ウォーゲーム初心者講座 

 という訳で、なぜか思い立って初心者用のゲーム講座なんかを書いてしまいました。
まあ私なんかが書かなくても立派な文がどこかにあるとは思うのですが、
新人の大挙襲来なんかを祈願いたしまして、書き記す事にします。

ウォーゲームとは

 ウォーゲームというのは簡単に言って戦争をテーマにしたゲームの事です。パソコンゲームでも多数出ていますので、殊更説明を必要としないとは思うのですが、敢えて説明しておきました。
 実は昔は「ウォーゲーム」と「シミュレーションゲーム」という2つの呼び方をされていました。使われ方はほぼ一緒なのですが、意味は違います。「ウォーゲーム」は戦争をテーマにしたゲーム、「シミュレーションゲーム」は何かを再現しようとしたゲームです。なぜこんな2つの呼び名があったかと言うと、厳密に区別しようとしたからではなく、「ウォーゲーム」は軍事色が強い名前ですので、特定の場合に使われるのは嫌がられたからです。例えば公共施設を借りる場合とか、一般人に自分の趣味を説明する時とか。なぜ違う意味の2つが同じ使われ方をするのかと言うと、昔は「ウォーゲーム」はほとんどが「シミュレーションゲーム」で、同時に「シミュレーションゲーム」はほとんどが「ウォーゲーム」だったからです。当時ウォーゲームのブームの時には戦争・戦闘をテーマにしていないゲームは一段下に見られていました。例えば経済ゲーム・スポーツゲームとかですね。また当時は特にルールが難しいゲームがもてはやされた時代でした。ウォーゲームの輸入代理店なんかが「初心者はテーマでゲームを選ばず、ルールが簡単なゲームからプレイしないと駄目」みたいなアナウンスをしていました。これを単純に「ルールが簡単なゲームは初心者向き、難しいゲームは上級者向き」と理解されていたのでしょう。ですのでルールが簡単なゲームはランクが下という感じでした。「ルールが難しくあらずんばウォーゲームにあらず」といったイメージでしょうか。今は「難易度が高いゲームが良い」みたいな観念が希薄になりました。その最大の理由は「全員がマニアで、難易度はあまり気にしない」というのでしょう。難易度を無闇に意識するのはやはり初心者の特権です。
 ちなみに「ウォーゲーム」と「シミュレーションゲーム」は全くの別の言葉です。意味をよく理解しないで使うと、突っ込まれます。

まずはプレイしよう

 この世界に足を踏み入れようとしているなら、ぜひ一度プレイされる事をお勧めします。プレイしてみればこの趣味が自分に合っているかどうかも判断できますので、無駄が省けます。多分近くにサークルとかあると思いますので、そこを訪れるのが近道です。誰か1人でも手の空いている方がいれば、簡単にプレイできると思います。最初はルールを教えてくれます(これを「インスト」と呼びます)。ルールを教えてもらうのは、自分でルールを読むのの数倍楽です。初心者はまず教えてもらった方が入り易いです。相手は十分に経験を積んだゲーマーですので、適切に教えていただける事でしょう。ちなみにマニアの専門用語なんかが出てきてしまう事がありますので、その都度その単語を説明していただきましょう。後の方でも解説するつもりですが。
 近くに無い場合は安めのゲームを購入するのが良いかと思います。昔は皆最初からルールを読んだものです。周りも初心者だけでしたし、努力と根性で覚えました。ですが手間も時間もかかりますので、あまりお勧めしません。先人の力を利用した方が手間が省けます。ですが周りにいなければ仕方がありません。ゲームはなるべく簡単な物を選びましょう。お勧めは最後の方でリストアップしておきます。簡単な物でないと、まずプレイできません。これは慣れの問題で、頭の良さとかは全く関係ありません。慣れてないとこの手のゲームのルールは理解できないのです。ですので無理をせずに簡単なゲームから始めましょう。
 全く知らない物を理解するのはとても難しいですが、1度プレイすればどういう物か理解できると思います。「百聞は一見に如かず」ですね。

