同じ所の別世界で

 

 

 

 

 都会に『静寂』はない。

 止まることのない騒音、夜の闇を遮るネオンの光たち。人はそれを『不夜城』の表現する。

 そんな都会の中で、僕は一人駅のプラットホームに佇んでいた。

 別に今からどこか行こうっていうわけじゃない。帰路へ着くためにこうやって何もせずにただ電車を待っているだけだ。

 目の前には数本の線路が見える。そしてその線路の上をまるで一分一秒でも失うのが惜しいと言わんばかりに電車がひっきりなしに過ぎ去っていくのだ。それもただ過ぎ去って行くだけで、何の感動もなければ何も感じることさえない。

 

 無機な世界が続く・・・。

 

 こうやって駅のプラットホームに一人真夜中に佇んでいると悲しくなってくる。別に何かに対して悲しみを感じる訳じゃない。ただ漠然と得体の知れない物にその悲しみをぶつけているだけなのかもしれない。

 また向こうの方から電車のヘッドライトの光が少し暗めのプラットホームを照らす。そして、その電車が駅に止まって慌ただしく客たちを乗せると、そのまま何事のなかったのように出発して駅から走り去っていってしまうのだ・・・。

 

 ふと『静寂』が訪れた。

 

 本当に騒音の一つも聞こえない『静寂』だ。いや、静寂というよりかは『静けさ』と表現した方が正しいかもしれない。

 ただ、都会では絶対に感じることの出来ない瞬間が訪れた・・・。

 物音が本当によく聞こえる。

 こんな殺風景な都会の中で風のたなびく音や木々の声、虫達の鳴き声が聞き取れるはずもないのだが、その代わりといっては何だが過ぎ去る自転車の音、人の歩く音、そして夜の町で話に花を咲かせる人たちの声が周りから聞こえてくるのだ・・・。

 こういう声を聞いていると、自分は都会に住んでいるのだな、という気がしてくる・・・。普段は騒音や忙しさしか与えてくれない都会にも、こういう空間が存在するのか、と思うとフッと笑みが浮かんできてしまう。

 こんな些細なことにいちいち心を傾けている自分がおかしい・・・。

 こんなことを気にしたところで直ぐにその静寂はうち崩されてしまうのだ。でもその瞬間を堪能している自分がいる・・・。

 

 そっと目を閉じてみた。

 

 都会の機械的な音が四方八方から聞こえてくる。それも普段は轟音に掻き消されてしまう夜の静かな都会の情景が、だ。

 

 犬の吠える声。

 電線の微かに揺れる音。

 まるで自分の存在をも置き忘れてしまったかのような気配で過ぎていく人の足音。

 

 こんなのも都会にはあるのだな、と考えてしまう。

 自然とは違って都会は決して美しいとは表現しがたい。でも、それでもこんなものに耳を傾けてみるのもたまにはいいのかな? と考えてみたりする・・・。

 またプラットホームが電車のヘッドライトの光で照らされる。と同時に向こうからレールと車輪が摩擦する音が聞こえてきて、その音がどんどんと近づいてくる・・・。

 

 さあ、『静寂』はここで終わりだ。

 そして都会のもう一つの情景もここで終わり・・・。

 

 電車はプラットホームに止まると忙しく人々を乗せていく。そんな波に飲まれるようにして自分も電車の中へと入っていく。

 もうここはさっきまでのプラットホームとは別のプラットホームなのだ。あのプラットホームはほんの気まぐれで誰かが導いてくれた『同じ所の別世界』。

 もう僕は現実に戻ってきたんだ。そして、もしかしたらあの『別世界』にはもう行けないかもしれない。

 だけどもう一度そんな別世界に紛れ込んでみれたらいいな、と考えながら電車の奥の方へと入っていった。

 電車はいつの間にかプラットホームを後にしていた・・・。

 そして目の前に見えるのはネオンに照らされる『不夜城』だけ・・・。

 


 あとがき?

 ろうさん遅らせながらSSSの三万HITおめでとうございます! 本当に小説遅れてしません!!(逃走)

 そんなこんなで何か散文式の場合によっては手抜きとも見られかねない(?) 駄文を書かせて頂きました・・・。

 でも都会って個人的には本当に面白いと思います。何も考えずに見ていると本当にいつもいつも同じようにしか見えないのに、ふと何かの拍子に違う視点で見てみると、まったく違う別世界に感じてしまうんです。

 何かふと感じるそんな情景に驚きを表情で世界を見ていたりします・・・。

 もしかして都会って一つだけしかないように見えて実はいくつもの『別世界』を持っているんじゃないかな? なんて考えてしまうことがあります。

 だからそんな別世界に何かの拍子に迷い込んでみるのもいいのかな? なんて考えてみたりしています。

 機会があったらみなさんもそんな別世界に迷い込んでみて下さい〜♪ 結構楽しいですよ?

 そんなこんなでろう・ふぁみりあさん、改めて30000HITおめでとうです! このまま一気に40000、50000と駆け抜けて行っちゃいましょう♪ ということで以上シン・マーシーでした。でわでわでわ!



ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

異世界。
自分の知っている世界とは違う、ファンタジーワールド。

自分の目に見えているものが「世界」であるならば。
自分の知らないものもまた「世界」であるわけで。

異世界とか別世界なんてものは、自分が気づかないだけであるのかもしれませんね。


オイラもたまにふと感じることがあります。
「どうして自分がここにいるんだろうか?」と。

例えば家に帰る途中。
ふと立ち止まって、自分がこの場に存在していることに疑問を覚える。

別段、特にということもなく。
普通に自分の家で朝起きて、ご飯食べて学校まで歩いて授業受けて放課後になって今日は部活は休みだからそのまま何事もなく帰って今ここにいる。と、経過を思い出すことはできる。

けど、ただ漠然と。
もしかしたら、と自分がここにいない自分というモノを想像してみたりして。
もしかしたら、と自分がここにいない自分というモノを創造してみたりして。
ここにいる自分が、とてつもなくあやふやに思えて。


そんなとき、“異世界”を感じる。



現在。
というのは、過去から続く無数の選択からなる一つの答えだという。



もしも、と考えてみる。
もしも、何かひとつ過去の選択を異なっていたら?
もしも、この答えじゃなくて別の答えを導き出していたら?



ここに今、存在している自分。それと別に在る自分。
それが、オイラにとっての異世界なんだなーとか漠然と思ってみたりする。



自分が知らない何かを見つけたときに自分の知らない自分を見つけたりして。
だからヒトは異世界を求めて旅立っている。








などと、超級意味不明。久しぶりだからかもかも。(かもかもってナンだよ)


くぅ〜〜〜〜〜〜〜!
シン・マーシーさんありがとサンクスッ! これからも頑張りますんで、よろしく〜〜〜。
・・・って、頑張ってたコトあったか自分?



・・・つーか、戯言長すぎ。

(2001/09/02)