外国の温泉は、日本のように開放
的な露天風呂などというものはない
から、観光客は温泉を有難く飲み、
ホテルのスパでマッサージをしても
らい、公園を散歩してそれでおしま
いなのです。一年間働き続けた疲れ
を夫婦で慰めあい、リラックスする。
これぞ温泉の妙味なのですが、日本
人にはこの感覚はちょっと理解でき
ません。熱海に一週間居続けてなに
が楽しいのか、ということになって
しまって噛み合わないのです。

マ リ エ ン バ ー ド 

              
2008/06/21

チェコに来たからには温泉地も訪ね
なければならないだろう、とそう思っ
て、いわば義務感でマリエンバードを
訪ねてみた。チェコ語でマリアーンス
ケー・ラーズニェ。ラーズニェは温泉
の意味だから、ドイツ語でマリエンバ
ードと言ったほうが分りやすい。

 ピルゼン(チェコ語でプルゼーニュ)
の町の中心部だけちらと見物して、そ
の足でニュールンベルク行きの高速道
路に乗り、出口
128番で降りてヘブ行
21号線にのって、マリエンバードに
到着した。

 それにしてもきれいな温泉地ですね。カジノ
はあるし、優雅な馬車が客待ちをしているし、
暇と十分なお金があれば、二日ほど滞在しても
楽しいかも。

 最近の風潮からいえば、学会とか業界の年次
総会のためのコンファランス会場として利用す
るとよいかも知れません。足かけ三日程度の滞
在で、滞在費は公費落としで、帰りにプラハへ
立ち寄りなどというふうにプログラムを組めば、
人気がでそう。


 次に立ち寄ったカルロヴィ・ヴァリよりは人
の数が少なくて、温泉の味も良いし、ザワザワ
していないので、わたしはこのマリエンバード
のほうが好きですね。


 では皆様ご機嫌よう。

 ゆるい登り坂を上って突き当りを右
折するとクロス源泉の建物とその背後
に壮大なラーゼニュースカー・コロナ
ーダ(温泉の列柱廊)がある。

 クロス源泉では源泉が冷たいのと温
かいのと二つの蛇口を通して出てくる
から、コップで源泉を飲むことができ
る。温かいのを試してみたら、とても
美味しかった。ちょうどラムネの甘み
を薄く上品な味にした感じで、炭酸の
口当たりがあり、さすがに天下の名泉
であると感心しました。

 感心したあまり、飲み口付きの平た
いコップを記念に買い求めました。

 小さな女の子が退屈して噴水
の傍であくびをしていました。

 あたりは長期の療養に来ている老夫婦が圧倒的に多くて、なにが楽しいのかわからないけれど公園のベンチに座り暇つぶしをしています。

 コロナーダを通りぬけてしばらく公園のなかを歩くと、二番目の源泉であるカロリナ源泉です。

 その背後のコロナーダに
も感心しましたね。規模が
大きくて堂々としているし、
中央にある音楽堂では管弦
楽団がワルツを演奏してい
ました。音楽が壮大な建物
のなかで鳴り響いて、華や
かな雰囲気を醸し出してい
ます。

 こんなに美しい温泉地は少な
くとも日本にはない。さすがに
天下に名だたる温泉だけのこと
はある。

 ホテル街をゆるゆる上っていって、路上有料パーキングに車を停めて歩く。

 実はあまり期待していなかったのだが、町のなかに入るや町のたたずまいの美しさに圧倒されてしまった。道路の左側はホテルの列で、右側がじつに美しくしつらえてある公園だ。芝生の公園に花が咲き乱れ、噴水が吹きあがり、馬車が客待ちをしている。