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以前の「ひとこと」 : 2006年7月後半



7月16日(日) 平面グラフ

 先日の、立方体の各面を4分割した、2×2×2の立方体の骨格を平面グラフにしてみました。

再掲図

 上の図の骨格の、赤い4つの頂点に注目して、それをぐっと広げて、残りの骨格が理想的なゴムひもだとして、どんな形に安定するのかパソコンに計算してもらいました。

平面グラフ

 どうでしょう、元の立体のどこがどの頂点なのか、どれがどの面なのかわかりますか?

(つづく) はずだったんですけれども…

<おまけのひとこと>
 15日(土)は地区の飲み会があって、記憶がなくなるくらいお酒を飲んでしまいました。失敗。






7月17日(月) パズル

 3D Logicというパズルをついやってしまいました。「ナンバーリンク」という、同じ数字同士を交わらない線で結ぶペンシルパズルがありますが、それを立方体の1つの頂点の周りの三面を使って遊ぼうというものです。

 数字のかわりに色を使うのできれいです。ちょっと操作性がなじみにくいですが、慣れれば気になりませんでした。「ナンバーリンク」とは違って、使わないマスもたくさんある(場合もある)し、最初のうちはやたら易しいですが、途中から適度な難易度になって楽しめました。

<おまけのひとこと>
 16日、17日と雨でした。






7月18日(火) 4枚のカード

 先日もちょっと書きましたけれども、日本数学協会の機関誌の『数学文化』という雑誌にちょっと記事を書かせていただきました。

 そのときに使ったCGは、もともとはカラーのものでした。それをご紹介しようかな、などと思って、どうせならボツにしたCGとかも載せようかな、とちょっと思っています。

 近々、ちゃんとしたサポートページを作ろうかと思っているのですが、ちょっとそのために用意したCGを1つ、先行して紹介することにしました。

<おまけのひとこと>
 さてまた一週間がはじまります。






7月19日(水) 不確実な状況での判断

 とある文献に載っていた「問題」が面白かったのでご紹介します。いきなり「問題2」から始まっているのは、元の文献の問題番号を踏襲しているためです。(引用元については明日ご紹介します。)

問題 2
あなたは次の「賭け」を受けますか?

・確率50% で 1万5千円をもらえる
・確率50% で 1万円を支払う

 これは、参加料が1万円で、確率50%で2万5千円がもらえる「賭け」だと考えてもよいでしょう。この「賭け」に参加できるチャンスは1回だけとします。(こんなギャンブルをやったら、胴元はあっというまにつぶれてしまいます。) あなたはこの「賭け」を受けたいと思いますか?

 では次はどうでしょう?

問題 3
あなたは次のどちらを選びますか?

選択肢A: 確実に1万円を支払う

選択肢B:
 ・確率50% で 5千円をもらえる
 ・確率50% で 2万円を支払う

 今度はどうですか?

 この2つの問題に対して、答えは4通り考えられます。

問題2問題3
1賭けをしない選択肢A
2賭けをしない選択肢B
3賭けをする選択肢A
4賭けをする選択肢B

 なんとなく、問題2で賭けをする人は選択肢Bを選び、賭けをしない人は選択肢Aを選ぶ傾向が強いのではないか、と思えるのですがいかがでしょうか。また、皆さんご自身はこの1〜4のどのグループになりましたでしょうか?

 問題3の場合は、最初に1万円を失うことは決まっています。実はその後で、先ほどの問題2と同じ「賭け」をしますか? と言っているのと状況は同じなのです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日、3D Logicをご紹介しましたけれども、kawachoさんのblog 紙折ってる場合だろ!!で、私と同じく23面で苦労されているというのを拝見しました。実は私も23面の画像を載せましたが、昨日の段階ではまだ解けていなかったのです。
 この手のパズルは、問題作成者にとって恐ろしいのは「解がないこと」ではなくて「意図しない(易しい)別解が出てしまうこと」だと思います。ですから、プログラム作成者が問題のデータを入れ間違えたということがない限り、解がないということはないだろうと思いつつも、でももしも本当に23番が解けない問題だったとしたら、紹介した私の罪は軽くないなと思って、あせって考えてみました。
 しばらく考えたら、最初に見たときには思いつかなかったアイディアがひらめいて、無事解くことが出来ました。この下にごく簡単なヒントを書いておきます。

