「いちばんぼし」 by.ONA 



今日、チアの帰り道に
いちばんぼしを見つけました。










お家に続く坂道を、ずっといちばんぼしを見ながら歩きました。
途中で2回転んじゃったけど…てへへ。
でも北のお空から、灰色の雲がもくもくっと大きくなってきて、
冷たい風がぴゅーぴゅー吹いてきたの。
あっという間だったんだよ、紫色のお空が、だんだん雲で
隠れていっちゃうの。きっと今夜は雪が降るんだね。
あ!そうだった!…花穂はとっても大事な事を思い出しました!

明日は花穂のお誕生日です。
またひとつ大きくなるんだよ♪花穂、早く大人になりたいから、とっても嬉しいんだぁv
それにママ特製のケーキも食べれるし…それに、久しぶりにお兄ちゃまが帰ってきてくれるの…えへへv

お兄ちゃまは今夜、花穂のお家にお泊りしてくれます。
お夕飯はお兄ちゃまと一緒です。明日のお誕生日パーティーも一緒だよ☆
花穂ほっんと嬉しいなぁ〜vvv
お夕飯が終わったら、お兄ちゃまと夜のお散歩。
とっても寒いと思うから、この前買ってもらった新しいマフラー、お兄ちゃまにしてあげるの。
去年の冬に、花穂が学校の宿題で、初めて天体観測をした時に、
お兄ちゃまが連れて行ってくれた、林の向こうの丘…今夜もそこでお星様の観測です。

そして、時計の針が全部上を向いて、花穂のお誕生日になった瞬間、
花穂とお兄ちゃまとで、ちっちゃいお誕生日パーティーやるんだよ♪花穂、もう子供じゃないから起きていられるよ!
一緒にホットミルクを飲む約束したんだぁ〜♪これはママには内緒v
だから花穂、何日も何日も前から、ずっとずっと楽しみで
お友達のみきちゃんにも「花穂ちゃん、何かいいことあったの?お顔からニコニコ消えないね」って
言われちゃった…てへへ♪


でもでも…
今日のお空は、雪雲がどんどん広がってきちゃったよぉ!
いつもなら、雪が降れば雪遊びが出来るから、花穂嬉しいんだけどぉ…
お兄ちゃまとの天体観測が出来なくなっちゃうから、今夜だけは…晴れていてほしいな…
花穂はとっても心配になったので、林の向こうの丘まで行ってみる事にしました。

街外れの丘に行くには、昼間でも暗い林の中を通らなくちゃいけません。
子供は1人じゃ入っちゃいけない…って、学校の先生も仰っているんだけどぉ…
ごめんなさい!って、花穂は一人で林の中へと入っていきました。

足元が暗くって、すっごく怖かったけど…でも、
お兄ちゃまと一緒に、初めてここを歩いた時の事を思い出しながら歩きました。
お兄ちゃまのお顔を思い浮かべると、花穂とっても勇気が沸いて来るんだよ♪
時々目を瞑って歩いたから、思いっきり転んじゃったけど、
お正月に降った雪が、まだフワフワだったから、全然痛く無かったよ。

真っ黒な木の、ずっと上のお空を見上げると、
花穂の見つけたいちばんぼしが、綺麗にキラキラ光ってる!
花穂は一生懸命走って、怖い林を抜けました。
そこはお兄ちゃまと花穂の、大切な場所…街外れの、大きな丘です。
夏にも、お兄ちゃまと一緒に来たんだけど…灯りも電気も、何もない所だから、
まるで夜空に吸い込まれちゃうような…不思議な気持ちになれたんだぁ…♪
「冬の空気は、とっても澄んでいるから、お星様を沢山見れるよ」って
お兄ちゃまが教えてくれたのも、この丘に来たときだったよね…

でも、今日のお空には、殆どお星様が見えません。
雪雲が、空一面に広がって…北のお空からは粉雪が飛んできました。
さっきまで見えていた、いちばんぼしも、もう見えません………

花穂が見つけた、いちばんぼし。
とってもキラキラ輝いてたよ。
クリスマスツリーに飾れちゃうくらい大きくって、綺麗だったんだぁ。




…手を伸ばせば、届くと思ったよ。









ううん…届くわけないよね…
でも…花穂は、そう思ったんだぁ…



信じていれば、いつか届く気がするの。

大きなクリスマスツリーのお星様には、
お兄ちゃまが抱っこしてくれたから届いたよね。
チアのレギュラーになれたのは、
お兄ちゃまが花穂を応援してくれていたからだよね。

