週刊現代

2005年8月1日発売「月刊現代9月号」より

巨大メディアは何を誤ったか
「元NHK経理職員が明かす受信料乱費これが実態だ」

2%カットしても給与はアップ、会長の一声で巨人戦に巨額投入」

まずは、左のページ(記事では私の給料明細「200410月支給総額736,082円」・「2005年4月支給総額584991円」・「2005年6月支給総額647275円」が一覧表で掲載)をご覧頂きたいと思います。
これは、2005年7月31日付けでNHKを退職した私の@2004年10月分、A05年4月分、B同6月分の給与明細です。NHKの職員が、ふだん、どのような名目で、どのくらいのおカネを
給料として貰っているか、受信料をお支払いいただいている国民の皆様に確かめていただこうと、今回公開することにしました。
 今年6月、NHKは「受信料収入は、支払い拒否・保留の増等により、68億円の減収」という、2004年度決算を発表しました。言うまでもなく、NHKの運営は、そのほとんどが受信料でまかなわ
れています。04年度決算においても、事業収入6667億円のうち、96%にあたる6410億円が受信料収入です。
 昨年夏より立て続けに発覚した一連の不祥事により、全国規模で受信料の支払い拒否が起こった結果、現在までの「受信料支払い拒否・保留件数」はじつに100万件を突破しそうな勢いです。しかし
ながら、この数字には、12ヶ月払いなどで、すでに受信料を支払っているものの、今後の契約には応じないと考えている「支払い拒否予備軍」がカウントされていません。
したがって、「拒否・保留件数」は、今後ますます増加していくはずです。
 もう一点、付け加えれば「もともと未契約で受信料を払っていない」、いわゆる「未契約者」も、この数字には含まれていません。NHKが053月の参議院総務委員会で自ら認めた数字によれば、
受信料の契約率は全世帯対象の81.3%にとどまっており、推計で約853万世帯が未契約のままの状態になっています。「100万件」などというのは、あくまでも氷山の一角に過ぎないのです。
 



話を給与明細に戻します。今年1月に辞任した海老沢勝二前会長の後を継いだ橋本元一会長は、「管理職だけではなく、一般職の人たちにも協力をいただく」と、
職員の給与カットを打ち出し、今年度から実施しています。具体的には、役員報酬が一律15.8%、職員給与は2.0%がそれぞれ削減されることになっています。
 しかしながら、いくら「視聴者の信頼回復に向けて」というスローガンを掲げ、給与カットを喧伝したところで、その体質はあまり変わっていないように見
えます。何より私の給与明細がそのことを雄弁に物語っています。






「受信料減っても基本給は増える」


 私は大阪の公立高校を卒業後、1986年にNHKに入局しました。地方局の庶務部からスタートし、入局後は経理畑を歩き、おもにスポーツや報道の現場経理に携わってきました。
 入局19年目の、編成局経理担当だった私の0410月給与の総支給額は736082円です。このうち「基本給」は、年齢や等級、在籍年数などに応じて決まる「一般給」と、「職能給」
とに分かれます。「世帯給」とは、いわゆる「扶養家族手当」のことで、ちなみに私には母・妻・2人の子供の合計4人の扶養家族がいます。
 「基準外賃金」すなわち、前月分の残業代が163762円。「通勤交通費」がマイナスになっているのは、この月から傷病欠勤したためです。さらに、大都市の物価高を考慮した
「地域間調整」手当が、東京で働く職員には9000円、大阪では3000円が支給されます。
 これ以外にも、NHKではさまざまな諸手当が支給されます。中でも、「クリエイティブ」手当と「職能給調整」という手当は金額も大きく、しかしながら内容がいまいちよく
分からない、不思議な手当です。
 自己啓発の名目で支給される「クリエイティブ」は、制作畑、事務職を問わず、毎年4月・10月の年2回、一律42000円がもらえます。「クリエイティブ」という名前だけ
見ると、独創的で優れた作品を作ったり、業績に貢献したりした職員への特別な手当のようにも思えますが、休職中だった私にも支給されていました。