ルールを読もう

 最初からルールを読んだ方には不要ですが、インストプレイしたなら次にやるのはそのゲームのルールを読む事です。ぜひルールを借りて読んでください。簡単なルールのゲームのはずですが、文章にすると結構な量があるはずです。まずは一通り読んでみて、何か疑問のある部分は後で詳しく読むと良いでしょう。簡単に説明された部分も、ルールに記載すれば難しく書いてあると思います。この手のゲームはこういう書き方をするのです。これもこの世界の常識だと思って読んでください。
 ルールにはプレイ自体に必要な「基本ルール」と、雰囲気を上げるための「特殊ルール」から成っています。(ここで言う「基本ルール」と「特殊ルール」はルールの分類法としてここで定義した物です。ルール自体に存在する「基本ルール」とか「上級ルール」という物とは違います。)例えば駒を移動する方法とかは基本ルールですが、「いついつまでこのマスには侵入禁止」とかは特殊ルールになります。基本ルールを覚えればプレイ自体に支障はないのですが、特殊ルールでその時代・状況とかを再現するわけです。当然特殊ルールも重要です。ですが「これは基本ルール」とか考えながらルールを読むと、別のゲームのルールを読む時に、頭の中で整理がつきやすいと思います。

ゲームを買おう

 ルールが読めるようになった所で、そろそろ自前のゲームを購入しましょう。前にも書きましたが、この世界のゲームには「難易度」という物があります。簡単なゲームは難易度1とか、通常数字で表されます。これは昔アバロンヒルを始めとした大手メーカーが10段階で難易度を表していた事に由来するものです。今でも難易度評価があれば、基本的に10段階評価され、数字が少ない方が簡単です。マニアだけの世界ですので、省略されている事も多いですので、お気をつけください。
 難易度が高いゲームは初心者にはまずプレイできません。インストされればプレイできるゲームでも、ルールを自分で読むとなるとかなりの難易度です。10段階評価で5くらいまでのゲームが良いと思われます。で、やはり最初は初心者らしく、難易度が低い物から購入するべきでしょう。などと書いていますが、実際購入する場合にはどれが良いのか分からないかもしれません。一応お勧めのゲームがありますので、これは後でリストアップしておきます。
 実物のゲームを見てみると、値段の割に安っぽい印象を受けるかと思います。紙の駒とペラペラなマップ、それにルールとが袋に入って3000円〜4000円とか。騙されているように思われるかもしれませんが、この種のゲームは結構高い物です。
 またショップで箱入りゲームに目が止まった方はお気をつけください。そのゲームは日本語のルールが無い場合が多いです。余程英語が出来る初心者の方でも、専門用語だらけのルールを読むのは難しいです。悪い事は言いませんのでやめておいた方が無難です。袋入りでも英語ルールしかないゲームはありますので、袋入りだからと安心してもらっては困ります。とりあえず外観に日本語で説明が書いてない物は間違い無く英語ルールです。またこの手のゲームは輸入品がかなりの量を占めます。気をつけないと英語ルールを読む羽目になります。で、マニアの方は英文ルールを読んでプレイしたりするのです。コアな世界ですね。

本を読もう

 歴史上の戦争を扱ったゲームの場合、その歴史の本を読む事をお勧めします。折角ゲームで擬似追体験できるのですから、その歴史に詳しい方がより楽しめます。歴史上では大敗した作戦がゲームでは逆に勝利できたりするのですから、いろいろ調べればより楽しくなる事と思います。もちろん歴史に詳しくなくても楽しめるのですが。
 また1度ゲームでプレイした時代の本を読んでみると、驚くほどその時代・場所の地理に詳しくなっている事が分かると思います。頭の中でゲームの地図が出てきたりして、内容が理解し易くなるはずです。これも良い方法です。
 事前でも事後でも良いですから、そのゲームのテーマに関する本を最低1冊は読む事をお勧めします。

専門用語を知ろう

 この世界には(他の趣味でもそうでしょうが)専門用語があります。通常は意識せずに使っていますが、敢えて説明しておきます。特に最初から独学という方は、専門用語を理解しないとルールを理解できません。で、いくつか重要な物を上げておきました。説明し易い順番で書いています。上から順にお読みください。

