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自選五十句へ

あやかし自選三十句

一反木綿千羽の鶴をくるりんぱ

 

クローンの人魚鰓まで青みどろ

 

UFOを網にからめし女郎蜘蛛

 

若草やだいだらぼっち脱糞ンだ

 

稲妻は闇夜ひっ裂きあかんべえ

 

傘お化け骨のとけゆく酸性雨

 

巣蜂ゐてオゾンホールの蠢けり

 

玉簾するりと抜けて「恨めしや」

 

組換への巨大南瓜のプチホテル

 

化け学も伊呂波楓のいろはより

 

 

河童棲み淵なすところ月涼し

 

鬼どもの宴いよいよ櫨紅葉

 

仙人が食ぶむらさきの朝霞

 

足長は手長引き連れ朧なり

 

子狸や初手は木の葉のお札より

 

虹わたる箒の魔女の見え隠れ

 

蚊燻しの跡くろぐろや化け葛籠

 

あぢさゐや峠をはしる小雨坊

 

女狐の爪先跳びや死人花

 

振り向きて消えなんとすや雪女

 

 

白玉の丸呑み見ゆるろくろ首

 

笹藻さも置行堀は淋しうて

 

謎々の「むつの狢はむんにゃむにゃ」

 

水底のどくろ抜けゆく小蟹かな

 

仙女棲む山ふところや合歓の花

 

おっとっと槌の子逃げる枯芒

 

猫寺の怪や緋木瓜の真っ盛り

 

青東風や船くつがへす海坊主

 

UVとサタン遮るサングラス

 

大天狗ひそむ翠微やほととぎす

 

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