「職能給調整」は
3ヶ月に1回、支給される手当で、私の場合、昨年の支給額は101220円でした。これらの手当は実質上の「固定給」といってもよいと思います。
 このように、基本給以外にプラスされるさまざまな手当のおかげで、いわゆる「ノンキャリア」の私でも東京で働くようになった31歳以降は、
およそ900万円〜1100万円の年収を手にしていました。大卒、とくに残業時間が青天井の記者などは、さらに高給であることはいうまでもないでしょう。
 驚いたのは、今年度から一般職の給与が2%カットされたはずなのに、直近の私の基本給は、減るどころか逆に増えているという点です。Aの今年4月分の明細
を見ると、基本給は@と同じ387490円のままです。しかし、Bの今年6月分では、基本給が394930円にあがっています。
 NHKでは、4月に定期昇給でアップした基本給の金額が実際の明細に記載されるのは6月からです。それでは4月、5月はどうするかというと、「精算」という
項目で2か月分をまとめて6月に上乗せしてくれるのです。もちろん「クリエイティブ」や「職能給調整」といった手当なども支給されています。「職能給調整」
などは、「職能給」がアップした分、増額されているぐらいです(B参照)。
 そもそも「2%カット」とは、「基本給+賞与」の2%をカットするという意味であり、減額分は賞与からカットされますので、要するにボーナスが少なくなる
に過ぎないのです。
 いまどき、世間ではボーナスの支給額が下がる会社は珍しくありません。NHKが発表するさまざまな文章には「厳しい財政状況のもとで・・・・・・・」
という枕詞を付け、「役員報酬および職員給与を削減」と明記しながら、実際には職員の基本給が上がっている、これでは「減給」という実感も湧かず、痛くも
かゆくもないので、およそ戒めになどなるはずもない。むしろ私には、受信料を支払っていただいている視聴者の皆様をあざ笑っているようにおもえてなりません。




続いて、私がNHKでどのような仕事に携わってきたのか、そして、なぜ今回、このような「告発」を行う決意を固めたのかについて述べておきたいと思います。

 04721日。私は定期の人事異動で、それまでの職場であった報道局スポーツ報道センターから編成局(経理)に移りました。編成局(経理)というのは
NHKの経理職員にとってはエリート部署のひとつですが、私の心中は穏やかならぬものがありました。奇しくもその前日の720日、磯野克巳チーフ
プロデューサー(CP)の横領疑惑が発覚し、この時から私は、後に心の病で会社を休むほどの葛藤に苛まれることになったのです。
(刑事事件になるような犯罪をおかす人間がNHKにもいるのだ・・・・・)
 と、本当に驚きました。NHKは経理システムが、「性善説」にもとづいて作られており、金銭的な犯罪をきわめて起こしやすい環境にあるということは
感じてはいましたが、まさか実際に犯罪が行われているとは思わなかったのです。
 私はスポーツ報道センターの経理担当を6年間務めましたが、この間、横領こそしなかったものの、上司から依頼を受けての「予算の水増し」「決算の黒字
減らし」、あるいは「裏金作り」と、事実とは異なる経理の処理を日常的にこなし、いつしか周囲からは一目置かれる存在になっていました。
 また、その一方で、従来はどんぶり勘定だった番組制作費の内訳を正確に算定する、契約内容のチェックを厳密に行うなど、私なりに経理の健全化に向けた努力
も重ねていました。しかし、NHKのズサンな経理システムに慣れていくうちに、いつしか正常な感覚を失っていったのかもしれません。
 NHKの経理システムで、私が一番問題だと思っているのは、予算と決算が大きく乖離していても、まったく問題にならないという点です。
 新年度の予算は毎年3月の国会で承認されるため、逆算すると、1月までにはNHK経営委員会が精査・承認する必要があります。さらに遡れば、番組予算は前年
11月までに経理局予算部に、その2ヶ月前の9月には編成局にそれぞれ提出しなければならず、したがって、制作現場では8月中に要求額を決めなければなりません。


まだ番組編成が確定しないうちから、予算を確定しなければならず、番組によっては、大きな赤字が出るケースもままあります。そのため、予算の「水増し要求」

が毎年、恒常的におこなわれることになります。
 「水増し」とは、かいつまんで言えば、赤字の番組が出ることを予想し、あらかじめ黒字の予算を作っておく作業です。
 実際に私が行った「水増し」作業で、記憶に新しいのは、2002年度の決算です。この年に行われた日韓共催のワールドカップ関連の番組で、NHKは
総額27300万円の赤字を出しました。前年度に立てた予算131000万円に対して、最終の支出額は158300万円だったのです。このとき、スポーツ報道センター
の経理職員だった私は、NBA(米プロバスケットボールリーグ)や米プロゴルフの「PGAツアー」などの放送権料を前もって多めに要求することで、
トータルで黒字になるように埋め合わせをしました。
 さきほども述べたように、予算決定時期があまりにも早いので、これにはやむを得ない部分もあります。ですが、ここで強調しておきたいのは、NHKの
「赤字には徹底的に甘い体質」です。そしてその背景には、番組作りのイロハをわかっていないNHK経理担当者の無知も一因になっています。






