10. 「相待」という述語 P34
龍樹が用いる特別な述語に、アペークシャー(apeksa)「相待」がある。
「相関」 他のものと相い関係し合う。
「相依」 相い依り合う。
「相待」 ?
相待と相対
「相待」 他のものを待っている。 執筆者と読者の関係
「相対」 「対」は対立だから、二者が対立している。
ドイツ語のgegen、英語のagainst。
西洋の言葉との違い
仏教用語 絶待 相待 お互いに待ち合っており、一緒になっ
てひとつのものができる。
→ 「縁起」
西洋の言葉 絶対 相対 両者はそれぞれ互いに違う。
「絶対他者」なる神と人間
例として、第十章「観燃可燃品」における薪(まき)と火の関係。
相互肯定の関係
相互否定の関係
そして、さらに、自己肯定を極限まで進めると、そのまま自己否定に逆転して
しまう関係を綿密に論ずる。
11. 「火と薪との考察」「観燃可燃品」(P53)
一体化して燃えあがるより以前には、火はそこにはない。薪もたんなる木片にすぎず、
まだ薪(燃料)とはなっていない。燃えはじめたときに、すでに木片はたんなる木片では
なくて薪となり、火もまたそこに現在化する。そして上述のようなありかたにおいて、両
者が或る点において結合して一体化してはじめて、火があり、薪がある、という。
これは両者の一体性をあらわしており、且つ相互肯定的なありかたを示している。縁起
のいわゆる相依性(相互依存関係)がここに表明されている。