遺伝
「はい、これ。君の人生の予定表ね」
そういって医者は俺に薄っぺらい紙を渡す。
正直、気に食わない。
いくら親の遺伝や隔世遺伝の現れる確率がわかるからって、人生の生き方をわざわざ提示しなくても良いと思う。
確かに自分の中の才能がはっきりしたり、いつ病気になるかがわかる。
だけど、そんな人生の何が楽しい?
決まったことが無く不確定要素しかないから人生は楽しいんじゃないか。
だから、俺は人生の予定表を読まずに捨ててしまう。
そのことを友人に話したら、
「何でそんなもったいないことしてるんだ? 絶対君は損してるって。自分の才能をドブに捨ててるんだぞ」
と言われてしまったが…。
確かに出世もしてない平社員だし、社会的立場は低い。
だけど、俺から見れば上の奴らはただ機械的に生きてるだけにしか見れない。
実際、人生に絶望して自殺する奴が後を絶えない。
そんな事を考えながら俺は診察書を受け取る。
そこで俺は驚愕した。
「……ガンだって?」
そう、遺伝子の研究が進んでいる現在でも治すことが不可能なガンに冒されていた。
そして、人生の予定表を見れば避けることが出来た物。
しかし、不思議と絶望や後悔はしなかった。
今までの人生に満足はしてはいないが、他の奴とは比較できないぐらい楽しんで生きた。
自分で選択した人生だ。
何を絶望する必要がある?
俺は自分の人生を振り返りながら今日の夕飯を食いに行った。
後書きというか反省文
決められたレールの上を歩きたくない。
自由に生きていたい。
それがどんな結果であろうとも。
こんな風に考えられる人は強いと思う。
ただ、そんな考えで生きてみたいな〜。
という訳ではじめましての人が多いでしょうがKZDです。
今回は5000HITのお祝いということで、駄文ではありますがどうぞ。