マップ マップはその名の通り地図を元にしたゲーム盤の事。ヒストリカルなウォーゲームはほとんどマップである。ちなみに硬い紙・板を用いた物を「ハードマップ」「ボード」、ペラペラの紙を用いた物を「ソフトマップ」と呼ぶ。昔はハードマップのゲームも多かった(AH・国産等)が、現在はウォーゲームは全てソフトマップである。
ユニット 「ユニット」とは将棋・チェスの「駒」と言えば分かり易そう。紙とか木とかで作られた駒である。ユニットの数をユニット数と言い、ユニット数が少ない物は比較的簡単なゲームが多い。ユニット数が多いゲームは際限無く多い。例えばSPI/DGの「第2次欧州大戦」は3000個以上ある。将棋の駒が両方で3000個ある事を想像してもらいたい。
ユニットには類義語が多い。「カウンター」「チット」「マーカー」と言ったところ。それぞれ違うのだが、初心者に極めて分かりにくく、説明も面倒なので割愛させてもらう。申し訳無い。
サイコロ サイコロはランダム要素としてよく使われる。戦闘結果を出すのにも使われるため、非常に重要な物である。なるべく自分に都合の良い結果を出す為、日々サイコロ振りの練習をすると良いだろう(笑)。ちなみになるべく大きい数を出せるようになる練習から始めると楽かもしれない(笑)。
ボックス ゲームが入っている箱。今は「ジップロック」と言われる口が閉じるようになっているビニール袋入りゲームが多いが、昔は多くがボックス入りであった。
また箱の絵を「ボックスアート」と言い、販売の良し悪しを握っていたりする。これはこの手のゲームは中身を見られないようになってて、外箱で判断するしかないという所からであると思われる。
〜級 ウォーゲームではそのゲームの規模によって「〜級」という表記をする事が多い。例えば戦争全体を表現するゲームの場合は「戦略級」、ある作戦全体を表すゲームは「作戦級」、1つの戦闘を表すゲームは「戦術級」といった感じ。但しユニットの規模やマップの縮尺に依存するので、上記の分け方は厳密には正しくないが、簡単に説明すればそうなる。
昔は「戦闘級」というジャンルを作る動きがあったが、それは戦術級で支障は無いと思われるので、結局廃れてしまった。
他にも「戦役級」「会戦級」とかある。時代により呼称が違ったりするので、結構面倒。
ターン・
フェイズ
野球で「イニング」と呼ばれる物のように、ウォーゲームには「ターン」と呼ばれる物がある。一連の手順を一回繰り返す事でターンが成り立っている。またフェイズと言うのはターンの中で行われる各手順の事。
こう書かれてもよく分からないと思うので、具体的に説明する。
あるゲームのターンは以下のようになっている。
1、A国の移動フェイズ
2、A国の戦闘フェイズ
3、B国の移動フェイズ
4、B国の戦闘フェイズ
このゲームではまずA国プレイヤーが移動をし、それが終わったら戦闘を行う。次にB国プレイヤーが移動をして、それの終了後に戦闘を行う。各々の手順を「フェイズ」と呼び、フェイズの途中で他のフェイズが入る事は無い。つまり移動中に戦闘を行うというのはこのゲームの場合は有り得ない。またこの4つが全て終了すると、「ターン」が終了した事になり、次のターンに入る。次のターンは上記手順を順番通りまた行うのである。またゲームの終了条件に「第10ターン終了後、ゲームが終了する。」のように書かれている事もあるので、その場合にはターンを10回行ったらゲームが終了するという意味になる。
ヘックス 「ヘックス」または「ヘクス」。マップ上に描かれた網の目で、正六角形の物をこう呼ぶ。正多角形を隙間無くマップ上に描けるのは正三角形・正方形・正六角形しかないので、網の目を使いたい場合はこのどれかを使う場合が多い。
正6角形は円に近く、移動の場合距離が正確に出やすいのでよく使われる。但し方向は四角形の方が自然に感じられるようだ。
ちなみにチェス盤のような四角形の場合は「スクエア」と呼び、ヘクスとは呼ばない。昔ファミコンの某ソフトで桝目が四角形でもあったに関わらず「ヘックス」と説明されていた為、誤解が広まった事もあった。
