酒仙もどきの面白秘話 「底曳という名の居酒屋」 北海道網走市
北海道といえば、食べ物が美味しいというイメージがあります。海の幸も豊富で、毛ガニ、タラ、ニシン、ホッケ、シシャモ・・・書いていけばきりがないほどです。そんな海鮮を食べさせてくれ、とても居心地のよかった網走市の居酒屋さんを紹介します。ただし、来訪したのは1997年と15年も前で、今その店はありません。
店の名は「底曳(そこびき)」。オホーツク料理を銘打っている年配のご夫婦がやっている店でした。ここの親父さんがつわもので、私が一番美味しい焼き物を尋ねると、「そりゃキンキだけど簡単には勧められないね」と言います。どうしてか理由を聞くと、単純明快に「値段が高い」と。ならば安い焼き物は?と聞き返すと、「じゃあサンマでも焼くか」。こんな感じです。ただし、安いからといって安物ではなく、旬の脂が乗った美味いサンマだったことを覚えています。
また、冷酒を注文すると、目の前に一升瓶をドンと置き、適当に飲んでくれといいます。おかみさん曰く「これならどのくらい飲んだか分かるからね」。なんとも豪快というか、大雑把というか。夫婦そろってなかなかいい味を出していたこのお店も、すでに閉店してしまったそうで、再来訪かなわず残念でした。ただ、こういう店に旅先で出会えたのも、また旅の醍醐味といえますね。 |