酒と肴のオツな話
「珍味・酒盗(しゅとう)」
酒の肴で珍味と呼ばれるものはいろいろあります。今回は「酒を盗む」と書く「酒盗(しゅとう)」についてご紹介したいと思います。酒を盗むというのはいかにも大胆不敵なネーミングですが、「酒を盗んででも飲みたくなるほど酒に合う肴」ということから名づけられたそうです。
その正体は、カツオの内臓を塩漬けしたもの。よくイカの塩辛と比較されますが、酒盗はカツオ料理が名物の高知県が生んだ珍味で、なるほど酒飲み王国・土佐らしい逸品です。その塩辛さは半端ではなく、ちょっと口に入れてはすぐ日本酒が飲みたくなる、そして発酵食品らしい独特の風味を持っており、また口に入れたくなり、そのあとを日本酒が追いかける・・・この繰り返しに陥ってしまいます(苦笑)
本当かどうか定かではありませんが、戦国武将の上杉謙信は塩をなめながら酒を飲んでいたと言われています。酒盗はまさしくそんな感じ。ちびちびとやりながら、気がついたらどんどん酒が進んでいる、これぞまさしく肴のなかの肴と言うにふさわしい珍味です。もっとも全国各地には「しょっぱい」「塩辛い」で酒がグイグイと飲める珍味は山ほどありますけどね(爆笑) |