「美味しい贅肉」


 それでは、「黒字」のための資金はどうやってつくるのか。簡単です。何らかの事情で余った予算を経理局や編成局、衛星放送局などには
戻さずに、適当な理由をつけてプールしておけばよいのです。
 わかりやすい例を挙げましょう。
 たとえば、NHKではBSで、アメリカ大リーグの試合を放送していまが、ハイビジョンで放送するために、昨年まではNHKが現地で
中継車を借りて自主制作していました。そうすると、1試合あたりの費用は約370万円かかる計算になります。




ところが、今年からアメリカの地元テレビ局がきわめてハイビジョンに近いクオリティの放送を導入して、自分たちで映像を作るようになったので、

NHKはほとんどコストをかけずに、140万円ほどで放送できることになります。これで1試合あたり370万−140万=230万円。仮に年間80試合を放送
するならば、230万円×80試合で、年間じつに18400万円もの経費が浮いたりする・・・・・といったようなケースがいたるところにあるわけです。
 そして、経理局などにはこのことを申告せず、「昨年と同じ金額がかかります」と予算を申請しておけば、余った金額がそのまま「黒字」私はこ
れを贅肉と呼んでいました。 
 かくして、NHKはたとえどれほど赤字が生じようと、いつでも贅肉で補填可能なために、誰も責任を問われることがないという組織になっ
ているのです。
 話がやや逸れますが、NHKの経理審査は一言でいえば「両極端」です。仕事でタクシーを利用した際、運賃を現金で支払った場合には「乗車理由」
に加え、「タクシーチケットを使わなかった理由」など、ことこまかに理由を記載せねばなりません。
 その一方、出張の宿泊料を精算する際にはホテルの領収証は不要でした。私がいたスポーツ報道センターでは、たとえば甲子園の高校野球大会などで
出張し、実際には日曜日に帰ってきても、月曜日に帰ってきたことにして1泊分の宿泊料を懐に入れるしかも、当の本人には「カラ出張」という意識さえ
ないという事例が、私が知っているだけでも何度かありました。
 話を戻すと、私はスポーツ担当の経理として、毎年約200億円(放送権料約150億円+番組制作費約50億円)分を担当していましたが、赤字が出て
もすぐに対処するための贅肉の予算を億単位でプールしていました。



そんな私が、当時一番強く思ったのは「NHKはカネが湯水のように余っているのだな」ということです。どこでいくら赤字が出ようが、最終的にどこかで

黒字を作って埋め合わせればいい・・・・それが私の知るNHKの常識でした。そして、そんなことが可能だったのも、NHKは受信料という名の打ち出
の小槌が、いくらでもカネを吐きだしてくれたからなのです。
 では、そもそもなぜ、NHKにはカネが余っているのか。89年にBS放送が本格的にスタートし、従来の受信料に衛星の付加料金がプラスされました。
これに加え、90年にはNHKは受信料を一挙に約30%も引き上げることに成功します。公共料金の30%値上げというのは、通常では考えられない値上げ率です。
 もちろん、その間には職員のリストラ、アウトソーシングといった経営努力も行ってはいるのですが、私がNHKに在籍した19年間のうちに、受信料
収入は一挙に2倍近くに膨れ上がっています。
 そして・・・・・・、極めて潤沢な資金をほしいままに差配し、プロ野球をはじめとするスポーツ界に大きな影響力を誇ったのが、前会長の海老沢勝二氏
その人だったのです。






