トップページに戻る過去の観戦記に戻る観戦リストに戻る10年名古屋場所9日目

大相撲観戦ダイジェスト

普通の着物姿の呼び出したち  この年の名古屋場所は、横綱白鵬が優勝インタビューで涙ながらに語っていたように「二度とない場所」であってほしいと、好角家の私も願うような異例づくめであった。野球賭博問題により、大関琴光喜、大嶽親方が解雇され、日本人ばかり幕内、十両力士が10人も謹慎休場となる異常事態で幕を開けた。

 NHKは大相撲中継を中止し、優勝賜杯はじめ優勝副賞はすべて辞退。懸賞金は永谷園をはじめ撤退が相次いでぐっと減り、ついには呼び出しの着物から「なとり」「紀文」「朝日生命」といったスポンサー名まで消えてしまう。ただし、本場所の雰囲気はなんら今までと変わることはなくホッと一安心した。

 三段目で貴乃花部屋の貴斗志と巨漢の大露羅(北の湖部屋)の対決があった。大露羅にがっちりとつかまってしまったが、逆に寄り立てて最後は投げで巨体を土俵にころがした。貴斗志はこのあと7戦7勝で三段目優勝を果たし、いよいよ来場所は幕下へと上がる。双子の貴月芳も頑張ってほしい。

 十両も幕内も土俵入りがやや寂しい。とくに十両はスカスカという感じになってしまう。この場所、野球賭博の拠点とされた阿武松部屋の力士に精彩がなく、再十両を果たした益荒海も初日から連敗続き。この日も気合は乗っていたものの、ベテランの栃乃洋にうまくさばかれて白星ならず。

十両も謹慎力士がいてスカスカの土俵入り
全勝対決となった白鵬−鶴竜  幕内前半は高見盛が登場。この日は玉鷲戦で懸賞金もついた。永谷園撤退の影響をもっとも受けたのがこの力士であろうが、懸賞があってもなくても土俵上のパフォーマンスは健在。この日は押し相撲の玉鷲のふところにうまく入り、そのまま寄り切りの勝利。懸賞金を受け取り、ふんぞり返って土俵を後にする。

 琴光喜がいなくなった大関陣はどうにもピリッとしない。同部屋で奮起してほしい琴欧洲も昨日の鶴竜、この日の栃ノ心とあっけなく敗れてしまい場所の興味をそぐ。横綱白鵬は連日磐石で、この日は全勝対決となった鶴竜戦も終始攻め続けていた横綱が強さを存分に発揮し、全勝を守った一番となった。