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1999年12月の発見


おすすめ記事  12月12日


12月27日 地方(局地)風の寒風と熱風

 毎日寒い日が続いています。でも、お気づきですか? 5日前と比べて、だいぶ日が長くなっていますよ。春を迎える準備で忙しく、気づかなかったかもしれないが、冬至はもうすでに5日前にすぎているんです。これから寒い日もありますが、確実に春が来ます。私は冬の時期の若者を相手に商売しているため、どうしても過ぎゆく冬を惜しんでしまいます。でも、自覚しなくちゃいけません。「春が来れば私は用なしの人間」「去る者は追わず」を肝に銘じ、春に向かって皆といっしょに歩くしかありません。こんなことを考えてちょっと感傷的な気分になっていたら、知り合いのY口君、N部君、I田君がやってきて、ヨーロッパの地方風に関するジオゴロを教えてくれました。N部君が発見したものだそうです。
・ ヨーロッパの地方風 みす ぼら し フェーン
          
ミストラル、ボラロッコ、フェーン
 最初の2つが冬に北から吹いてくる寒風で、後の2つが春や夏に吹く熱風です。寒風→熱風の順にまとまっているので覚えやすいですね。地方風は、北半球なら、冬に北から吹けば寒風で、夏に南から吹けば熱風になる。したがって、フランスの中央高地からローヌ河谷沿いに地中海に向かって吹くミストラルと、ユーゴスラビア付近でディナルアルプス山脈側からアドリア海へ向かって吹くボラは、ともに、日本の冬に太平洋側の地方でみられる颪(おろし)、たとえば六甲颪や赤城颪と同じ性質の風で、寒風だ。逆に、シロッコは南欧を襲う湿った熱風で、もともとはサハラ砂漠から吹き出す乾いた熱風(カムシンまたはハムシンと呼ばれる)だったものだが、地中海を越えて湿気を帯びたやつだ。また、フェーンは、元来、アルプス山脈を越えてスイスやドイツ南部を襲う乾いた熱風で、高温になる理由は異なるが、熱風という点ではシロッコと同じだ。
 今、シロッコとフェーンの説明をするとき、「襲う」という言葉を使った。たとえばフェーン現象がみられるときは火災が発生しやすいから、スイスなどではフェーンは厄介者なのだ。暑けりゃいいってもんじゃないわけで、「冬もまたよし」なのだ。というわけで、嗚呼、ついつい冬の味方をしてしまう。いけない、いけない。確実に来る春の到来を素直に喜ばなくちゃ。反省、反省。