「NHKタイガース」構想


左ページの表は、97年から05年にかけて、NHKがプロ野球12球団に支払った放送権料の推移を一覧表にしたものです。手元に記録がない箇所もあり、一部推定値を含んでいますが、
その期間は同じ金額で推移していたと記憶しているので、ほぼ実態を反映した数字であると確信しています。
 1997年。この年の7月に、海老沢氏がNHK会長に就任してまもなくのことです。当時、私はNHK大阪放送局に勤務していたのですが、「新会長が阪神球団を買いたがっている」
という話が伝わってきました。ニューヨーク・ヤンキースのジョージ・スタインブレナーや読売ジャイアンツの渡辺恒雄のように、海老沢会長もまた、プロ野球球団のオーナーに
なりたがっているというのです。


「NHKタイガースかいな」と、最初はタチの悪い冗談かと思っていました。ところが、翌
98年、他球団に払う放送権料が軒並み横ばいだったにもかかわらず、
唯一タイガースのみが、前年の11470万円から一気に58720万円へと、4億円以上もアップします。それでこう思いました。
「ああ、会長は本気でタイガースを狙っとったんだな」
周知のとおり、巨人は日本テレビ、横浜はTBS、ヤクルトはフジテレビとそれぞれ関係が深く、放送権を通じて接近できる球団は限られていました。
セ・リーグで、それもホームタウンで熱狂的な人気を誇る阪神の試合は、衛星放送のコンテンツとしては、それなりに魅力があったのも確かです。
 後日、東京のスポーツ報道センター勤務となった私は、当時の複数の担当者から、海老沢会長が「阪神はいくらなんだ」と、実際に買収を検討していたこと、
「公共放送なので、買うのは無理」だと担当者たちが説得して諦めさせたこと、そして「それならばBS放送権を獲得するように」との会長の指示を受けて、
タイガース主催試合(全65試合)を獲得すべく交渉を行ったが、在阪民放の強い抵抗があり、約半分の30試合のみを購入できたことなどを聞きました。
 ちなみに、当時のBS放送の、プロ野球放送権料の相場は一試合200万円ほどです。このときNHKが阪神に支払った1試合あたりの単価はその7倍以上
の約1500万円。人気球団の試合とはいえ、その法外な金額に、私は海老沢会長の「力」を感じました。
 私がスポーツの経理担当となった1998年以降も、阪神に注ぎ込む金額は増える一方でした。03年には実に98430万円もの放送権料が阪神にわたっています。
00
年には、NHK側の担当として、阪神と契約を結ぶ席に私も同席しましたが、相手側の担当者に「これだけたくさん払うんですから、いい選手を取っ
てください。強くなってくださいね」という話をしたのを覚えています。
 事実、潤沢な資金を得たタイガースは有名選手を次々に獲得し、放送権料がピークに達した03年には見事にセ・リーグ優勝を果たしています。
 「タイガースは受信料で強くなった」
 私たちの仲間内では、皆真面目にそう思っています。

 





会長の「御前会議」


99
年には、西武をのぞくパ・リーグの各球団と中日の放送権料を大幅に増やしました。その目的は、一言で言えば「日本シリーズ対策」です。
日本シリーズの中継は、セ・パそれぞれの優勝チームがコミッショナー事務局に対し、放送するテレビ局を推薦するというシステムになっています。
「リーグ優勝した際には、その推薦をもらう」という契約で、平均1億円、トータルで約8億円のカネをバラまきました。
 この「日本シリーズ獲得作戦」は、私も提案者の一人ですが、海老沢会長は、提案書を目にするなり、こう言ったといいます。
 「これで(日本シリーズ放送が)できるんなら、これでいいじゃないか」
 誰もが見たくなるような有望なコンテンツに、それなりのカネを払って、早い段階から押さえておくという行為自体は、放送局の経営者感覚
としては、ある意味では正しいものだと思います。また、人気のあるコンテンツであればあるほど、競争も激しく、年々価格も高くなってきます。
その点は私も否定しません。
 しかし、0102年にかけて、一部スポーツ紙の報道などでも話題になった「NHK・巨人戦放送権獲得」については、その舞台裏を知っている
だけに、内心じくじたる思いがあります。
 2001年秋、私は当時のスポーツ担当局長から突然、こう切り出されました。
 「大きな買い物をする。10億円ほど、(別の予算を)削れないだろうか」
 何を買うのかについては言葉を濁したものの、その話しぶりから、会長の指示で巨人戦を買おうとしていることは推測できました。
 私は困りました。この直前に、海老沢会長の「業務改革」の号令のもと、各部局には予算削減のノルマが割り当てられており、
スポーツ報道センターも7億円の予算を圧縮したばかりだったからです。「今から10億円も削るのは無理です」ということを、
ヒラの私がスポーツ担当局長、編成経理部長、放送総局長といった局の幹部らとともに「御前会議」に伺ったのでした。




