以前の「ひとこと」 : 2007年6月後半
6月16日(土) 関係体(その1)
先日、5月30日のひとことで、「基本形態の構造 ─立方体はブドウ酒の味がする─」(戸村浩 著 美術出版社 定価2,800円 1974年5月15日発行)という本をいただいた話を書きましたが、その中の36-37ページの、「中心をもった立体のモデル」というのをぜひ作ってみたいと思っていました。ずっと忙しくてなかなか時間が取れないでいたのですが、この週末にようやく試作してみましたのでご紹介します。
これは何かというと、ピンポン球を2つずつ、手芸用のゴムでつないだものです。6組作りました。100 yen shop でピンポン球6個入りを2セットと、直径1mmくらいの手芸用の白いゴム(7mくらい)を買いました(300円)。作り方と、これを使ってどうやって遊ぶかは、順にご紹介してゆきたいと思います。
○
先日、「スリザーリンク」というペンシルパズルのことをちょっと書いたのですが、そうしたら、過去に何度かご紹介している、多倍長電卓LMの作者の高橋英明さんから、ご本人が作成されたスリザーリンク解法プログラムのページをご紹介いただきました。ありがとうございます。
プログラムのダウンロードは現在はできないようなのですけれども、まず、問題を高速に解く機能、盤面を編集する機能、印刷された問題をスキャナで取り込んだ画像を認識して、このプログラムで扱えるデータとして読み込む機能、さらに問題を自動生成する機能まであるというたいへんすばらしいものです。このレベルのプログラムが書けるプログラマはほんとうに少ないと思います。
ろくはロッパの…(07年5月27日)でもひとことコメントくださってありがとうございました。ここで紹介されている星探って面白いですね。昨日ちょっとやってみたのですが、最初は非公開のステージも含めて36ステージ見えているのですが、入ったもののまだ解き方がわからないのが3ステージ、まだ「?」で入れないのが3ステージ、解けたのが30ステージ、でした。
○
MISDIRECTIONさんで紹介されていた、blocks体験版もやってみました。コンピュータプレーヤー3人との4人戦ができて楽しいです。ほかの3人が次々と「もう置けない」となって、やった、こうしてこうしてこすれば一人だけ全部置けるぞ!と思ったのですが、体験版は18手までしか置けないとのことで、ちょっとだけ残念でした。でも楽しかったです。
このゲームを紹介する際にMISDIRECTIONさんがわざわざ「あそびをせんとや」に言及して下さって(こちら)恐縮です。ありがとうございます。MISDIRECTIONさんにご紹介いただいたといえば、5月11日にもキーホルダーを紹介していただいてありがとうございました。このところとても忙しくて、とんでもなく遅くなってしまってごめんなさい。
(つづく) <おまけのひとこと>
入梅したとたんに週末は土・日ともよい天気です。
6月17日(日) 関係体(その2)
昨日の、ピンポン球を2つつないだものの作り方を記録しておきます。
再掲図 まず、ゴムを用意します。今回は5cmくらいに切って(図1の上)、2回結んだ結び目を2.5cmくらいの間隔になるように2つ作ります(図1の下)。
図 1 ピンポン球に、「目打ち」を使って穴を開けます。安いピンポン球を使っているせいか、簡単にあきました。目打ちを使っているので、穴の大きさを調整するのが簡単です。(以下、写真がうまく撮れていなくてすみません。)結んでいないゴムひもの直径よりわずかに大きいくらいの穴にします。
図 2 目打ちを使って「結び目」を押し込みます。ピンポン球の穴の「バリ」が内側に出ているので、押し込むとそれが引っかかって、意外としっかりします。
図 3 もう1つ、ピンポン球に穴を開けて、ゴムの反対側の結び目を押し込みます。これで完成です。
