第2部分 第3部分 第4部分 Contrapunctus8
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Contrapunctus 8 a 3
第1部分(1〜38小節)


冒頭に、新たな主題が示されます。
曲中を通じて用いられる、このフーガの第1主題です。
Contrapunctus11ではこの主題の反行形が第2主題となっています。

Contrapunctus1〜7 がすべて調性的応答であったのに対して、
6小節〜のバスに示されたのは属調に移調された真正応答です。


3声部のうち中声部は出版譜の音部記号がアルトなので、
便宜上アルトとしますが、その音域はテノールにまで及んでいます。

明瞭な対主題は見られません。7〜8小節のアルトと、
12〜13小節のバスに対主題らしきものが見られますが、
この後このモチーフが見られるのは94〜95小節のバスだけで、
しかも第3主題への対旋律として用いられています。

5小節のアルトや10小節のバスにAと示した四分音符のモチーフは、
曲冒頭で第1主題に続いて見られるほか、
反行形を交えながら曲中で時折用いられます。
129小節では再び第1主題に続いて登場します。

下の楽譜の15小節にBと記したアルトのモチーフは、このあと
第1部分を通じて頻繁に見られ、ゼクエンツとしても使用されます。
ハ長調のInvention(BWV772)を想起させるモチーフです。
下の楽譜では先のモチーフAと並行して示されています。



21小節〜には、第1主題とその断片とによるストレットが見られます。
アルトの主題を、青い音符で示したバスの主題断片が追います。
Contrapunctus9などでも述べていますが、こうした擬似ストレットは
「フーガの技法」の中にしばしば見受けられます。



主題の断片は、79小節〜、88小節〜など随所に見られるほか、
主題の一部をゼクエンツとして使用している箇所もいくつかあります。
28〜30小節は主題断片と先のモチーフBからなるゼクエンツです。



楽譜の31小節のソプラノにB'と記したモチーフはBの変形と思われ、
23小節のソプラノにすでに見られるほか、35小節〜では
主題の対位としてゼクエンツ風に連続して示されています。



第1部分の最後の和音は第4部分の最後、すなわち
曲の最後の和音とほぼ同じになっています。

第2部分 第3部分 第4部分 Contrapunctus8
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