差出人: Takagi
送信日時: 2000年4月7日金曜日 16:07
件名: 「さもなければ笑え」

 今日はあまりにも天気がいい。
 春晴れ、とでも名付けてみたいくらいの。
 これなら明日も晴れるに違いない。
 自然にそう確信させられてしまう。
 暖かさが秘めたパワーを強めてくる、春の日。
 もうすぐ、桜が咲く。

 あまりにも天気が良く、窓越しにもぽかぽかしていたので
 ちょっとロマンチストになってみた。
 妹が持っていかなかったベッドに仰向けになって、
 隣の僕の部屋から大きめの音で昨日買ったボニーピンクを流した。
 そして読みかけのハードカバーを進めた。
 のどかな、 のどかな、 午前中。

 そういえば、なんで吉本ばななを読むと、
 むしょうに文章を書きたくなるんだろう。
 本の中の情景を考えるのと並行させて、
 いつしかそんなことを考えていた。

 彼女の文章はどかん、とくる。
 心に。
 強烈にけしきやしんじょうをぐいっと削り取って
 ほら、と僕に見せつける。
 それは僕が書いてみたい文章の理想のかたちのひとつ。
 圧倒されて、白旗をあげてしまう。
 あなたみたいな文章は「まだ」かけません。

 だから、書きたくなるのだと思う。

 今の僕は時間だけがある。
 なんて贅沢なことなんだけど。

 ただ、今はけっこうどん欲に思っている。
 いろんなものが見たい。
 いろんなものに触れたい。
 いろんな人に会いたい。いや、話をしたい。

 サッカーと、オンライン友達がいまのところ、そこに近い場所にいる。
 いまのところ。だけどね。

 昨日、少しの距離だったけど敢えて車を置いて歩いたらものすごく気持ちよかった。
 おさんぽを日課にしようかなあと思った。
 ちょっとは身体で太陽を吸え。
 さもなければ、笑え、ST。

 そんなスタンスで文章を書いてみようかと思う。
 何かを吸い取りながら。
 そうやって僕にないパワーを少しづつ分けてもらいながらここまで来た。
 これだけのところまで来た。
 それには充分に満足している。
 その点では誰にも劣らず純粋だった自分と、
 それ以上にこれまでと、多分これからの環境に。
 もしそれを与えてくれる人がいるのだとしたら、その”だれか”に
 僕はご先祖様以外に対する信仰心はそんなにはないけれど、
 信仰ってこんな気持ちから始まるのかなあ、という気がする。

 オヤジからの教え。
 「マイペースでいいんだ」。
 これだけは、いつも噛みしめているのだ。
 ひそかに。
 さもなければ、笑うのだ、ST。

 ついつい焦りたくもなったりするよ。でもね。
 長い目で見ながら進んで行こうや。
 さもなければ、笑おうぜ。