この箇所から読み取れる事実を箇条書きにすると
1. 純金小型 153両にて金箔600枚を製作する。
「両」とは重さの単位で、1両 = 11.25匁 = 42.2g。
1匁 = 3.75g。
なお金の比重は 19.3g/cm3。
(注:明治時代以降は、1両 = 10匁 = 37.5gに改められた。)
2. 麻紙150帳 金箔を打つ材料
(その当時は金箔の打紙は麻を使っていたらしい)
3. 移し紙 138帳(?)。 1帳に移し紙が32枚。
(従って、合計 138 x 32 =
4,416枚 と計算される ?)
4. 絁は「あしぎぬ」と読み、模様を織り出さない平絹のことを意味するようです。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/syosou/syosou.html
を参照してください。
一匹一丈三尺 = 53尺 と計算しているようですが、計算根拠はわかりません。
一丈三尺 = 13尺でありますから、 一匹 = 二反 = 40尺と計算するので
しょうか。
一反とは一着の着物を作るのに必要な長さで、現在は、一反 = 26尺、あるいは
28尺と計算しているようです。
いずれにしても、金箔を打つときに使ったもののようですが、どのように使ったの
か、理解できません。それとも、製品の金箔を包むのに用いたものでしょうか?
5. 糸3両は製品を括るのに使ったのでしょう。
6. 白革4帳とは、金箔を打つときに使う「包み袋」の材料、だと推定されます。
7. 温石とは、何でしょうか? 金箔を打つときの下に置く石のことでしょうか?
8. 麻紙を暖める煖料とは何を意味するのでしょうか?
金箔を打つときに麻紙に湿気があると金箔が延びにくいので、事前に麻紙を乾燥さ
せたのかもしれません。
9. 石灰8石、とは金を精錬するときに用いる薬品、と思ってください。
不明な点はいろいろありますが、大体はわかります。
箔を打つ紙が麻であることに違和感を覚えますが、中国や東南アジアでは現在も竹紙を使っ
ているところもありますから、それが麻であっても不思議というわけではありません。事前
によく叩解(とうかい、叩いて繊維を細く潰す)しておけば「滑り」がでるのでしょう。
金 箔 製 造 材 料
写真:
『大日本古文書』二十四 天平六年(734) P40