説明を促された私は、会長室の大きなテーブルに模造紙を広げました。模造紙の縦軸には「衛星放送の普及度」、そして縦軸には「ハイビジョンへの期待度」という文字を書き込み、

スポーツの番組名に、放送権料、制作費、1時間あたりの放送単価を書き込んだ付箋をペタペタと張っていきました。
 「MLB(大リーグ)は、衛星、ハイビジョンともに期待できるのでこのいちばん右上の部分、ウィンブルドン(テニス)はそれよりやや下・・・・・」
 といった具合です。なお、57ページのグラフは、やはりこのときに会長に説明した際の資料で、02年(平成14年)度のスポーツ放送権料・制作費を足した総額1909000万円の内訳
を示したものです。






20億か、安いじゃないか」

 この時の御前会議で私は、あまり視聴率は取りないけれどもNHKが放送しているマイナーなスポーツを別表にして提示した上で、会長にお伺いを立てました。
 「(あまり削ってもカネは減らないので)国内の義理モンソフトは止めなくてもいいですよね」
 一部マイナースポーツは、「義理モン」ソフトと呼ばれており、コンテンツとしては非常に魅力に欠けていましたが、政治家が競技団体の会長など、
要職を務めているケースも多く、中継放送を打ち切ると、必ず、その方面から「圧力」がかかってくるという、なかなか厄介なソフトなのです。会長の返事はこうでした。
 「国内モノを切ると、いろいろとうるさいから、そのままでいい」
 その後、「NHKが、今保有しているソフトの質・量をこのまま維持していけば、支出額は年間平均で20億円ずつ増えていくことになる」という話になりました。
すると、こともなげに会長はこう言ったのでした。「20億円か、安いじゃないか」

そこで御前会議は終わり、結局、買収費用はスポーツ以外の別のセクションから捻出されました。要するにNHKという組織は、どこからでもカネをひねり出せるのです。
 巨人戦を購入する話は、01年の9月に開かれた会合で、海老沢会長が渡辺恒雄オーナーに持ちかけられたもので、後日、ナベツネオーナーが、スポーツ紙の取材に対して、
「海老沢君は非常に判断が早く、わずか15分で決めてくれた」と答えているのを読みました。
 「スポーツの連中に(契約交渉を)まかせると、いつも高く買ってくるから、自分が行く」と、自ら値段の交渉を買って出たNHKの理事は、わずか5試合の地上放送権
を約84000万円で購入する契約を結んできました。1試合単価がじつに約17000万円にもなる、桁外れに高い買い物でした。
 当時の東京ドームの巨人戦は8000万から高くても1億円程度が相場でした。事実、「阪神巨人」戦や「中日巨人」戦といった、甲子園球場やナゴヤドームでの試合を、
NHKはこのころ約9000万円で購入しています。17000万円は、いくらなんでも高すぎるのです。






企業防衛


 値段もさることながら、私は別の意味でも、この契約の不可思議さを感じていました。当時はまだ発展途上だったBS放送のソフトとしてならば受信料の増加が見込めますので、
たしかに巨人戦はそれなりの投資効果があったでしょう。しかし、いまさらNHKが地上波で巨人戦を放送するメリットはありません。当時、巨人戦はCS放送
(現在の「G+スポーツ&ニュース」)が、それこそすべての主催試合を試合前の練習風景までサービスして放送しているわけですから、コアなファンを獲得するのは難しい状況でした。
高い上に効果も見込めない。
 契約を結んだ翌年、私はスポーツ放送権の契約担当者に尋ねました。「××さん。BSで流せなかったら意味ないでしょう。何でこんなに高いんですかね」
 すると担当者は、ニコッと笑いながら私にこう言ったのです。
 「ハナちゃん(=立花氏の愛称・編集部注)、これは「企業防衛」なの。NHKがおカネを払う、読売はNHKの悪口書けない。すなわち「企業防衛」。読売1000万読者は大事・・・・・」
それを聞いて「ああなるほどな」と合点がいきました。


