■セガ・マークIIIの「ZAXXON 3D」ゲームを3Dで遊ぶ

 

80年後半に発売したマスターシステム/マークIIIの3D対応ゲーム

「スペースハリアー3D」「メイズウォーカー」「ザクソン3D」「ブレードイーグル」 「アウトラン3D(日本未発売)」がありました。

当時、ソニーのトリニトロン管のプロフィールプロ(モニター)やプロフィールスター(テレビ)を利用して3Dゲームを遊んでいました。

その中でも、ザクソン3Dの画面から飛び出る楽しさや、メイズウォーカーのジャンプするシーンなどは感動する映像でした。

下記が所有しているマークIII/マスターシステム用の3Dゲームソフトです。


スペースハリアー3D

メイズウォーカー

ザクソン3D

ブレードイーグル

アウトラン3D

何処のメーカーもブラウン管から撤退して液晶やプラズマテレビになってから当時の3Dグラスを利用しても残念ながら3Dには見えません。
どうしても大画面テレビで当時の3Dゲームを遊びたくて実験してみることに・・・

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▼ちょこっと実験▼

先ずは、当時の3Dの表示方法を調べる為に、カノープス(*1)のビデオ編集ソフト「超編 Ultra EDIT2」と、
キャプチャボードのDVStorm2を利用してマスターシステムのS端子出力(*2)からパソコンに動画を録画してみました。

そのまま見ても、ブレブレ動画なので録画した動画の一部を右目用と左目用の静止画として分割保存します。
静止している状態で「Odd Field (奇数フィールド)」と「Even Field (偶数フィールド)」を選択して1枚づつBMP形式で保存しました。

*1 現在は「グラスバレー株式会社」です。「超編 Ultra EDIT2」は既に生産完了しています。 *2 マスターシステムは改造しないとS端子出力はありません。

下記が保存した2枚の静止画を.左右に合体させた写真です。平行法で見ると3Dに見えます。
(モニター(画面)から離れて見れば見るほど、ZAXXON と 3Dの文字が手前に浮き出ます)

予想していた通りに1フレームの偶数・奇数フィールドに左右の映像が交互に表示されている仕組みでした。

ただ、仕組みが解っても当時の3Dメガネを使って液晶テレビに3D表示するのは簡単では無さそうです。
簡単に思い浮かぶ方法としてマスターシステムのビデオ出力映像をリアルタイムに偶数・奇数フィールドの映像に分離して、
その2個の映像をSide By Sideで合成する機器があれば、最近の3Dテレビと組み合わせることで3Dに映せるハズなんですけどねぇ〜

■偶数・奇数フィールドの分離■

放送業務に携わる方から「フィールドセパレーター」と言う機器があるとの情報を聞いたので、
早速、ネットで検索してみるものの、ビデオ(コンポジット)信号を分離するような製品が見当たらず、
LM1881(VideoSyncSeparator) と、ビデオスイッチICを組合わせて、左右の映像を分離しようかと、
回路図を書いたり、部品を調達したり、ちょこっとだけ動作実験をしていたものの、
何かと他の製作物を優先していて、2011年頃から放置している状態でした。

偶然、2017年になって、「フィールドセパレーター」の製品版を入手することに成功したので、
6年越しに3D化の動作実験を再開することにしました。


カスタム電子(株) 製造 / 3D.com 販売
Fieldsequential-composite converter FC-55


Input(入力端子)に、ゲーム映像を入力すると、
この機械が偶数と奇数フィールド映像に分離して、
Ousput1/Output2に個々の映像が出力される仕組みです。

年数が経っていて、Phase(3D-1/3D-2)の切替えスイッチが接点不良なので、修理しながら内部の基板も見てみることに・・・


映像を分離・混合する部分のIC型番は削られていていました。


2画面分の映像を処理するので、同じ基板が2枚入ってました。

まぁ、内部を見たからと言って同じモノが作れるワケでもないので、接点不良のスイッチを新品に交換して終了です。

■Side By Side (サイドbyサイド) 合成■

3Dゲームの映像を「Fieldsequential-composite converter FC-55」で、2出力した右目・左目の個々の映像を
今度は、1画面内で左右に縦縮小した状態で映すようにする機器を用意しました。


4入力1出力対応の「ビデオ分割器」 Maxwin AV-400
 
数年間探していましたが・・・
最近は、数千円で希望の商品が入手出来るとは嬉しいですね。
この機器を利用することで、
1画面内で、ビデオ映像を1〜4分割出来るようです。
各入力ごとに正像・鏡像の切替えもあるので、
他の工作物にも役に立ちそうな分割器でした。

