犬の学習理論・習性を考える

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 犬のしつけや訓練において、日々進歩していると考えられる、ちょっと前までの方法が現在では方法を変え、より犬のことを考え工夫されてきています。
 取り入れられる内容も行動学や学習理論により、経験から行ってきたしつけや訓練が理論化されてきているのが現状です、行動学のなんたるやは書いたので、犬の習性や学習理論を考えて見ます。

この学習理論とは人間や動物について有効なので犬にも応用されている。
また、行動療法の理論を用いることがあります。
行動療法とは、簡単に言うと、刺激で相手の行動をコントロールすることです。

理論を提唱する問題点
効果や説の実験ではパブロフの犬(犬)やスキナーの箱(ねずみ)などが有名ですが、この実験動物は人間とのかかわりや信頼など関係ない常態で行われていて食べ物が一番の刺激となっていますが、人間とかかわりも深く信頼関係を築かなくてはいけない犬にとってはちょっと違った解釈も必要でしょう。

                     犬を褒める
社会化と権勢症候群
動物行動学では
家庭は犬の群れになるのか
人間は犬のリーダーになれるか
犬に罰は必要か
分離不安症、常同症

叱るとは
権勢症候群と飼い主の勘違い
掲示板

   

法則や効果(心理学少々定義少々)
ヤーキース=ドットソンの法則
難しい問題に対しては、動機づけをあまり強くしない方が有利であり、やさしい問題に対してはかなり強い動機づけを設定した方が速やかに学習できる。
消去においての罰についても同じことが言える。難しい課題ほど弱い罰が有効である。
ピグマリオン効果(期待効果)
特定の個体の能力に対して何らかの期待を抱くと、その個体の成績がその期待と一致した方向に変化してしまう現象。
ハロー効果
優れた望ましい(あるいは劣った)特性を持っていると、他の特性についても望ましい(望ましくない)ものであると勝手に解釈してしまう誤り。
観察学習・モデリング説
行動を見ることにより、その行動を学習したり認知してしまうことを言います
接近の法則
刺激と反応(条件刺激と無条件刺激)が時間的に接近しているほど連合しやすい、速やかに起こる。
頻数の法則(ひんすう)
刺激と反応の連合は反復されるほど成立しやすいことを示す。
新近の法則
同一の刺激と連合したいくつかの反応の中では、新しく形成された連合のほうが強力でありおこりやすいことを示す
効果の法則
刺激と反応の連合に対し、褒美を与えるとそれを強め、罰を与えるとそれを弱める。単に刺激と反応を反復するだけでは、学習はおこりずらい
二次的強化
二次的条件反射、二次的条件反応を形成すること。例えば、犬座ったときにおやつ(褒美)を与えると、おやつ(褒美)を見せるだけで座ってしまうという条件反射が作られるが、この後でクリッカーを鳴らしたときにおやつ(褒美)を見せるを繰り返すと、こんどはおやつ(褒美)を全く与えないでもクリッカーを鳴らしただけで座ってしまう反射、すなわち二次的条件反射が作られる。このように条件刺激を更に他の刺激と結びつけて行くことを二次的強化と言う。
シェイピング
報酬(褒美)を与えることで、行動が正の強化を受け、罰(負の強化子)を与えることで、行動を消去する。
シェイピングとは、形成化・行動形成とも呼ばれるもので、スキナー,B.F.により提唱されたオペラント技法のひとつである。一つ段階をクリアしたら、ごほうびや報酬などの正の強化子を与えて、行動を学習させる
一連の反応系列を形成するためには、個々のさまざまな反応のうち、目標方向にかなったより正しい反応のみに強化を与え、次第に反応系列をつくっていくこと。
ハンフレイズ効果,強化矛盾
連続強化によるよりも部分強化によって形成された行動の方が消去抵抗が大きいというもの。
プリマックの原理
いつもあらわれる行動があらわれることの少ない行動を強化する現象のこと。プリマックがネズミの実験から高頻度反応による強化を観察し自分の名にちなんでプリマックの原理と名づけた
迷信行動
スキナーは、ハトを用いて首を回転させるなど実際には意味のない行動と食物の獲得とが条件づけられることを確かめた。そしてこのように単なる偶然的な結びつきでしかない非合理的な行動を迷信行動と呼んだ
メルケルの法則
感覚は刺激の強さに比例すると言う法則
欲求不満・攻撃説
欲求不満が攻撃的傾向を生み、攻撃的傾向は常に欲求不満の結果だとする説。
欲求不満・固着説
連続的に欲求不満の状態におかれると、不適応行動をし続けるという仮説で、マイヤーがネズミの実験から考えた。
欲求不満・退行説
欲求不満があると、ジタバタしたり、泣き叫んだりするような原始的な行動様式を用いるという説。
リボーの法則
忘却は、新しいものから古いものへ、また複雑なものから単純なものへ及ぶと言う法則。
特性論
特性論の基本的立場は,「神経質」とか「強調的」というパーソナリティ特性は誰もが共通に持っているものであり,個々人の性格の違いは,そのような特性が強いかー弱いか,多いかー少ないかの量的な差異,すなわち程度の問題によって決まるのであって,質的な問題ではないと考える考え方。
欲求の階層説
マズローが考えたもので,多様な欲求の関係を整理し5段階に分け,それぞれの欲求は下位の欲求が満足されてはじめて生まれるとした。最下位層に「生理的欲求」をおき,順に「安全を求める欲求」「親和・愛と所属の欲求」「承認と尊敬を求める欲求」とし,最後に自分自身による自己承認・自己尊重の欲求である「自己実現の欲求」へと展開するとして,階層構造を主張した。
短期記憶
短期記憶とは,感覚記憶から情報が送られてくる場所と考えられているが,ここでの貯蔵容量には限界がある。普通7つ前後の項目を貯蔵・処理すると考えられている。また,ここに入った情報は,リハーサルすることができ,リハーサルする限り記憶されている。しかし,リハーサルしなければ,15〜30秒で消えてしまう。したがって,次の長期記憶に転送されない限り,記憶として残らず忘却が生じる
中心傾向
評定者が評定尺度の両極(たとえば「非常に優れている」や「非常に劣っている」など)の評定を避け,大多数の評定者を尺度上の中心値あるいは平均値の近辺に集中して評定してしまう傾向のこと
内発的動機
好奇心など,行動すること,または経験することそのものによって満足がもたらされるような動機を意味し,人が生まれながらに持つ動機とされている。つまり,外的報酬によらず,活動それ自体が報酬となるような動機のこと。
集団分極化現象,集団成極化現象
集団討議を経て意志決定をする場合,個人で決断を下すよりも危険な決定をする場合と安全で保守的な決定を下す場合がある。いずれの場合にも集団の決定は個人の決定よりの極端になる傾向があることを言う。
消去
強化されないため条件づけられた反応が弱まること。
フラストレーション
欲求不満,要求不満,要求阻止ともいう。なんらかの原因により目標達成ができず,欲求の充足が不可能な状況にあるために,生体に強い緊張状態が生じる。この状態をフラストレーションという。
馴化(じゅんか)
刺激を繰り返すことで、反応が次第に減弱していく現象
強い刺激より弱い単純な刺激のほうが早く馴化し、 強い刺激に馴化した場合は少々の刺激には反応しなくなる、馴化によって一旦起こらなくなった反応は復活する
学習
「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」のことをいう。