12月25日 クリスマスだからフィリピン

 今日はクリスマスです。クリスマスと言えばキリスト教。キリスト教と言えばアジアではフィリピンだ。クリスマスは北半球ではホワイト、南半球ではグリーンだが、熱帯の国々では何色なんだろう、なんてことなどを考えていると、今日は、クリスマスなのでかもしれないが、フィリピンに関する大発見があった。フィリピンと言えば、日本のバナナの主な輸入先で、『バナナと日本人』という本、これが本棚になければ学生のもぐりと言われるほど有名な本だが、それによれば、アメリカ合衆国の多国籍企業や日本の商社が経営する大農園で輸出目的に大規模生産がなされているらしい。ところで、熱帯のプランテーション作物は、輸出目的で生産されているので、たいていの場合、生産上位国と輸出上位国が一致する。たとえば、天然ゴム、カカオ、アブラヤシ(パーム油)、コーヒーetc... ところがバナナとサトウキビの場合はそうはいかない。生産上位国と輸出上位国を並べてみる。
 バナナ 生産   インド・ブラジル・エクアドル・インドネシア・フィリピン・中国・コスタリカ・コロンビア
 バナナ 輸出   エクアドル・コスタリカ・コロンビア・フィリピン・ベルギー・グアテマラ・パナマ・ホンジュラス
 サトウキビ生産  ブラジル・インド・中国・タイ・メキシコ・パキスタン・オーストラリア・キューバ
 サトウ=砂糖輸出 ブラジル・タイ・オーストラリア・キューバ・フランス・ドイツ・ウクライナ・ベルギー
 バナナでは、ベルギーは輸入したものを再輸出するんだろうから別格だが、生産で上位のインド・ブラジル・インドネシア・中国が輸出では上位国に登場しない。また、砂糖では、ヨーロッパ勢の輸出上位国の砂糖はサトウキビ=甘蔗(かんしゃ)からつくる甘蔗糖ではなくてテンサイからつくる甜菜糖だろうから別格扱いにして、熱帯の国だけを見ると、生産で上位のインド・中国などが輸出では上位に登場しない。このことからわかるように、この2つの熱帯作物の生産上位国は、主に輸出目的に生産している国と、そうではなくて自分の国でほとんど消費し輸出にほとんどまわさない国の、2グループに大別される。したがって、プランテーション農業という観点からこの2つの作物をとりあげる場合は、生産上位国よりも輸出上位国に注目しなければならない。
 そこで、ジオゴロだが、バナナ輸出については、エクアドル・中米付近とフィリピンが上位だと知っておけばいいので、特に覚え方は必要ないけれど、すでに次のような傑作があるので書いておく。砂糖は、かつて決め手だったキューバの地位がソ連解体後に落ち込んで、最近回復しているものの本調子ではないので、順位が安定するまでは控えておく方が無難だろうと思ってジオゴロを作っていない。
    バナナの輸出国  えぐいバナナはココフィリピン
 フィリピンのバナナについて、以上、使い古したネタを使ってうだうだ書いてきたのは、これに関して本日新たな発見をしたからである。「ココとフィリピン、・・・、ココとフィリピン、・・・、ココとフィリピン」と5回ほどつぶやいただろうか? ふと、あることに気づき、「あっ、そうだ!」と奇声を発してしまった。「フィリピンはコプラの生産が1位じゃないか!」 コプラはココヤシからとるものだから、「ココとフィリピン」の「ココ」は、もともとはバナナの輸出がエクアドルに次いで多いコスタリカ・コロンビアの「コ・コ」なんだが、ココヤシの「ココ」でもあったんだ!
 ということに気づいて喜んでみたが、しばらくして冷静になってみると、そんなくだらない発見に喜び、ついうれしさのあまり、「今日はクリスマスです。クリスマスと言えば・・・」というところから始めて長々と駄文を書きつらね、残り少ない人生の貴重な時間をつぶしている自分が情けなくなった。


12月22日 オーストラリアの都市の気候

 クリスマスが近いですね。それで、オーストラリアの温帯ではクリスマスは真夏なんだなぁとつらつら思いながら地図帳を見ていたら、1ヶ月ほど前に聞いておいたオーストラリアの温帯都市のジオゴロを思い出したので、ここに書いておきます。11月の末頃、友人のK城氏や、知り合いのU野T郎君、T井君、K茂君、S井君らと宿場町草津と天井川草津川の辺りに遊びに行きました。そのとき、S井君が教えてくれたものです。
・ オーストラリアの温帯都市    ぶ し   き める アッ パー カット
   こぶしで: リズベン ドニー  以上Cfa、
   きめる:  ャンベラ メルボルン 以上Cfb、
   アッパー: デレード パース   以上Cs、
   カット(Cut):以上の都市はすべてC気候。
コメント
 東海岸→南海海岸付近→南西海岸と、都市名が順番にならんでいるうえ、文節ごとに切れば気候区も覚えられ、さらに、最後に締めの言葉も入っていてなかなかの傑作です。ただ、シドニーはCfaとCfbの漸移帯に位置しており、最近の理科年表によるとぎりぎりCfb気候になっているので注意してください。


