隊の抵抗にあって、カナダ人部隊に100名弱の損害を与えるも占領ならず。第229連隊第3大隊は午前中に占領したベンネッツ山よりイギリス軍部隊を追撃、アバジーン前面でミドルセックス機関銃大隊D中隊を撃破。ウォリス東部旅団長がここで戦死している。これにより英軍右翼は消滅。アバジーン方面はがら空きとなる。

  終戦

 日本軍が香港総督府まであと1.5kmにまで迫ったところで、英軍は正式に降伏を申し入れる。戦線を維持する戦力はもはや無く、あと1日の戦闘で全島陥落するのは明らかな情勢であった。

 日本軍  VP : 20(拠点確保) + 32(敵部隊殲滅) = 52

 日本軍は重要な勝利(Significant Victory)を得た。おそらく南方作戦に重要なタイミングで第38師団を投入できるだろう。

 総評:

 日本側が史実よりかなり高いレベルの勝利を得た。日本軍進出線はVP的には史実と遜色ないので、イギリス軍部隊壊滅による得点が大きい。5:1の戦闘比でも前進を阻まれることが何度かあったように、特に日本側がサイの目で有利だったわけではないので、これはイギリス側の防衛プランの影響かと思われる。戦力的に有利な日本軍の利点を相殺するには、遅滞戦闘を行うのではなく、前面の狭い金馬倫山、黄泥桶山峡付近への早期撤退が必要だったのかもしれない。しかしこれはこれでCRT”R”でも出されたときにはあっという間に戦線に穴があくか、日本軍突出部への反撃を要求されるのだが。

 いずれにせよ手軽で、また上陸地点選択のルールもある等、異なった状況や作戦で何度もプレイできるゲームである。