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以前の「ひとこと」 : 2006年10月後半



10月16日(月) n^5-n の問題(その1)

 先週末は東京に出張でした。せっかくなので帰りの列車は遅い時間の指定券を手配しておいて、少しだけ楽譜や本を見てきました。またおいおいご紹介したいと思います。



 先日、ちょっとした数学の入門書を見ていたときに見かけた問題をご紹介します。

任意の自然数 n を考えます。n の5乗から n 自身を引いた数の1の位は必ず0になることを示してください。

 つまり、任意の n に対して n5 - n が10の倍数であることを示してください、という問題です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近、週末は更新をお休みさせていただいています。

 土曜日は小学校のPTA作業がありました。今年は温室のビニールの張り直しということで、比較的楽な仕事だなと思っていたのですが、それが終わったあとで、とても大変な仕事が回ってきてしまいました。ビニール袋入りの肥料のようなものの処理を頼まれたのですが、そこに大量の虫が湧いているということで、かなり恐ろしい状態でした。8袋くらいあったのですが、花壇の一角を2坪ほど深く掘って、袋から出して埋めました。自分の眼が悪くてよかったと思いました。






10月17日(火) n^5-n の問題(その2)

 昨日、 n5 - n が10の倍数になることを示してくださいという問題を書いておきましたが、先週末(13日)の問題と合わせて、解答を送って下さった方がいらっしゃいました。本当にありがとうございます。

 さて、とりあえずこの問題を小学生に説明することを考えます。10で割り切れるかどうかというのは、1桁目だけに注目すればよいわけですから、まず任意の数を5乗したときの1桁目がどうなるかを考えて見ます。

 たとえば「任意の数」の1桁目が2だったとしましょう。2乗した数の1桁目は 2×2=4 で4です。3乗すると、もう1つ2を掛けますから 4×2=8 で8、さらに4乗だと 8×2=16 なので 6、最後に5乗だと 6×2=12 なので 2 に戻ります。

 これを0から9の全部の数字についてやってみたものが下の図です。

 このように、5乗すると、1桁目の数字は必ず元に戻るのです。ですから、5乗した数から元の数を引くと、1桁目は必ずゼロになるのです。というわけで任意の n に対して、n5-n は 10の倍数になるのです。



 ところで、n2-n は 2 で割り切れますし、n3-n は 3 で割り切れます。これは簡単な式変形で示すことができます。

 このように n2-n は連続する2つの数字の積として表現できますから、どちらかは必ず偶数になります。というわけでこの数は必ず2の倍数です。

 同様に n3-n は連続する3つの数字の積としてあらわせます。ということはこの3つの数字の中には必ず3の倍数があるはずです。(ちなみに、「ある数の3乗を計算するには、ある数に、その数より1つ小さい数と、その数より1つ大きい数を掛けて、さらに元の数を足せばよい、というのはちょっと面白いです。たとえば 9 の 3乗を直接計算するかわりに、8×9×10+9 と計算しても良い、ということです。どっちにしろ暗算で計算できるレベルですけれども。)

 ・・・と、ここまで見ると、なんだか一般化してみたくなります。n5-n は10の倍数ですから、もちろん5の倍数でもあります。

仮説
n2-n は 2 で割り切れる。
n3-n は 3 で割り切れる。
n4-n は 4 で割り切れる?
n5-n は 5 で割り切れる。
n6-n は 6 で割り切れる?
n7-n は 7 で割り切れる?
np-n は p で割り切れる?

 これは 2 と 3 と 5 のときだけ成り立つのでしょうか? それとも任意の p について成り立つのでしょうか? それとも何か特別の条件のある p に限定して成り立つのでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 すみません、よくご存知の方には回りくどい話になっているかな、昨日の段階でこの展開は想像されているかな、と思いつつ書いています。

 最近またメールの御返事が滞っていて大変申し訳ありません。たいへん嬉しく拝見しているのですが、御返事を書きかけのものがたまっています。(メールに関しては非常に筆が遅いのです。)






10月18日(水) 金剛力士像

 昨日は親族の不幸があって、一日仕事をお休みして葬儀に参列してきました。そのときに、もう何十年も前に自分がかかわった造形物と再会してきました。

 「あそびのコラム」 に、金剛力士像というコラムを追加しました。

<おまけのひとこと>
 今週は打ち合わせが続きます。忙しい・・・






10月19日(木) n^5-n の問題(その3)

