ひどく暗い場所だったし、その当時のデ
ジカメは性能が悪かったので星が出てしま
った。

 使用している機械は、金沢市で使用して
いる機械と同じである。

 このような箔打機が何列もあるから、名
実ともに世界一の工場である。

 箔打ちという作業は3分間打って、15
休むのが通例であるので、写真のように全
員が一斉に箔を打つのは現実的ではない。
この写真は筆者が撮影したものだが、いわ
ば「やらせ」だと思う。


 見学者である私のために社長が仕組んでくださった仮想的な操業
風景なのだ。

 しかし、にもかかわらず、その規模の大きさに圧倒される。

 いまから50年ほど前、金沢市の製箔産業がその絶頂期にあったこ
ろの、金沢市の箔屋全てを綜合したような規模である。

 50年前は、金沢市は世界の金箔製造の中心地だった。金沢市はい
まやその世界一の地位を南京金陵金箔というたった一軒の会社に譲
ってしまったように見える。

画像:南京金陵金箔、金箔製造工場 2002/10/15撮影

 左手の平屋建てが箔打工場である。
 この工場で箔打ちが行われる。
 後ろの二棟が事務所ならびに箔移しの工場である。
入り口にはきわめて精密な金属探知機が設えてあって、
金属の移動を注視している。

南京金陵金箔股份有限公司

画像:
南京金陵金箔の箔打工場内部 
2002/10/15撮影

 同社は南京より南方約30kmのところにあ
る。「金箔」は中国語で「ジンボー」だか
ら、この都市、
南京市江宁(寧)区City
of Jinbo
と呼ぶ人もいる。もともとは揚子
江に近い場所で創業したらしいのだが、洪
水事故があったのを期に、現在の場所に移
ったのだ、と聞いた。

 こと規模が世界最大になれば、その企業に
はパブリシティーなどなくなるのだ、という
人もあるが、規模の大小にかかわらず、他人
には知られたくない秘密もあるはずだ。

 私のwebsiteは、public siteなのであるから、
つまり誰もが中を覗くことができるホームペ
ージであるのだから、南京金陵金箔はこの記
事のプライバシーにつきクレームをつける権
利がある。

 ただ、これら資料の収集については、2002
年当時、筆者は南京金陵金箔の了承をそのつ
どとりつけたし、写真をとってはいけない箇
所については、同社のご意向を遵守したつも
りである。

 また、かといってprivacyを尊重して南京金
陵金箔に関する一切の事実を伏せてしまうと、
世界の金箔製造に関する現実と将来の方向性
を見失ってしまうことになる。

 したがって、南京金陵金箔社の会社紹介パ
ンフレットに載せられていた写真、ならびに
同社社長立会いのもとで、同社長の決済を得
て撮影した写真をもとにして、この記事を書
くことにしよう。この条件なら問題は発生し
ないだろう。

 南京金陵金箔は中国で最大の金箔の
メーカーである。そして現在では多分
世界で最大のメーカーであろう。

画像:南京金陵金箔本社 2002/10/15撮影