|
『入れ墨』という言葉の響きには・・・
どこか暗い陰湿なイメージがつきまとう…
それは日本の社会では人生の裏街道を行く人達の『紋章』という認識
があり、さらに遡ると江戸時代の刑罰の歴史を背負っているからだ。
同様に彫り師の世界もその昔は閉鎖的であった。
明治時代の『入れ墨禁止令』では、彫り師は泣かされていた。
屋根裏に潜み、床下に潜って彫った時代であった。 現在では彫り物を
することは罪ではなくなったが、そういった過去が『入れ墨』日陰者にして
しまっている。 その暗いイメージを払拭するために、色々な言葉が使われ
るようになったのである。
入れ墨、刺青、彫り物、文身、紋紋、肌絵、タトゥー、スキンアート等々
が現在使用されている「入れ墨」の言葉・呼名だが、それぞれに背景が
あり、違った意味を持っている。
【入れ墨】
日本では江戸時代、流刑者に犯罪歴を残すために施したことに始まる。
中国の後漢時代に『鯨』という墨を入れる罰刑があったらしく、江戸時代
のそれは、その『鯨』から来ていると考えられる。日本では今もって暗いイメ
ージがあるのはその為である。
【彫り物】
江戸時代に火消しや鳶が恐怖にうち勝つための勇気の象徴として使
用。流刑者の入墨と区別するためにその名が用いられた。
【文身】
前の『彫り物』と同じ背景だが言葉としては、日本書記に出てくるという。
日本の伝統文化には間違いない。
【紋紋(もんもん)】
江戸時代には『倶利伽藍紋紋』と呼ばれていた。模様のことである。
入れ墨の暗いイメージから脱却するために考え出されたこの言葉も、
次第に反社会的なイメージとなり、あまり使用されなくなった。
【刺青】
正しくは『しせい』と読む。作家・谷崎潤一郎が同名の小説を書いたこと
から始まるとされている。彼も入れ墨の陰の部分を払拭するためにこの言葉
を考え出したと思われる。
【肌絵】
『刺青』よりももっと明るいイメージをもたせるために考え出された言葉であ
る。
【タトゥー・TATTOO】
前出の全てを含む英語。『洋彫』のこととは限らない。
【和彫り】と【洋彫り】
前者の歴史は江戸時代に遡る。元来、火消しなどが、日本古来の絵
(下絵)を一枚の絵として彫ったもののことをいう。『洋彫り』とは明らかに絵
柄の意味も、背景も、美的感覚も違う。善し悪しは決められない。
|