図 4 写真を撮るのは、小さな三脚にデジタルカメラを固定して自分の前のテーブルに置いて、タイマー撮影モードでシャッターを切って、カメラの視野の中に両手で作業の状態を作ります。接写モードにしたのですが、フォーカスが合いませんでした。撮り直すのが大変だったので、そのまま載せます。
(つづく) <おまけのひとこと>
父の日でカードをもらいました。うれしかったです。それから、私が好きな麒麟のハートランドビール(500mlのビン)ももらいました。これまたとてもうれしいです。
びっくりしたのが、一輪、バラの花をもらいました。透明なフィルムでラッピングされ、そこには父の日のメッセージのシールが貼られています。ありがとう、でもなんでまた、と尋ねると、図書館でもらえたのだそうです。
先週末、用事があって金曜日は午後半日仕事を休んで実家に行っていました。実家のほうは、ここ数ヶ月というもののPCの調子が悪くてネットワークからも離れていたようなのですが、またぼつぼつと見始めたということなので、私も張り切ってもうすこし頻繁に更新をするようにしたいなと思いました。
6月18日(月) 関係体(その3)
ピンポン球をゴム糸でつないだものを使った造形の遊びを紹介しています。「関係体」というのは、このアイディアをデザインされた戸村浩さんの名づけた呼び名です。
まず、2つのピンポン球をつないだもの(以下これをユニットと呼びます)を2つ、組み合わせて、正四面体の頂点の構造を作ってみます。ゴムをちょっと引っ張って、2つのユニットのゴムがちょうど直交するように、ピンポン球4つが正方形になるように2つのユニットを組み合わせて、ゴムが互いに引っ掛かり合うようにします。すると自然とこのかたちになります。
図 1 今回のユニットはピンポン球の大きさに比べてこの組み方には長さが長いので、図1の写真を撮るときにはゴムをくるくるとねじって形が整うようにしています。
明日以降、ユニットを増やしていったときの様子をご紹介します。
(つづく) <おまけのひとこと>
このところ週末もなにやかやと忙しくて何もできなかったのですが、昨日は久しぶりにちょっと時間が取れたので、床屋にも行きました。
さて月曜日。がんばります。
6月19日(火) 関係体(その4)
昨日に続いて、ピンポン球をゴム糸でつないだものを使った造形の遊びを紹介しています。「関係体」というのは、このアイディアをデザインされた戸村浩さんの名づけた呼び名です。
今日は、2つのピンポン球をつないだユニットを3つ組み合わせて、正八面体の頂点の構造を作りました。
図 1 3ユニットですから、ピンポン球は6個です。1つのピンポン球には4つのピンポン球が接していますが、ゴムひもでつながれた相手は、自分とは接していない、相対する頂点に位置するピンポン球です。
正八面体の頂点位置にピンポン球があることを説明するために、ジオシェイプスで正八面体骨格を作ってみました(図2左)。たまたま同じくらいのサイズの模型ができました。
図 2 今回の、普通のサイズのピンポン球を、約2.5cmの間隔でゴムひもでつないだユニットだと、今日の3ユニットの構造でも、わずかにゴムひもが余る感じになります。
(つづく) <おまけのひとこと>
写真に撮ると、ピンポン球というよりは「おだんご」のように見えます。
夜中に目が覚めて更新しているのですが、今日19日(火)は上の子は登山で、学校に朝5:30集合です。
6月20日(水) 関係体(その5)
ピンポン球をゴム糸でつないだものを使った造形の遊びの続きです。今日は4ユニットを使ってみます。4ユニットというとピンポン球8個ですから、8頂点の多面体の構造になります。8頂点というとすぐに思いつくのは立方体です。うまいこと立方体の頂点の構造が作れるでしょうか?