今回は、入力1に右目、入力2に左目の
ゲーム映像を入力して、
ビデオ出力からは、横方向に縮小された
「Side By Side」タイプで出力する設定にしています。

←左の写真は、
あくまでイメージですが、
右目・左目の映像がこんな感じに
合成されるような機器です。

▼配線して実験▼


セガのマスターシステム(他に改造済みのMSとマークIIIも所有)
マスターシステムのコンポジット出力から、
「フィールドセパレーター FC-55」へ接続して
更に「ビデオ分割器 AV-400」を経由して、
それを、3D対応の液晶テレビに接続すると、
80年代当時の3Dゲームが遊べるハズですが・・・

実際に配線してみると、映像同期が合わず、
左目・右目用に分割された映像は、
分割器に入力しても映像を出力しませんでした。

マスターシステムのコンポジット映像も、
ちょっとボケっぽい感じだったので、
何か対策が必要になりました。
(本当は、RGB出力を利用したいんですけどね)

■タイムベースコレクタ■

簡単には3D化が出来なかったので、フィールドセパレーターと一緒に入手していたタイムベースコレクタ (TBC) を利用してみます。

マスターシステム(改造済み)のS端子出力を、FA-310へ接続して、同期を安定させつつ、コンポジット映像出力させます。
FA-120ACを2台用意して、フィールドセパレーターからの右目・右目用の映像を個々に経由させて同期を安定させます。


FOR.A FA-310 デジタルタイムベースコレクタ (TBC)

FOR.A FA-120AC x2台 
タイムペースコレクタ(TBC)

▼配線して実験2▼


結構、配線も多く大掛りなシステムに・・・
マスターシステムのS端子映像をFA-310で
コンポジット変換することで、多少画質が向上しました。

更に、各機器の間にTBCを入れることで、
映像が安定して、当初からの目標だった、
合成された「Side By Side」映像が、
遂に、3D対応液晶テレビで映ることに成功しました。

ただ、残念なことに、所有している3D対応液晶テレビは
コンポジット入力時には、「シミュレーテッド3D」しか選択が出来ず
左右分割方式の3Dを利用する場合は、テレビ放送か、
HDMI入力で接続することが条件のようです。

■S端子&コンポジット・HDMI変換■

ずっと前から所有していた、HDMI変換器を利用して、コンポジット信号をHDMI出力に変換してみます。


数年前に中古で安くゲットしていたコンバーター
(メーカー、型番等不明)

HDMI接続することで「左右分割方式」選択可能に・・・
(上記は液晶テレビの設定画面です)

▼配線して実験3▼



テレビは、ソニー「KDL-32HX750」
3Dメガネは、「TDG-BR750」を利用しています。
久々にケースから出して充電しましたが・・・

写真では、ブレブレに見えてますが、
液晶テレビ用の3Dメガネを利用して3Dに見えました。
(HDMI入力したことで16:9比率のザクソン3Dになってます)

結果として・・・、画面より手前に飛び出る「ザクソン3D」系のゲームより、
画面内に奥行感で表現する「メイズウォーカー」系のゲームのほうが、今回の機器では3D感がありました。

ちょっと手間だったのは「ザクソン3D」だけ、シーンごとに「奇数フィールド」と「偶数フィールド」の映像割振りが
左右入れ替わるようで、フィールドセパレーターの背面にあるスイッチ(3D-1/3D-2)を、
シーンごとに切替えないと、3D表現が逆になる症状がありました。 (飛び出て見える部分が逆に奥に見えてしまう) 
(マスターシステム用の3Dメガネの場合は、その都度、信号がリセットされてタイミングを合わせているようです)

まぁ、それでも最近の液晶テレビを利用して80年代の3Dゲームが3Dで楽しめるのは嬉しいことです。

3D対応の液晶プロジェクターも所有しているので、時間があったら大画面で3D実験してみたいと思います。

最後に・・・ 今回の配線図を書きましたのでご覧ください。結構大掛りなシステムになってしまいました。▼

こんな特殊なシステムを用意しなくても、回路とプログラムが作れるマイコンソフトさんだったら、もう少し簡略化して製品化出来るんでしょうね。
この仕組みを利用すれば、ファミコンの3Dゲームも3D化出来るハズです。(FC用の3Dメガネは所有していても3Dゲームソフトを一本も持っていなかったりします)

自作した部分は一切ありませんが、3Dでゲームが実機で遊べるようになったので、自己満足度は高かったです。★★★★☆

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