12月20日

 例のM瀬氏から直接教えてもらったモノもあるので、以下に書いておきます。
・ 米の生産上位国(1997年)
   超いい稲が 晩 ベトベト
   @中国 Aインド Bインドネシア Cバングラデシュ Dベトナム
・ 米の輸出国(1996年)
   今年は米が 量ので いっぱい できた 輸出しよっ!
   @タイ Aアメリカ合衆国 Bインド Cパキスタン
・ 茶の生産上位国(1997年)
   お茶 い? チューするけ
   @インド A中国 Bスリランカ Cケニア
・ ぶどう酒の生産上位国(1997年)
   ワインでふらふら っ すべった!
   @フランス Aイタリア Bスペイン
・ 人口密度の高い国(除ミニステート)
   馬鹿を産んだら人口密度は上がります
   @バングラデシュ A韓国 Bオランダ
コメントと私の覚え方
 米はモンスーンアジアの主食だから「モンスーンアジアで人口の多い国」で生産が多いと覚えました。ぶどう酒は南欧諸国で水がわりに飲まれ、南欧の主食みたいなものですから「地中海に面するヨーロッパの国で人口の多い3か国」で生産が多いと覚えました。なお、北アフリカのマグレブ諸国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア=「もろアルちゅう」でもワイン生産はありますが、ほとんど輸出用でしょうね。イスラム圏なので、フランスかぶれの人は別として、ワインはあまり飲まないと思います。また、エジプトやトルコも、人口が多いけど、イスラム圏です。エジプトは全土BWで、Csがないしね。「ワインでふらふら・・・」は、「すべった」という禁句が入っているのでまずいですね。「すべる」「落ちる」はジオゴロの禁句です。茶は「飲茶するけ?」と覚えました。人口密度の高い国の「馬鹿を・・・」は各方面からクレーム続出が予想され、低俗で品位に欠けます。 


12月18日 シベリアの三大河川の覚え方2つ

 知り合いのN部君が、私の友人のM瀬氏発見の覚え方を教えてくれました。
日本人とロシア人の会話らしい。
   日本人 「帯を絵にせー!」
   ロシア人「やれない!」
そりゃそうだよね! ロシア人に和服の帯の絵を描いてくれって言ったって、そもそも日本の帯なんてものを知らないから描くことはできない。「オビエニセイ」と言われても「やレナい」よね。なかなかの傑作です。
 シベリアの川は、名前は知っているけど、どっちが西でどっちが東だったか混乱するところです。N部君の傑作だと西から順に覚えることができます。知り合いのU野T郎君も、順番を間違えないために、「シベリアの川はオエレーヤナ」と覚えているようです。「オエレー」というのは、ヨーロッパ・旧ソ連の麦類の主要産地の覚え方:「オエライ小麦」に似ているので、U野君にとっては思い出しやすい覚え方のようです。麦類は北から「お麦・ン麦→ライ麦→小麦」で、シベリアの河川は西から「ビ川→ニセイ川→ナ川→ヤナ川」なんだそうです。


12月17日 ヨーロッパの河川の覚え方

 知り合いのK保君が発見したもの。「お〜出るL.A.(エル、エー)、エラセロりで、ローテーションだ! いやだ〜」 と覚えると、ヨーロッパの河川を、左回りで言えるようになるらしい。オーデル川→エルベ川、ウェーザー川→エムス川→ライン川→セーヌ川→ロアール川→ジロンド川→ローヌ川→テヴェレ川。「お〜出る」でオーデル川、「エル」でエルベ川、「エー」でウェーザー川、「エ」でエムス川、「ラ」でライン川、「セ」でセーヌ川、「ロ」でロアール川、「血」でジロンド川、「ロー」でローヌ川、「テ」でテヴェレ川、という具合に思い出すのだという。K保君にしかわからない覚え方だね。


12月16日  キルナの鉄鉱石積出港

 スウェーデン北部のキルナの鉄鉱石は、ルレオからはボスニア湾が凍結しない夏の期間だけ、ノルウェー側の不凍港ナルヴィクからは冬も積み出される。最近は砕氷船もあるが、その利用はそれほど多くない。なんてことを読んでいたとき、ふとひらめいた。「キルナの鉄鉱石はルレオとナルヴィクから」→「キルナのルはルレオのル」「キルナのナはナルヴィクのナ」じゃないか! ルナ・ルレオ・ナルヴィク」だね。


