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IX
8度のカノン、2声部、9/16拍子、103小節


フーガの技法出版譜のCanon alla Ottavaとほぼ同一の曲です。
変更点はトリルやスタッカートなどごくわずかです。

ただし自筆譜では、まず先行声部のみが単旋律で記入されています。
すなわち謎カノンの形で書かれており、Canon in Hypodiapason
(8度のカノン)と題され、後続声部の開始位置に記号が付けられています。


自筆譜のイメージです。

それに続いて、完成された曲がResolutio Canons
(カノンの解決)と題されて記入されています。

同じカノンでもXIIは、完成された曲が先に書かれ、
そのあとに単旋律の楽譜が記入されています。
この記入の順序の違いについて、以下のように推測してみました。
まずこのIXは、あらかじめ完成されていた曲を記入したので、
謎掛けのほうを先に記入することが出来たのだと考えられます。
これに対してXIIは、おそらく作曲に併行して記入されたため、
謎掛けが答えの後になるという奇妙な事態が生じたのではないでしょうか。

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