花穂がドジしちゃったり「絶対無理だよぉ…」って諦めちゃいそうになると、
お兄ちゃまは必ず、花穂を守ってくれた…花穂を、助けてくれた…。


花穂は、いっつもお兄ちゃまにご迷惑をかけ過ぎだよね…

お兄ちゃまはお忙しくて、最近あんまりお泊りに来てくれなかったから…
今日はとっても嬉しいはずなのに…
なのに…
花穂は、いつのまにか泣いていました。



お兄ちゃま、憶えてる?
初めて、花穂をこの丘に連れてきてくれた日の事。

お兄ちゃまとの、天体観測。
お空には、数え切れないくらいのお星様。
とっても、綺麗だったなぁ…
今日よりずっと寒かったけど、お兄ちゃまとなら、ぜんぜん平気だったし…とっても、嬉しかった。
それからだよ、花穂がお星様を見るの、大好きになったの。
そして…あの時、お兄ちゃまが花穂と手を繋いでくれた時…

花穂のお胸の奥が、キュッてした気持ち…
今なら判る…花穂、もう子供じゃないもん…判るよ…

この気持ちを、お兄ちゃまにお伝えしたら…
きっとお兄ちゃま、困っちゃうね…




花穂ね、お兄ちゃまの妹で良かった。
だって花穂、お兄ちゃまの事…大好き…

兄妹だから
お兄ちゃま…花穂の事を大切にしてくれてたんだよね。


お兄ちゃまは、花穂のいちばんぼし。

花穂、お兄ちゃまに助けて貰わなくても平気な、強い子になるよ。
そう決めたんだもの。
いつもは遠く離れているけど、いつだってお兄ちゃまを感じています。
ずっとずっと、お兄ちゃまを応援しています。

いつでも、花穂を見ていてくれるお星様。
花穂が手を伸ばしても、届かないお星様。
だからせめて、花穂が大きくなるまでは…お兄ちゃまと少しでも一緒にいたいよ…
お兄ちゃまにご迷惑をかけない、ちゃんとした大人になるまでの間…
それだけでいいから…そう…決めたんだもの…………………

でも…でもね…お兄…ちゃま…!



「…か…ほ…花穂…!!」



遠くから、花穂を呼ぶ声が聞こえてきました!
真っ暗な林の方に振り返ると…舞い上がった雪の向こうに……お兄ちゃま!?
「ちっとも帰ってこないから心配してたよ」…って。
お兄ちゃま、花穂の事探してくれてたの?お兄ちゃまのほっぺ…寒くって真っ赤になってる!
ああ〜ん!花穂のせいだぁ!凄く寒いのに、
お兄ちゃまに、またご迷惑おかけしちゃったよぉ〜〜〜!!


花穂は慌てて、毛糸の手袋をしてる両手を、
お兄ちゃまのほっぺに差し出しました。

…でもお兄ちゃまおっきいから…やっぱり、届かないの…
花穂…やっぱり…ダメな妹だよね…
花穂ってば、また悲しくなっちゃって、お鼻がぐじゅぐじゅってなっちゃったよぉ…

そしたらね…
お兄ちゃまは、花穂の背に合わせて、屈んでくれたのv
花穂の両手に、お兄ちゃまのお顔が挟まっちゃった!
「うわぁ〜♪花穂の手、凄く温かいね!」
お兄ちゃまは、花穂の両手に挟まれたまま、満開の笑顔で
花穂の頭の上に少しだけ積った雪を、優しく払ってくれたんだぁ…v

花穂、嬉しいのと悲しいのがごっちゃになっちゃって…
そのまま、お兄ちゃまに抱きついちゃった……v



どうして泣いてたかって、花穂が答え辛そうにしてたら、
お兄ちゃまは、それ以上何も聞かないで、花穂のほっぺに残る涙を拭ってくれました。
お兄ちゃまがしてたオレンジ色のマフラーを、花穂にしてくれました。
花穂の降りかかる雪を、何度も何度も払ってくれました。
お家に帰る間、ずっとずっと手を、しっかりと握っていてくれました。
雪のない、晴れた日に、また天体観測に連れて来てくれるって約束してくれました。



本当に優しい、優しいお兄ちゃま…
やっぱり花穂は、お兄ちゃまがいないとダメ…みたい…えへへへへv

花穂、いつか…花穂のお胸の奥で、ずっと感じてる、”あいしてる”の気持ち…
お兄ちゃまに伝えられるかな?伝えても…いいのかな……


お兄ちゃまは、花穂のいちばんぼし。
花穂は…お兄ちゃまにとって、いちばんぼしになれる?

なれたら…いいなぁ…vvv









→TOP