12月14日  ケルト民族、侮りがたし

 イギリスは「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」というやけに長ったらしい名前で、イギリス本島をブリテン島とかグレートブリテン島とか呼ぶことは知っており、「グレートブリテン」というのは、かつて日本が「大日本帝国」と自称したり、今の韓国が「大韓民国」という国名にしたりしているように、自国を偉大だと思う感情に由来するのだろうということで納得していたが、そもそもの「ブリテン」という地名の由来を詮索したことはなかった。今日、大学生教養課程用の英語テキスト、と言っても高校生用程度の易しいモノだが、そいつを斜め読みしていたら、「先住民の古代ブリトン人に由来する」と書いてあった。そして、このブリトン人は、アングロ=サクロン系の侵入により、今のウェールズやスコットランドに追いやられたとも書いてある。そこで、手持ちの百科事典で「イギリス史」の項目を調べると、前75年ごろイギリスに侵入した最後のケルト系民族をベルガエ人と言い、彼らは南イギリスに国家を建設していて、ガリア遠征中のローマの将軍カエサルの討伐も撃退したらしい。そして、このころ、ローマ人は、このガルガエ人のことをブリタニ人Britanni(英語名ブリトン人Britons)と呼んでおり、それが島の名前になったらしい。なるほど、やっぱり。ブリトン人と言えば、現在のフランスのブルターニュ半島に住むケルト系民族のブリトン人(ブルトン人)のことだが、同根であったか。まてよ、そもそも、どちらの地名が早いかな? と思って、「ブルターニュ」の地名の由来を調べたら、「アングロ・サクソンの圧迫でこの地に移住したケルト系ブリトン人の居住地ブリタニアにちなむ」と書いてある。ということは、ブリトン人は、サングロ=サクロンに追われて、ウェールズやスコットランドだけでなく、ブルターニュ半島にも移動したわけだ。っちゅうことは、地名としては、ブリテン島が先でブルターニュ半島が後。そして、ブリテン島もブルターニュ半島もケルト系民族名に由来する同根地名といわけですな。それが、百科事典や航空会社の名前になったり、カナダの州名の1つに組み込まれたり。ほかにもケルト系地名をたずねてみるとけっこうたくさんある。ロンドンもケルト系地名らしい。ケルト民族、侮りがたし!ですね。


12月12日  西の西の国イギリス

 イギリス・日本・ニュージーランドは、同じ島国であり、類似点・相違点を比較整理すると面白い。地形的には、イギリスが古期造山帯に属し、平地が広く山地は緩やかであるが、日本とニュージーランドは新期造山帯の環太平洋山系に属す島国で、平地が狭く山地が急峻である。ニュージーランド北島には、日本と同様に活発に活動している火山があるが、イギリスにはない。気候面では、イギリスとニュージーランドはともに夏冷涼冬温暖な海洋性気候で、偏西風帯に位置するため、中央の脊梁山脈を境に西側が多雨で東側が少雨という共通点がある。ところが日本は島国でありながら気温面では季節風の影響を受けて夏熱暑・冬寒冷の大陸性気候である。という具合に説明していき、人口を比較する段になって、統計を調べて驚いた。イギリスと日本は人口が多く人口密度も高いが、ニュージーランドは日本より狭くイギリスより少し大きめの国土にたった375万人、人口密度にして14人/kmぽっちである。この点は特段驚くことではない。ビックリしたのはイギリスの人口密度243人/kmだ。国土面積243千kmだから、なんと、面積と人口密度の数字が同じではないか! 大ざっぱに言えば、24万kmに240人/kmだ。イギリスは24と24で、ぞろ目の国なんだ。国土面積が日本のほぼ2/3の約24万kmで、人口が5800万人ぐらいだということは知っていたが、5800万÷24万という計算をしたことはなかったので、24のぞろ目の国であることには、今の今まで気づかなんだ。イギリスといえば、明治以来、日本人にとっては西洋を代表する国である。西洋の国、すなわち「西(にし)の国」、あっ、そうか、「24(にし)の国」だったんだ。「イギリスは24(にし)のぞろ目の国」なんですね。西欧の中でも西にある国なので、「西の西の国」ということか。ちなみに、これを書いている本日は12月12日で、これまた、ぞろ目の日付であり、12を2倍すれば24になる。