酒と肴のオツな話
「季節限定・セイコガニ」
その土地でしか食べられないものというのがあります。近年では流通の発達により、珍味と言われるものもほとんど手に入るようになりました。けれども、地元で食べるのがいちばん美味いに決まっています。とくに、海産物は海辺や港に近いところこそ新鮮で美味しい。それも、季節限定という食材であれば、なおさらありがたみも増すというものですね(笑)
前置きが長くなりましたが、ご紹介するのは「セイコガニ」です。ズワイガニは地域によって越前ガニとか松葉ガニとかいろいろなブランド名がありますが、セイコガニはズワイガニの雌のこと。別名は香箱(コウバコ)。雌なので、ふだん目にする豪快な雄ガニとは違って小ぶりで脚に身はあまり入っていません。しかし、セイコガニの真価は外子と内子にあります。とりわけ、プリプリとした卵はなかなかの絶品で、当然のことながら雄のズワイガニでは味わえないものです。
セイコガニも11月に一斉解禁となりますが、1月早々には早くも禁漁となって食べられなくなります。約2ヶ月間だけの季節限定の味覚であり、しかもあまり流通には回りません。ほとんどが地元での消費とのことです。少し大ぶりのセイコガニですと、身もそこそこ楽しめると同時に、外子、内子とバリエーション豊かに味わうことができます。もちろん日本酒にぴったり。しかも越前ガニなどと比べるとはるかに安価。時期に北陸に訪れれば、比較的容易に味わうことができる、酒の肴の逸品です(笑) |