B1 と B2
このようにウイリアム・ジェームズの性格を判定しておくと『宗
教的経験の諸相』が読めるようになる。ウイリアム・ジェイムズは
自分が、「なんとしてでも救われるべき存在」であると認識してし
まい、この観点から『宗教的経験の諸相』を記述したのだ。
Psychological manipulationとは、具体的には、
信仰復興運動
回心
自然主義
薬物
等々であった。
ウイリアム・ジェイムズも口ではこのように言う。
奈落の底に落ち込んだ時に、つまり「私の全存在が生と死のあいだ
に戦慄し、過去は紫電のごとくに未来のくらい深淵の上にかがやき、
われをめぐって万象が消えて、自分とともに世界が没落する(『若き
ウェルテルの悩み』1772.11.15.)」ときに、奈落の底に飛び込むか、
飛び込まないかで差が生じる。飛び込んだタイプはB1となり、腰が引
けてしまうとB2タイプとなる。
しかし、ジェイムズがB only タイプであ
ると認定するにせよ、B onlyタイプはさらに
二種類に分類されることを認めなければなら
ない。B1とB2である。これはB体験にたいす
る対処法とか評価によって生ずる差である。
ウイリアム・ジェイムズはB2タイプであることを認識しよう。彼
は1866年、26歳のときにこの地獄経験に遭遇した。そして、フラン
スあるいはフランス語圏スイスの保養所に逃れ、養生をした可能性
がある。金持ちの家族だったから、逃げる場所があったのである。