ついに岡谷で最後の一軒!宮坂製糸所 宮坂照彦よりごあいさつ



 日本の製糸業を取り囲む環境は年々厳しさを増しております。自由化の波とバブル崩壊後の不況により、多くの製糸工場が閉鎖に追い込まれました。周知のように岡谷は近代製糸業発祥の地であり、明治から昭和初期にかけては日本の生糸生産量の三分の一を占めるほどの活況をみせ、重要な輸出産業として日本の近代化に果たした役割はきわめて大きなものがありました。しかし最盛期には300もの製糸工場が建ち並んでいた岡谷の町も現状ではすっかり精密機械の町へと変貌を遂げてしまいました。そんななかにあって岡谷で最後の製糸となった今、宮坂製糸所はその存続の意味を改めて問われています。
 まちはずれの小さな製糸工場だった宮坂製糸所はさまざまな人たちのご支援によって今日まで存続し続けることができました。現在当製糸所では『あゝ野麦峠』当時から変わらない諏訪式座繰機、日本古来の上州座繰機、諏訪式座繰機をオートメーション化した自動繰糸機の三つの方式によってそれぞれ特徴をもった生糸をつくっております。また、この三つの方式はたまたま日本における繰糸方法の代表的な三方式であります。したがって、古代の糸から現代の糸までお客様の要望に細かく対応できる態勢を整えております。
 当製糸所では、従来の大手の糸問屋さんから趣味で染色や織物を手がけている方々まで広くその要望をお受けしております。昨年NHKの『新日本探訪―紡ぐ心今も』や『ETV特集―繭の国の興亡』での放送があったことから、全国の多くの皆様から励ましのお声をお寄せいただきました。このホームページも、少しでも多くの方々に当製糸所をご理解いただくとともに、日本の絹の産業に新たな展望を開くきっかけになればと企画したものです。よろしくご支援のほどお願い申しあげます。


msilkpro@po2.lcv.ne.jp