トップページに戻る過去の観戦記に戻る観戦リストに戻る11年名古屋場所8日目

大相撲観戦ダイジェスト

仕切りをする森麗

 八百長問題の発覚により、大相撲は最大の危機を迎え、春場所の中止、5月場所は異例の技量審査場所となり、名古屋場所から本場所が復活した。むろん私の観戦も半年振りということになったのである。注目は大関魁皇の最多勝記録更新であったが、よもやこの場所が彼の最後の場所になろうとは・・・

 それはさておき、いつものように序の口から相撲を観戦する。下の力士の相撲を見るのはいろいろな意味で楽しい。むろん、有望株の力士はたくさんいるのだが、なかにはこれ以上の出世は厳しいだろうなと思う力士もいる。残念だが森麗は後者といえる。この日も吉澤相手にあっさりと体力負けを喫してしまった。

 新弟子のころから注目している大原が三段目まで上がってきた。兄の太源が先場所限りで無念の引退となったため、その分まで頑張ってほしいのだが、やはり三段目となるともう少し地力をつけないと厳しい。壁に跳ね返されることになりそうだが、彼の場合は先ほどの表現からすると前者に値するので期待したい。

 八百長問題で大量の引退、解雇者が出たため、幕下から十両に昇格した力士が続出した。そのなかでも早くも人気者になったのがチェコ出身の隆の山である。細身の筋肉質というソップ型だが、思い切りのいい取り口で幕下時代からファンを魅了してきた。この日も双大竜を下手投げで投げ飛ばし、大歓声を浴びていた。

十両でますます人気の隆の山
白鵬の前に出る力に安美錦は背中から倒れる  幕内では、人気の高見盛が今場所も元気なく、朝赤龍と熱戦を展開したものの、最後はすそ払いを食って土俵にバッタリ。足元もおぼつかないような放心状態で引き上げる姿は、ちょっと心配である。一方新入幕力士のうち、平成生まれ初めてとなる高安、元栃東の育てた富士東が好調でそろって勝ち星を上げた。

 通算勝ち星1048勝目を目指した魁皇は、同郷の琴奨菊と対戦したが完敗。2日後に引退したわけだが、この一番はなんだか新旧交代のような予感がよぎったのである。琴欧洲−豪栄道は立行司差し違えの際どい一戦で琴欧洲が辛勝。結びの横綱白鵬は安美錦を豪快に倒し、この日も強さを見せつけたのであった。