綿花を運ぶラクダ
「敦煌」は中国内陸部のゴビの砂礫に囲まれたオアシスの街である。
ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠に挟まれた敦煌は、長安の都の西方の大関所を出ると、中国の古語で「関外の三絶」と言われる砂塵の舞う暴風、灼熱、厳寒の三つの想像を絶する過酷な世界である。
敦煌は古来は砂の街を意味する「沙州」と呼ばれたところである。
敦煌の主力作物は綿花で、良質で高価で買い取られ、中国で最も貧しい地域にありながら、綿花作りの農家は「改良富金郷」とも呼ばれ、億万長者の豪農まで生まれ、綿花で潤っている。
折から、敦煌郊外は綿花の摘み取りの最盛期で、一本道の白い樺の並木を、ラクダの背からずれ落ちそうな大きな袋に詰められ綿花の上に乗って手綱を取る、見事な白髭の古老が通り過ぎた。
今日は風も止み、青空が広がる小春日和の好日である。
遥かに望む敦煌の古城と鳴沙山は、悠久の歴史の中で不動であった。
(中国シルクロード敦煌の郊外にて)