 昨日は別の話題をはさみましたが、n5-n の話の続きです。とりあえずこれが5で割り切れることを数学的帰納法で簡単に示してみます。

1.n=1 のとき、n5-n=1-1=0 なので5で割り切れる。

2.n=k のとき、n5-nが5で割り切れると仮定して、n=k+1 のときにも5で割り切れることを示す。

であるから、

となる。従って、k5-k (つまりn=kの場合)が5で割り切れるならば、残りの部分は5で割り切れるので、

 (k+1)5-(k+1)

も5で割り切れることが示せた。

 さて、先日も書きましたがn2-n は 2 で割り切れますし、n3-n は 3 で割り切れます。これを一般化できないか、np-n が p で割り切れるのか、ちょっと試してみましょう。一番計算が簡単な n=2 の時に、いろいろな p について調べてみます。

 4の場合:24-2 = 16-2 = 14 で4で割り切れません。いきなり反例です。5のときは証明できているので、6も試してみましょう。26-2 = 64 - 2 = 62 で、これもダメです。 では 7 の場合、27-2 = 128-2 = 126 = 7×18 で、とりあえず n=2, p=7 では成立しています。 n=3 ならば、37-3 = 2187 - 3 = 2184 = 7×312 で、これも7で割り切れます。

 ということで、n7-n は 7で割り切れるかもしれません。同じように帰納法で証明してみましょう。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は朝早くから打ち合わせがあって、いつもより早く出かけなければなりません。
 だいぶ寒くなってきました。
 昨日の帰りに給油をしたら、486.4km走って 23.3リッターでした。リッターあたり 20.88km くらいです。まあ前回とほとんど同じ数値で、このあたりが実力なのかなと思います。今後もなんとか 20kmは維持できるといいなと思っていますが、冬場は難しいかな・・・






10月20日(金) n^5-n の問題(その4)

 n5-n が 5 で割り切れるなら、np-n は p で割り切れないだろうか、という話の続きです。これを数学的帰納法で証明することを考えてみています。

1.n=1 のとき、np-n=1-1=0 なのでpで割り切れる。

2.n=k のとき、n5-nがpで割り切れると仮定して、n=k+1 のときにもpで割り切れることを示せれば、その p では割り切れることが示せる。

 昨日の5の例と同じように、まず (k+1)p の展開を考えます。 n=k+1 のとき、(k+1)p-(k+1) は、(kp+ ・・・+ 1)-(k+1) となって、まず 1 は引き算されてなくなって、順番を入れ替えると(kp - k) + (残りの中間の項) ということになります。このときの係数はパスカルの三角形になることが知られています。

 パスカルの三角形を見て、両端の 1 を除く中間の項が p で割り切れる段を見てみましょう。すると、下の図のように、2,3,5,7,11… という段は、その段数 p で割り切れるということが見えます。

 この数字の列は何でしょうか。そう、素数です。パスカルの三角形の一般項をご存知の方ならば、pが素数のときにpの倍数になっていることを示せると思います。

 この、「np-n は、 p が素数のとき p で割り切れる」というのは、有名なフェルマーの小定理(フェルマー・ワイルズの定理ではありません)から直ちに導き出せるものです。 ここまでの話の流れで、 p が素数でないときの議論はしていません。p が素数でないときは、適当な n、例えば pの倍数になっているような n を選べば、もちろん p で割り切れてしまいます。 「フェルマーの小定理」で検索すると、いろいろな説明や証明が見られます。今週ご紹介してきた話は、単純な割り算の話から、思いがけないところに「素数」というものが出てくる面白さをお伝えしたくて書いたものです。数学的帰納法やパスカルの三角形を知っている高校生ならばこの面白さを理解していただけるのではないかと思います。

<おまけのひとこと>
 明日の朝は小学校の「ファミリーリサイクル」(廃品回収)の行事があります。午後は少年野球の来年度の役員を決める会合で、「必ず夫婦揃って参加してください」と言われています。野球の練習は、学校がない日は、盆正月以外はほぼ毎日あって、普通の週末なら土日の2日、三連休なら3日、学校が振替休みなら平日でもやる、というものです。指導は父親がするのですが、本当に頭が下がります。(私は今年度は一番下の学年なので練習の送迎くらいしかしていません。) この活動によって、縦のつながりができて、上級生は下級生を大事にしてくれていますし、例えば「差し入れ」のお菓子なども、学年が下の子のほうが優先になるように上級生が気を配ってくれていたり、本人にとってよい面もたくさんあるようです。










