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IV
単一主題による反行フーガ、4声部、2/2拍子、90小節


フーガの技法出版譜のContrapunctus5にあたる曲です。
自筆譜では2/2拍子で書かれたものが、出版譜において
4/4拍子に改められましたが、音価や小節数の変更はありません。



出版譜と比較して大きな修正はなく、いくつか手直しがある程度です。
一例として、36小節ではアルトの旋律が単純化されています。


青い音符で示した部分が手直しされています。

IIIにおける推測が正しければ、IIIとIVは対をなす曲となります。
両者はいずれも付点リズムによる基本主題の変形を行っており、
またIIIは基本主題の正置形、IVは基本主題の反行形に始まっています。

さらにこのIVは、呈示部において3小節ごとに主題を導入したり、
奇数拍のゼクエンツを用いるなど(Contrapunctus5を参照のこと)、
3拍子系のリズムが意識されているように思われます。
このことは、カンツォーナBWV588をはじめ、
多くの多部分フーガ(こちらを参照)が偶数拍部分と奇数拍部分を
組み合わせていることを意識したのかもしれません。

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