別 所 温 泉 周 辺 湯 巡 り

                             2003/09/05

別所温泉大湯

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 葵の湯と書いてあるが、なにが葵かというと、次。

 このぬるい温泉はこの共同風呂の真下から現在
も湧きつづけていて、この温泉が昔からの源泉だ
というのである。隣の小さい浴槽の熱い温泉はで
はどこからきているのかというと、それはあたら
しく裏山で見つかった源泉から引いているので、
つまりこの共同浴場には二本の源泉が引き込まれ
ていて、それを別々に楽しむことができるように
設えてあるのだそうだ。お湯がガンガン掛け流し
されていて清潔そのものだ。


 この人たちはお湯に浸かっているのではなくて、
温湯のなかで寝ていらっしゃるのです。温泉のな
かで寝ることが沓掛スタイルなのです。

霊泉寺温泉


 この霊泉寺は説明するのが難しいけれど、
昔はでかい温泉だったのですが、たびかさ
なる大火でさびれてしまったのです。むか
しからのお寺、霊泉禅寺に残っている欅の
大木がこれ。欅の木の横に正門があるのだ
が、その上に鞘門がかぶせられている。こ
のお寺の境内に駐車して、

 紫陽花の花。川のたたずまいがなんとも言え
ず美しい。



 別所温泉というのはなにがなし、雰囲気のあ
る素敵な温泉ですね。

写真:2003/07/13撮影

田沢温泉「有乳湯」


 施設が鉄筋コンクリート造りであって、
有難味が薄れる欠点がある。しかし、こ
の硫黄の匂いはどうだ。とても上品な匂
いで、洗髪にも掛け湯にも温泉をつかっ
ているから、この共同浴場に入っている
あいだは、この匂いを堪能することがで
きる。これぞ温泉という有難味がある。

 この温泉も完璧な硫黄泉なのであ
る。乳白色のにごりはないが、硫黄
の匂いがぷんとする。硫黄好きの人
間にとってはたまらない温泉だ。

 なにもすることのない日があって、
車にガソリンが入っているときには、
蓼科からここだけを目的に車を走ら
せたりする。

 みじめったらしい温泉街を歩いていくと、
共同浴場の前にでる。まったく飾り気がな
い共同風呂。ポストの横が入り口なのです。
手前が男湯。

 では皆様、ご機嫌よう。

 入浴がすんだら、すぐ横手にかしわや本店という旅館が経営しているお休み所がある。ここで一服してから、地続きの北向き観音に参拝するのが順路なのだが、温泉巡りの人間は当然にお寺をスキップする。罰当たりなことだ。

 もう皆様ご存知だとおもいますけれど、長野の善光寺は南向きで、ここの常楽寺は北向きで両方あわせてペアなのです。両方併せて拝まないとご利益がないらしいのですよ。

 昔ながらの小さい浴槽がかわいらしい。
脱衣場も昔のままで小さくて可愛い。

 今日初めて入ったのだが、慈覚大師が北向き観
音建立の際、好んで入浴されたというのであるか
ら、これで
1200年の歴史のある温泉なのだ。凄い!
 ここも硫黄泉なのだが、田沢温泉の後で感覚が
麻痺したのであろう、硫黄の匂いはしなかった。
帰り際に受付のおばさんに聞いたら、「しっかり
硫黄の匂いがしていますよ」と怒られた。

 天気は晴れたりうす曇りだったりして、暑くな
かったのがよかった。助かった。

 なお、慈覚大師という人は、唐の時代に
中国に留学された僧で、彼が滞在中に唐の
十五代皇帝武宗による破仏令に遭遇し、さ
んざんの思いをして帰ってこられた平安時
代の人。著作に「入唐求法巡礼行記」全4
巻がある。この人山形県の立石寺までも創
られた偉いお坊さんなのだ。

別所温泉大師湯

 入浴料は¥150だった。

 この共同湯の温湯(ぬるゆ)はとても素
敵だ。なによりも身体に、そして心臓に負
担がかからない。じっくりはいっていると、
入浴するときその熱さに緊張するはずの足
の筋肉がゆったりと弛緩する。そういう疲
労が一度に足の筋肉にガバと出てくる。そ
れがなんとも気持ちがよい。

沓掛温泉「共同風呂」

 今回は道もわかっており、簡単に到着できま
した。この温泉はおとなりに洗濯場と野菜洗い
場が併設されている。

 お湯は単純泉なのだと思うけど、
美しい透明なお湯が、熱すぎもせず、
温すぎもせず、浴槽からこんこんと
溢れている。これぞ温泉、という感
じ。おまけにあまり知られていない
から、誰も来ない。きょうは先客が
ひとりおられたが、これは珍しいケ
ース。私のような世捨て人が心静か
に入るにはまことに適した温泉なの
です。

 騙されたと思って一度入ってみて
くださいな。

 今日は朝から湯巡りです。地図を見て
いただきましょう。

http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=
all&nl=36/19/48.987&el=138/10/19.588
&scl=250000&bid=Mlink



地図:ツーリングマップルR 中部・北陸
 昭文社 
2007 P80