10月23日(月) 6つの星を組んだボール

 久しぶりに100円shop のダイソーに行ったら、「くねくねスーパーボール」というものが売っていました(図1)。2個入りだったので、1つはばらしてみました(図2)。

図 1 図 2

 おそらく星型の素材を手作業で組み立てているんだろうなと想像しています。接着剤が余計なところにまでついていて、簡単には分解できませんでした。弾力がある素材で摩擦が大きいので、もう一度組み立てるのは大変そうです。

 これと同じ構造のものを、以前こちらでご紹介したことがありました。紙で作ったもののほうがきれいだな、と思います。

<おまけのひとこと>
 先週末の廃品回収で、重たい雑誌や新聞紙の束の積み下ろしを休みなしで2時間以上続けたら、筋肉痛になりました。






10月24日(火) スリット入りディスクを組む(その1)

 昨日に続いて、100円shop のダイソーで買ってきた「玩具」のご紹介です。パッケージを処分してしまったので名前がわからないのですが、図1のように、直径35mmくらいの円盤の8方向に切れ目が入っていて、それを互いに組み合わせることで形を作るというブロックがあったので、2セットほど買ってきました。

図 1

 1セットには4色×12枚の48枚が入っています。色は「白・赤(ピンク)・黄色・緑」です。 とりあえず、このブロックで多面体っぽいものを組もうとしたときに最初に思いつくだろうかたちを組んでみることにしました。

図 2 図 3 図 4

 3色それぞれ6枚ずつを使って、立方体のような構造を作っています。(立方八面体のようにも見えます。) この形は無限に繰り返して広げてゆくことができます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨晩は強い雨風で、仕事帰りの道中がちょっと大変でした。風が強いため、路面の雨水が、まるで地吹雪のように風に流される様子が見えるのです。今朝も雷の音で目が覚めました。「一雨ごとに…」と言いますが、これでまた寒くなりそうです。






10月25日(水) スリット入りディスクを組む(その2)

スリット入りディスクを組む話の2回目です。今日は3つの八角形を直交して組む形をご紹介します。これもこのブロックならばすぐに思いつく形だと思います。

図 1

 昨日のものも今日のこの図1のものも、1セットで組めます。3次元の座標軸をxyz軸とすると、xy面、yz面、zx面に1つずつ八角形の輪が存在しています。これを2組ずつにすれば、小菱形立方八面体(斜方立方八面体)になります。パーツが足りないので、途中まで組んでみました。

図 2 図 3

 4セット買えば作れます。もう2セット買い足して作ってみたいような、そこまでしなくてもよいような、微妙なところです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は寝坊してしまいました。いつもだと朝おきてから家を出るまでに1時間半くらいあるのですが、今日はいつもより30分ほど時間が少ないです。朝やろうと思っていたことが時間がなくてできないです。






10月26日(木) スリット入りディスクを組む(その3)

スリット入りディスクを組む話の3回目です。今日は、もう少し立方体らしい形にならないかなということで、若干大きなものを作ってみました。

図 1

 一般的な視点から見たところです。白を24枚、残りの3色は16枚ずつ使っています。

図 2 図 3

 図2のような角度から見ると立方体っぽく見えます。図3の角度からだと、もっと違う形のような感じがします。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨夜は帰宅がとても遅くなってしまいました。今日は早く行かないといけません。






10月27日(金) スリット入りディスクを組む(その4)

 昨日までは、基本的にパーツに無理がかからない、90度か45度の組み方だけでできるものを考えていましたが、こういったブロックの素材の場合、ちょっと無理をさせて弾性変形してひずみを分散させて組む、ということができます。組みっぱなしにするとパーツに癖がついてしまうのであまり望ましくないのですが、これによって作れる形が格段に増えます。

 たとえば6枚でリング状に組む場合、直角だけで組むのとは別に、こんな組み方もできます(図1、図2)。

図 1 図 2

 図3は、10枚、12枚、14枚でリングを作ってみた例です。

図 3

 こんな形が作れると、多面体構造も立方体の対称性以外のものも作れそうです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は早朝から深夜まで出張です。こんな日に限って天気がよくないようで悲しいです。今朝は妙に早く起きてしまったのですが、体調が万全ではなくて、やれやれ大変な一日になりそうです。