三角形の場合は何と呼ぶのかは残念ながら知らない。申し訳無い。
また逆に桝目で埋められていないマップには「エリア方式」とか「ポイントトゥポイント方式」がある。エリア方式は例えば日本地図の県境で区切られる感じの物で、ポイントトゥポイント方式は電車の路線図あたりを思い浮かべていただければ良さそう。
スタック スタックとはユニットをヘクスの中で積み重ねる事。将棋やチェスと違って、1ヘクスの中に駒を積み重ねる事が許されている。通常はユニットの規模やヘクスの縮尺に応じて許容量が決められている。例えば「2師団までスタック可」とか。スタックが自由なゲームの場合、焦点となるヘクスには山のようなユニットが積み重ねられる事もある。当然ゲームによってはスタック禁止という事もある。
移動 ユニットを動かす事。移動は、桝目の場合は桝目の中から隣接する桝目の中に移動する場合が多い。つまり辺の上を移動する事は少ない。また初心者用のゲームの多くは、将棋と違って、動かせるユニットは全て動かす事が出来る。但し「移動力」とか「オペレーションポイント」とかの限界値が設けられていて、それの許す範囲内での移動が可能である。通常侵入するヘクス(スクエア)の移動しにくさ(平地ヘクスなら1、山地ヘクスなら2とか決められている)に応じて移動コストという物を支払う事で移動が可能である。
戦闘 戦争のゲームの場合、通常「戦闘」と呼ばれる処理がある。戦略級・作戦級の場合は隣接するユニットを攻撃するという場合が多いが、戦術級の場合にはある程度離れたユニットを攻撃する。この処理により、相手のユニットを除去する事もあるが、逆に自分のを除去する場合もある。
作戦・戦略級のゲームの場合、隣接するユニットを絶対に攻撃しなければならないルールを「マストアタック」と言い、攻撃をしてもしなくても構わないルールを「メイアタック」と呼ぶ。
オッズ 「オッズ」というのは通常は「戦闘比」を指す。ウォーゲームでは戦闘力というのが各ユニット決められており、それの優劣を見る方法の1つがオッズである。
例えば戦闘力3のユニットが戦闘力1のユニットを攻撃した場合、「オッズは3:1」というように呼ばれる。これは防御側より攻撃側の方が3倍の能力を持つという事であるが、これはそのまま戦闘結果表に当てはめられるので、覚えておくと良いかもしれない。
ちなみに慣例として、オッズでは必ず最初の方が攻撃側で、後の方が防御側という表記になり、2:1といえば2が攻撃側、1が防御側である。また端数が出る場合は防御側に有利になるように切り捨て、どちらかを「1」にしてオッズを出す。例えば3:2の場合は1:1として扱うわけである。
オッズを使わないゲームには「ファイアパワー」とか「戦闘力差」を使うのもある。それらの説明は割愛。
ZOC 「ぞっく」と読む。「Zone of Control」の略。
ある軍隊が存在する時、その軍隊が存在する場所が何らかの影響を受けるのは分かると思うが、実際はその周りに広く影響を与える。この影響する地域を「ZOC」と呼称する。
ゲーム上ではユニットのある所に隣接するヘクス(またはスクエア)にZOCが及ぶ事が多い。「敵のZOCに侵入したら移動は終了する。」とか、様々な影響がある。
LOS 「ろす」と読む。「Line of Sight」の略。
視線の事で、これが通る・通らない(つまりそのユニットから見える・見えない)はとても重要。LOSが通れば射撃目標に出来るが、通らなければ目標に出来ない。通常戦術級ゲームに使われる。
初心者用お勧めゲーム

 初めてこの手のゲームを購入する場合、種類も多く、またルールが難解な物が多くて、どれを購入したら良いのか分からない場合が多いと思われます。そこで私がお勧めするゲームをここで紹介しておきます。これを参考にしていただければ、ある程度の目安になると思います。

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