金箔の生産にかんする問題点

 日本の国は第二次大戦前は閉鎖経済圏を構成していましたから、
好景気のときには需要が生産を上回り、金箔の相場は暴騰し、生産
者にとってはボロ儲けのうまい商売となり、不景気の場合には逆に、
箔問屋と箔打ち職人にとっては地獄となったのです。


 現在は、隣国の中国で類似品の生産が開始され、日本は閉鎖経済
圏ではなくなりました。ボロ儲けの時代はなくなり、輸入品の安値
におされて価格は下落し、あまり美味しい汁は吸えないようになり
ました。踏んだり蹴ったりの状態といえるかもしれません。


 このあたりの情況をもうすこしくわしく説明してみましょう

 データがいささか古いのですが、これで金沢市の金箔の製造傾向を説明す
るのに充分です。

 おおよそ金箔というのは贅沢品であります。
 景気が良いときには飛ぶように売れ、景気が悪くなると消費は極端に落ち
込む、という
景気依存体質が特徴です。

 上のグラフで1990年というのはバブルの絶頂期であり、金箔の需要も好調
でした。
そして、その後バブルは弾け、景気はズルズルと後退しました。金
箔の需要は直線的に減少するのです。

 このようなサイクルを数値化すると、金沢市の金箔は

              好景気の時に                     7,000万枚/年まで上昇し、

              不景気の時に                     2,000万枚/年まで減少する

傾向があることが読み取れます。