10月28日(土) 携帯電話

 携帯電話を買いました。今まで一度も持ったことがなかったのですが、最近必要になってきたので、仕方なく買いました。おりしも番号ポータビリティが始まって最初の週末ということで、お店はどこも混雑していました。

<おまけのひとこと>
 コンサートの練習がなかなか時間が取れなくて進みません。あと3週間です。エマニュエル・バッハのフルートソナタはオブリガートチェンバロ(伴奏ではなくて独奏楽器という位置づけ)なので、これが一番心配です。






10月29日(日) ジブリ美術館

 先日、三鷹の森ジブリ美術館に行く機会がありました。建物が面白かったです。以前にもご紹介した、キッズプラザ大阪のフンデルトヴァッサー建築を思い出しました。螺旋階段や吹き抜けに渡された細い橋、身をかがめないと通れない小さなアーチをくぐって入る小部屋など、とても面白い建物でした。

 中央ホールの壁には、井上直久さんの絵が、ちょっとした「だまし絵」風に描かれていました。

 パティオのある半地下の中庭で、高校の制服を着ているとおぼしき男の子2人と女の子3人が、スタッフの制服を着ている若い男の人から「仕事の心得」とおぼしき説明を受けていました。説明をする側は、そんなときに話す内容がかかれた原稿なのでしょう、それを一生懸命読んでいる様子でした。私が通りかかったときには、ちょうど以下のような話をしていました。

 ・・・ジブリ(美術館)のスタッフになったからといって、アニメータになれるわけではない。今、ジブリでアニメータとして仕事をしている人たちは皆、よそで成果を上げてそれを認められてジブリに仲間入りしている。アニメータになりたいのであれば、アニメ以外の世界をよく知り、見聞を広めなければいけない。ここでの仕事はその役には立たない。・・・

 多分、働きたい希望者は多いのでしょうけれども、いろいろなお客様に対応する仕事は大変そうでした。

<おまけのひとこと>
 細い螺旋階段の入り口に「頭上注意」と書かれていたのですが、頂上付近で頭をぶつけました。「頭上注意」の注意は入り口だけだと思ってしまった私の失敗です。でも、危険がある直前にもう一度表示して欲しかったです。






10月30日(月) 下町の道

 昔、もう20年近く前に住んでいた近所に偶然出かける機会があって、ちょっとだけ回り道して散歩してきました。

 このように、なんとなくまっすぐでない道が妙な枝分かれをしているところがたくさんあって、道に迷いやすいところでした。下の図1は三叉路、図2は五叉路の写真です。「道なり」に歩こうとしても、どっちに進んだらいいのか迷うような道です。しかもどの分岐の先もすぐにゆるやかに曲がって先が見えなくなるので、交差点のまんなかでぐるりと見回しても、どっちに進んだらいいのかよくわかりません。

図 1 図 2

 図2の部分の地図を検索してみました。

図 3

 図2の写真は、図3の地図の左側の矢印のあたりから撮っています。地図で見ると右上から左下に向かう道が「道なり」のように見えますが、現場ではとてもそうは見えません。

 以前住んでいた建物はすでになく、別な建物になっていました。当時の馴染みのお店もほとんどがなくなっていました。久しく忘れていたことをいろいろと思い出しました。

<おまけのひとこと>
 カメラを取り出すと、トラ猫が「にゃあ」と声をかけてポーズをとってくれました。こんなことは初めてで、とてもびっくりしました。
 スリット入りディスクを組む話は、新しいものをいくつも作っていますので、またご紹介します。






10月31日(火) テレビ石

 先日、図書館の帰りにちょっと雑貨屋さんに立ち寄ったら、テレビ石のストラップが売っていたのでつい買ってしまいました。280円(税別)でした。

図 1 図 2

 「青」「赤」「白」のものがあったのですが、白いものを選びました。 

図 3

 ノートパソコンのステッカーの上においてみました。

 この「テレビ石」の原理を真似たコンクリートブロックがあったなあと思ったのですが(こちら)、メーカーのページを見ると出ていません。やめてしまったのでしょうか。面白いと思ったのですが。

<おまけのひとこと>
 書きたいメールがたまっています。御返事がとても遅くてごめんなさい。






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