パターンあやとりの世界


第0章:はじめに

 皆さんは「あやとり」を取ったことがあるでしょうか。どんなあやとりを知っていますか。今お手元にあやとりひもがあったらどんなあやとりを取れますか。何種類くらい取れるでしょうか。

Fig.0-01:さかずき Fig.0-02:四段ばしご Fig.0-03:蝶

 あやとりというのは世界各国で伝承されているあそびなのだそうです。音楽や踊りのように人から人へと伝えられたものであるため、文献として記録に残っている一番古いものでも数百年くらいしかさかのぼれないのだそうです。でも人類は「ひも」や「なわ」という道具をもっとずっと昔から使っていたはずです。今から数千年前の縄文時代には縄目の模様が付けられた土器がたくさん作られていますから、少なくともその時代には「ひも」は発明され、便利な道具として使われていたはずです。もちろんそれだけでは当時「あやとり」があったという証拠にはなりません。でも、少なくとも装飾や表現の手段として縄を使っていたのは間違いないわけです。

 20世紀初頭くらいから、民俗学者らによって世界各地のあやとりが収集され、記録されるようになりました。今現在知られている伝承あやとり作品は3,000種類を超えているそうです。具象物を描写したもの、抽象的な幾何学パターンのもの、平面的なもの、立体的なもの、動きがあるもの、ほんとうに様々です。

 このサイトでは、そういった伝承あやとり作品の中で使われているいくつかの共通した手順や手法や、一部新たに考案した手順を組み合わせることで、たくさんの美しいパターンを生み出すことができることと、その手法をお伝えしたいと思っています。

 それぞれの手法には易しいものもあればちょっと難しいものもあります。でも、ひとたび手順を身に着けてしまえば、その順列組み合わせを試すことで数百・数千種類もの美しいパターンあやとりを生み出すことができるようになるのです。

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2021.05.01
長谷川 浩(あそびをせんとや)


(c)2021 長谷川 浩
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