たしかにNHKと読売との関係はこの頃から現在に至るまで「良好」です。ご承知のとおり、昨年夏からNHKでは不祥事が頻発していますが、
他紙に比べると、読売新聞のNHK不祥事報道は扱いが小さいのです。
もう一度、57ページの一覧表をご覧ください。もしもNHKが純粋な民間企業であれば、私はこのようなやり方で企業秘密を明らかにはしなかったでしょう。
しかし、公共放送の経営トップが、およそ公平とは思えない判断基準でプロスポーツの球団にカネをばらまく。その結果、流れたカネの多寡が、球団の強さに影響
を与えかねない事態を現実に生じさせつつある。そして繰り返すまでもなく、このカネの原資は、視聴者の皆様からいただいた受信料なのです。国民の皆様にも、
そしてもちろんNHK職員の方々にも、その意味を考えてもらいたいと、今回、あえて私はこの資料を公開する決意をした次第です。生ぬるいやり方では、
この組織は変わらないと思いますから。





名ばかりのコンプライアンス委


冒頭でも申し上げたとおり、私は731日付けでNHKを退職しました。
退職を決意したのは、不正を誘発しやすい甘い経理システム、赤字番組について追及されない組織の体質、しかもその問題の本質を認識すらできない
NHKにほとほと愛想が尽きたからです。
昨年夏の横領事件発覚以後、私はこうした状況を少しでも変えようと、信用できそうな上司や、腹を割って話せると思っていた同僚に、
しばしば自分の思いをぶつけてみましたが、彼らの多くは賛同してくれるどころか、次第に私から遠ざかるようになりました。
 今年5月には、コンプライアンス(法令遵守)推進委員会に、経理操作や裏金作りの実態について訴えてみましたが、2ヶ月以上も放置されたあげく、
「すでに編成局が調査に入っており、(あなたの訴えは)コンプライアンスの調査対象とはならない」という旨の電話が1本かかってきただけでした。
 橋本会長が口にする「業務改革」は、口先だけなのでしょうか。

 
私のもとにNHKの責任審査委員会から連絡がありました。
 私とはかつて週刊誌に実名で登場し、2002年のソルトレークシティー・オリンピックで現地経理担当をつとめた際に、
NHKが保有する余った入場券を売るなどして「裏金」を作った事実を告白したことがあります。審査会は「その件で
処分を行うから、NHKに来局してほしい」ということでした。
 上司の命令とはいえ、実際に行為に加担したのは事実ですから、処分は処分として甘んじて受け入れようと思っています。
 しかし、NHKがどんなに「改革」を口にしようと、これまで私が説明してきたような、「本来の決算の役割をほとんど
果たしていない」経理システムを根本から改善しないかぎり、今後もNHKが同じことを繰り返すのは火を見るより明らかです。
 経理の現場にいた者として、このことをいま一度強調したいと思います






新潮の記事では、国税局も本気で税務調査するようです。NHKは会計検査院には細心の注意を払い続けてきた。

NHK学園に天下りポストを用意するなどしてきた。しかしNHKは法人税の免税団体
であるため、これまで国税をバカにしてきた。
源泉徴収税法違反、消費税仕入れ控除額の水増し、海外租税の減免書未提出、独占禁止法の優越的地位の乱用、
など指摘されるとマズイ事だらけである。
私は、時期が来れば国税にNHKの具体的な脱税内容をタレコミに行きます。 






「有働由美子アナに巨人戦の実況をさせてみよう」というプランが持ち上がったことで、私とスポーツ報道センター長、有働アナの3人が新宿区内の小料理店で打ち合わせをしました。


この時の飲食代は一人約8000円。センター長はこれを外部との打ち合わせをしたことにして偽名を使い、請求書を経理に通した。
こんなケースは腐るほどありますね。

この「S」での偽名を使った不正飲食経理は、先ごろ発覚した元チーフプロデューサーの1762万円もの着服に比べると小額ではあるが、一世帯月額1395円の受信料で換算すれば17か月分になる。

有働アナと飲食をしたことは何度もあります。中には目的のない飲み会もありましたが、他のプロデューサーなども有働アナと飲食店に行った時は経費で落とすのが当たり前だった。
彼女の仕事の愚痴や不満なども聞いてやらないと、好感度の高い女子アナに民放局にいかれたら困るからです。
これがエスカレートして、単なる仲間内の飲み会にも経費は使われていました。
そんな感じなので有働アナ自身も悪い事をしているという意識はないだからあの「衣装事件」も怒ったのです。


