平沼赳夫






【政治】
平沼赳夫氏 「日本への1000万移民、禁じ手」

「福田首相のやり方、外交にならぬ」「台湾の馬総統に、釘を刺しておいた」

ばぐ太φ 2008/06/16

 

・平沼赳夫(衆議院議員)、関岡英之(ノンフィクション作家)

関岡 台湾の馬英九新総統の就任式に出席され、帰国されたばかりですね。

平沼 演説のなかではアメリカについては触れたのに、日本については一言も言及がなかった。
 そこで昼食会のとき、私がスピーチをする機会があったので、「日本は国会会期中にもかかわらず、
 両院議員が25名も来台した、いかに台湾を重視しているかを示すものです」といったんです。
 そして最後に馬新総統に向かって、「4年後の二期目の就任式では、あなたの演説の
 なかに『日本』という国名が言及されるよう、われわれも努力します」と釘を刺しておきました。

関岡 このところチベット問題、北京オリンピック、四川大地震と、中国情勢が注目を集めて
 いますが、平沼さんは先の胡錦濤国家主席の来日や、福田政権の対中姿勢をどう評価されますか。

平沼 胡錦濤と歴代総理経験者との朝食会のときに、安倍前総理がチベットの人権状況の
 改善を申し入れましたね。そのとき胡錦濤は、「内政干渉だ」などと反論しませんでした。
 また安倍さんは、中国に不当逮捕されたウイグル人研究者トフティ・テュニヤズさんの釈放を
 求めました。テュニヤズさんは東大に留学していた人で、妻子はいまも日本にいます。
 胡錦濤に直接申し入れて、「知らなかった、調べてみます」という回答を引き出したわけです。
 しかし本来、これは福田総理が首脳会談で申し入れるべきことです。
 福田さんの主義主張なのか、「相手の嫌がることはいわない」ではそもそも外交にならない。
 チベットやウイグルの人権状況に改善の兆しが見られない以上、福田総理は北京五輪の
 開会式に出席すべきではないと思います。先日出演したテレビ番組でも、そう明言しました。

関岡 長野聖火リレーが行なわれた日、私は「草莽全国地方議員の会」と一緒に抗議活動に
 行きましたが、長野には数千人の中国人留学生が動員されていて、市街は赤旗に占拠されて
 いました。そしてデモ行進をしているとき、メンバーが中国人留学生から暴行を受けたんです。

平沼 いまはネットの時代ですから、私も長野に参加した人たちからたくさんメールをもらいました。
 そうとうひどい状況だったようですね。外国人の留学生に対して、日本政府は最多で年間280万円
 ぐらいの資金援助をしています。にもかかわらず、そんな行動をとるのは由々しきことです。

関岡 明白な暴行罪の現行犯で、現場には警察官もいたのですが、中国人は1人も逮捕
 されませんでした。しかしより大きな問題は、今回長野で起こった騒動はけっして自然発生的では
 なく、中国大使館が司令塔となって費用まで負担した組織的動員だった、ということです。
 これは『朝日新聞』でさえ報道している事実。わが国の主権下で、外国政府がこれほど大規模な
 示威活動をやって見せたのはおそらく初めてではないでしょうか。

関岡 「長野事件」にも関連しますが、最近、日本にどんどん移民を入れようという動きが
 ありますね。自民党では中川秀直元幹事長が「外国人材交流推進議員連盟」を立ち上げて、
 「移民庁」をつくって今後50年間に1000万人の移民を受け入れろ、と檄を飛ばしています。
 1000万人といえば東京をもう1つつくるようなものですが、それだけ膨大な数の外国人を
 どこから呼ぶつもりなのでしょうか。
 韓国・朝鮮人は、曲がりなりにも戦前から日本に住んでいる人や、日本で生まれ育った二世、
 三世が大半ですが、中国人のほうは政治体制もイデオロギーも本質的に異なる中華人民
 共和国から、近年、猛烈な勢いで流入して来ているわけです。在日外国人社会が根本的に
 構造変化しているにもかかわらず、現状を吟味しないまま、おそらくその大半が中国人に
 なるだろう移民1000万人を、日本に入れていこうとする動きは危険ではないでしょうか。

 

平沼 まったくそのとおりで、そういう問題意識に欠けている政治家が多いのは非常に困った
 事態です。私はこれまでも、中川昭一さんたちとともに人権擁護法案や外国人参政権問題に
 警鐘を乱打しながら自民党にも民主党にも超党派で働き掛けてきましたが、移民問題に
 ついてもそういう思いでこれから行動していきたいですね。
 たしかにいま日本は少子高齢化で、年金制度を担ってもらう現役世代も減っていきますし、
 看護師や介護士のなり手不足も深刻です。大切な農業や漁業、伝統工業の後継ぎ問題も
 しかり。ただでさえ若年労働力が不足していて、さらにニートなど、働く意欲の乏しい若者が
 増えている。一方で厳しい国際競争に勝ち残るため、海外から人件費の安い労働力を
 入れたいという事情が経済界にあるのもわかります。

 しかし移民というのはやはり禁じ手で、軽々にとるべき方策ではない。多くの先進国が
 移民政策で失敗しているでしょう。たとえばドイツでは労働力不足を補うため、トルコなどから
 大量の移民を受け入れましたが、結局、福祉予算の半分以上を移民対策に充てるはめに
 なってしまった。いまになって本国帰還を奨励していますが、二世、三世にもなると根付いて
 しまってなかなか応じないと聞きます。

 安い労働力という考えだけで移民を入れればいいというのは、あまりに短絡的です。
 経営者なら当面の利益だけを考えればいいかもしれないけれど、いずれ移民たちは
 福祉を求め、子供の教育を求め、日本人と対等の待遇を求め、満たされなければ非行や
 犯罪に走ったり、暴動を起こしたりもする。その社会的なコストをどう考えるか。結局、国民が
 そのツケを払うことになるのですから









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