図 1 図1は、4つのユニットによる造形です。立方体の頂点には見えないですね。残念ながら立方格子のかたちには安定しません。そのかわり、これがどんな多面体の頂点の構造になっているかというと、図2のように、デルタ十二面体の頂点の構造になっています。かたちがわかりやすいように、3D-ジオシェイプスでデルタ十二面体を作って、向きを揃えて並べて置いてみました。
図 2 もう1枚、別な視点からの写真です(図3)。デルタ多面体については、山口陸幸さんの多面体の世界の、デルタ多面体のページに詳しいです。ちょうど、頂点に球を配置したCGも表示されています。
図 3 いかがでしょうか。このデルタ十二面体というかたち、おもしろいかたちです。でも、CGや写真で見ているだけだとこの対称性の面白さはいまひとつわかりにくい気がします。
(2007年9月17日追記:この話題の続きを2007年9月16日に書いています。)
○
先日、“多倍長電卓LMの作者の高橋英明さんから、ご本人が作成されたスリザーリンク解法プログラムのページをご紹介いただきました。”と書きましたが、肝心のそのページへのリンクを書き忘れました。こちら、スリザーリンク解法プログラム、です。プログラムもダウンロードできるように対応していただきました。ありがとうございます。早速ダウンロードしていじってみたのですが、これは本当に面白いです。
図 4 とりあえず、手元のパズルの本から問題を入力してみたのですが、リアルタイムにそこまで入力した状態から決まる部分が描かれてゆきます。これが面白い!のです。こんなプログラムが書ける高橋さんを尊敬します。たいへんお勧めです。これを無料で公開していただいていることに感謝です。
<おまけのひとこと>
昨日は帰宅時にちょうど大雨になって、ひどくぬれてしまいました。
6月21日(木) スリザーリンク解法プログラムで遊ぶ
ピンポン球モデルはちょっと中断して、今日は昨日ご紹介した、高橋さんのスリザーリンク解法プログラムで遊んでいる話をご紹介します。「スリザーリンク」というペンシルパズルをご存知ない方は、ニコリ公式パズルガイド「スリザーリンク」をご覧ください。こちらのおためし問題や、藤原博文さんのページのナンバーライン問題集で遊べます。
さてこの高橋さんのスリザーリンク解法プログラム(sul.exe)、何が面白いと言って、ひとつ数字を置いたり値を変えたり削除したりするごとに、リアルタイムに盤面を解析して解いてくれるのがすばらしいです。この機能を利用して、1つ問題を考えてみました。
スリザーリンクの10×10マスで、解が一意に決まる問題のうち、盤面に配置する数字の個数が最小のものはどんな問題でしょう? またそのときの数字の個数はいくつでしょう? ただし、10×10マスの問題とは、最外周の正方形の上下左右の4辺を必ず1区間以上通過するものとします。 たとえば、3を2つのマスに隣り合わせに並べて、その2つのマスをドミノの牌のように取り囲む小さな輪が解だとすると、下図のようなものも「有り」になってしまいます。これだと盤面が10×10という意味がないので、そのような小さな解を除外するために最後の条件をつけています。
参考図 この「最外周の正方形の上下左右の4辺を必ず1区間以上通過する」というのは若干強すぎる条件かなあとも思いますが、ルールということで決めてしまいます。
具体例で説明すると、
⇒ 図 1 図 2 この図1の場合は、最外周の4辺を通っていますので「10×10マス問題」として成立していますが、数字を3つ4ついじった次の図3は
⇒ 図 3 図 4 解が10×10の左側の外周を通りませんので、これはNGだ、ということにします。(こんな問題や図もすぐに適当に作れるところが、この解法プログラム sul.exe のすばらしいところです。)
下の図5は、私がこの「上下左右の外周を通る」という条件を思いついて、例として最初に作ってみた問題です。数字30個です。
⇒ 図 5 図 6 この「スリザーリンク」、ニコリ誌上では、「数字の位置は対称形で、数字そのものは非対称、従ってループは非対称」というパターンの問題が出されていますが、ここでは数字の配置や解のループの対称性については何も条件はつけません。対称であってもなくても、とにかく上下左右の外周を最低でも1スパンは通って、解がユニークに決まる問題で、数字の個数が少なければ少ないほどよい、ということです。
私が現在到達した個数は・・・今日のところは伏せておきます。スリザーリンクがお好きな方、ぜひお試しください。
(つづく) <おまけのひとこと>
数学協会の機関誌「数学文化」の最新号(第8号)が届きました。ありがとうございます。忙しくてまだ自分のページしか見ていないです。