TOPへ


鳥獣保護員になろう

▼鳥獣保護員になろう

 私は、長野県の鳥獣保護員を7年やっている。おかしなことだが、鳥獣保護員には、猟友会の関係者が多い。募集方法は、各県、自治体によっても異なるようだが、一般に、県が各自治体に誰か推薦してほしいと依頼すると、担当者はあてがなく、猟友会にお願してしまう構造らしい。

 各市町村に1名の鳥獣保護員がいて、月に3日前後、それぞれ地元の巡視をする。業務内容は、「保護区等の看板管理」「狩猟の取り締まり」「鳥獣保護の普及啓発」、「傷病鳥獣救護」「ガン・カモ類調査」などがあるが、とても全部こなせる人はいないだろう。

 長野県では、任用は1年ごとだが、鳥獣保護員の知識向上等の講習会は殆どない。だから知識経験は、千差万別。猟友会の人でも、決して法規に詳しいわけではなく、逆に鳥獣保護員でありながら、自ら違反してしまう人もいるほどだ。

 日給4300円で、車経費は自己負担、県によっては、もっと低賃金の所もある。つまり半分ボランティアでないと勤まらない。或いは、フィールドが同じ猟友会ならそれほど負担にならないかもしれない。
とにかく、とても中途半端な制度になっている。権限や職務の期待度も少ない。

 かと言って、いきなり「傷病鳥獣の救護」が出来るかというと、無理だ。私は率先してやりたい方だが、大方は、やりたいとも思っていないようだ。また、「鳥獣保護の普及啓発」をしている人も、ごく一部、野鳥の会や自然観察員を兼ねている鳥獣保護員だけだろう。猟友会がらみの鳥獣保護員は、やはり立場が異なり、「シカを殺すのも保護のうちだ」と口を揃える。

 本来の、鳥獣の保護をするために、鳥獣の立場に立つということを、徹底させるべきだろう。そのためには、大方を占める猟友会がらみの鳥獣保護員を、一般なり、保護団体なり、野鳥の会の人に代えることが先決だ。是非、皆さんも地元で応募して下され。



(2013春号) ALIVE森の生活 小林桂子
TOPへ