学習や学習理論
学習理論にも連合説認知説にわかれている

連合説とは外界の刺激(S)と動物の反応(R)につながりができることが学習と考える。S―R理論とも呼ばれる
この説、行動主義が研究対象とするのは意識ではなく,刺激(S)と反応(R)であり,行動を予測し制御することが心理学の目的であると考えた。このため,ワトソンの心理学はS-R心理学とも呼ばれている
条件反射説
(古典的条件付けとかレスポンデント条件付け)
ベルを鳴らしただけで、唾液が出るようになるというパブロフの犬の実験より、 条件刺激と無条件刺激を同時に提示することによって条件刺激が条件反応を引き起こし、学習を成立させる。
この学習では接近の法則が重要になります。

オペラント条件付け
ある自発的行動(オペラント行動)(反応)にたいして報酬(褒美)を与える事による、動物がその行動を学習する過程をいい、一定の動作や行動を習得させる方法です、この過程は続ける事がきわめて重要になります。また報酬(褒美)により反応が強化される。(過程を条件付けという)
この結果次の行動を起こしやすくさせる物を「強化子」と言う。
褒美(おやつ)が1次強化子として反応を強化する力は薄いけれど、1次強化子と一緒に褒めるなど2次強化子を使うことで強化できるともいえます、この2次強化子には、3次強化子もあり4次強化子もありえる構造になります、このような強化子のことを全体として「条件性強化子」といわれる。
                                           
 オペラント条件付けでは、「強化スケジュール」(強化子を与えるタイミングや時期)も重要です。
スケジュール説明: 犬が反応するたびに強化子を与える「連続や固定強化」(この場合反応と同時に与える)と、時々強化子を与える「変動や部分強化 」があります。オペラント反応を誘発するには「連続や固定強化」が効果的で、それを継続しようとするときは、「変動や部分強化 」が効果的とされています。
反応が固定化されたら「変動や部分強化 」(強化子はもらえるのですが、いつかは不明)に移行しなければなりません。これで反応を強化し、継続させるのです。
この学習ではシェイピングヤーキース=ドットソンの法則接近の法則が重要になります。

ここで勘違いして欲しくないことは、「褒美=たべもの」では無いことです、飼い主の笑顔や喜び、褒めるなどが報酬になることです。もちろん食べ物も使用しますが犬の一番喜ぶものが飼い主からの褒めより食べ物ではちょっと寂しい気がします。

以上を簡単にすると
動物は刺激により条件反射をとり、報酬を得る学習において反応は強化され、難しい反応には動機付けを強くしないほうが有利で、簡単な反応には強い動機付けが有利であり刺激のタイミングは接近しているほど効果があり部分強化で継続される。となります。



認知説とは外界の刺激全体に対する動物の認知の変化を学習と考える。S―S理論とも呼ばれる。

場の理論
行動は犬格(犬の性格や情緒)と環境の相互作用によって決定されると提唱。
B=f(P・E)   行動は犬格(犬の性格や情緒)と環境の関数、B:行動、P:犬格、 E:環境

モデリング説(観察学習)
学習者は他者が何かを行うのを観察しているだけでも成立するという考え