衣装事件とは昨年5月に一部報道で発覚した衣装リースを巡る横領疑惑。有働アナは個人的な付き合いのある業者とスタイリスト契約を結んで衣装を購入し、その経費を局に支払わせた上で着用済み衣装を自分のものにしていた。




アナウンサーの衣装をリースする「NHKアート」という関連会社があるのに、有働アナはスタイリストのまったくいない制作会社とスタイリスト契約を結びました。

通常の衣装代は一回1万2000円程度。しかし有働アナはこの制作会社に一回5万円の衣装代をNHKから支払わせ、自分で洋服を買ってその請求書を制作会社に付回すという事を毎回やっていました。 






余剰金150億円のつかいみち


例えばJリーグやアメリカPGAゴルフツアー、ウィンブルドンテニスなどの放送権料売買に絡んで、余剰金が発生している。それらは関連会社職員の高額な給料へと反映されています。ある子会社の経理部長のボーナスは200万円、これが年2回です。
別の関連会社では年に3回のボーナスがありました。

なぜ関連会社に大金を落とすのか。それは幹部職員がいずれ関連会社に天下りする時のために、給料を出来るだけあげておきたいから。こういうばかばかしいことに、スポーツ放送権料は使われています。

その高額な給料を支払った後になお残ったプール金が「NHKエンタープライズ21」「NHK情報ネットワーク」「NHKエデュケーショナル」の関連3社だけで150億円。

今のNHKは相次ぐ受信料着服や流用騒動のほとぼりが冷めるのを待ち、忘れた頃に支払いを義務化したい気持ちでしょう。が、まずNHK自らが膿を出し切らないと駄目なのです。 






私のところに来た受信料の支払い要求書です。

平成17年12月〜18年5月の8370円をコンビニなどで振り込んで下さい。との事です。
この金額が19年3月になると、22320円となります。このうち1712月〜183月分の
5580
円分が平成17年度の未収金として決算上は収入に計上されています。また184月〜19
3
月の12ヶ月分の16740円は平成18年度受信料収入予算に計上されています。
法人税免除や株式上場していないNHKでは、予算書や決算書は自由自在に粉飾できるのです。
平成17年度受信料減収は<予算ではマイナス72億円>でしたが<決算ではマイナス約500億でした>
平成18年度受信料減収は<予算マイナス538億円>さて決算はどうなるのでしょうか?
私の予想では<決算マイナス1000億円>は軽く突破するでしょう 





NHK
内での不倫は、まったく問題になりません。
不倫するために経費を使ったり、不倫相手を不当に採用したり番組に出演させたり
不倫は、道徳上問題ある行為ではありますが、そのことによって昇給などの
人事上の問題になることはありません。 




「その仕事ぶりは芸能部門の中では、群を抜いてた。若くして、主要なクイズ番組やバラエティ番組

を任されていました。今はもう『紅白』の担当からは外れていますが、昨年の『紅白』の陰のプロデュー
サー″は藤田EPで、本人も周囲に『オレが仕切っているんだ』と豪語していました」
 NHK随一の影響力を持つ実力者なのである。

愛人と高級ホテルで「豪遊」
 
 藤田EPに愛人がいようといまいと、それは個人的な問題であり、あれこれ言及するつもりはない。し
かし、その愛人女性に、着服された制作費が流れているとしたら、コトは違ってくる。前出・NHK関係
者が言う。
 「藤田EPの不倫相手は、同じNHKのプログラム・ディレクター(PD)。手をつないで出勤してき
たり、局内でもベタベタしている姿が目撃され、問題になったこともありました。そこでPDは『NHK
エンタープライズ』に異動になり、現在は大阪放送局勤務ですが、2人の関係はまだ続いている。藤田E
Pは『大阪に日帰り出張する』と言って、1泊することもたびたびですよ」
 このPDは30代後半。男勝りでバリバリと仕事をこなすタイプの女性だという。2人の交際について、
前出のNHK職員もこう証言する。
 「藤田EPがこの女性に会いに行くときは、1泊15万円もするRホテルのスイートルームをよく利用し
ます。食事もホテル内のレストランを利用することのほうが多く、食後にホテルのバーで飲み、部屋には
1本5万円程度の高級ワインをルームサービスさせていると聞きました」

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