ヒント1:23面の問題では、マス目は余りません。

ヒント2:1色だけ極端に遠回りです。

ヒント3:極端に遠回りなのは、もともと両端が一番近い色のものです。

 その後はさくさく進んで、28面に来たところでちょっと盤面が広くなって面倒になってまた止めています。


 雨が、というか川の様子がすごいようです。






7月20日(木) ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)

 昨日ご紹介した「問題」ですが、これは2002年にノーベル経済学賞を受賞されたダニエル・カーネマンという人の受賞記念講演(こちら)のテキストからの引用です。2002年というと、あの田中耕一さんや小柴昌俊さんと同じ年の受賞者です。「心理学研究の洞察を経済学に導入した功績、特に不確実性のもとでの人間判断と意志決定に関する研究を讃えて」というのが受賞理由だそうです。

 従来の経済理論というのは、人は経済行動の際に合理的に振舞うという前提で理論が組み立てられていたそうです。(それはそうだと思います。) ところが、カーネマン教授は「人は不確実な状況下では合理的な判断をするとは限らない」ということを実験的に示し、さらにそれに基いた理論を提唱されているのだそうです。

 昨日の「問題」では、確率5割で1万円を失うか1万5千円を得るかという賭けを受けるかどうか、という問いかけをしました。問題2では±0円からはじめるという条件、問題3ではマイナス1万円からはじめるという条件でした。実は実験の結果を見ると、問題2のときには期待値はプラスであるにもかかわらず賭けをしないと答えた人が、問題3の条件では賭けをするという選択をする場合があったそうです。わかる気がします。

 ここには二重の意味で、従来の経済学で言う「合理的な判断をしない例」が現れています。1つめは、期待値がプラスなのに賭けをしない、という「経済学的」な意味での「不合理性」、2つめは、問題2と問題3のように条件が変わると行動指針が変わる、という意味での「不合理性」、です。

 また、例えば問題5ではこんな例が挙げられています。

問題 5
AさんとBさんが今月度の資産運用状況の報告を受けました。

 Aさんの財産は4億円から3億円になりました。
 Bさんの財産は1億円から1億1千万円になりました。

 2人のうちどちらが、財政的に、より満足すべき状況だと言えるでしょうか?
 今日、より幸せなのはどちらでしょうか?

 何が言いたいか、明らかだと思います。

 この記念講演のテキスト、私はまだほんの拾い読みしかしていないのですが、面白そうなので時間があったら読んでみたいと思っています。

<おまけのひとこと>
 先日の日曜日から降り続いた雨のため、昨日は人命が失われるような土砂災害が発生し、大変なことになっています。私の住んでいるところは小高いところなので今回は直接の被害はないですが、交通網が寸断されてしまったのがとても困りました。

 昨日は高速道路が止まって、一般道もそこらじゅうで冠水して交互通行やら通行止めやらになっていました。鉄道はすべて終日運休です。いったいどうしたらいいんだろうと思っていたら、とりあえず会社の緊急連絡網が回ってきて、とりあえず臨時休業ということになりました。今日は大事な打ち合わせがあったので、相手の方に連絡を取ったところ、明日(20日)は朝8時から打ち合わせを、ということになりました。明日には回復しているだろうと思ったのでOKしたのですが、この更新の文章を書いている19日の23時現在、高速道路は100mに渡って土砂災害にあっているそうで復旧の見通しは立たないそうですし、鉄道も20日は朝から運転見合わせだそうで、明日の朝はいったい何時に家を出て、どこを走ったら朝8時に出社できるんだろうと心配しています。

 諏訪湖周辺はどこが通れるか不明ですし、国道の峠も土砂崩れがあって片側交互通行だそうです。そのルートを走るか、いつも実家に帰るときに利用するD峠を越えて、そこから長いトンネルのあるM峠を越えて大回りして行くほうがましなのか、仮に行かれたとして、明日の午後からまた梅雨前線が戻ってくるそうで、そうしたら帰宅できるのかどうか、いろいろ心配です。

 というわけで昨日に続いて前夜の更新です。


 高速道路は私が利用している区間は復旧したようです。助かりました。(7月20日 5:00)






7月21日(金) スヴェーリンクの2声のファンタジア

 今年の5月26日のひとことで、スヴェーリンクという作曲家についてちょっと書きました。スヴェーリンクの作品としては珍しく2声の、しかも音域もそれほど広くない曲がみつかったので、MIDIデータにしてみました。

Fantasia 10 (J.P.Sweelinck)

 このMIDIデータから楽譜を生成してみました。仮にリコーダー2本で元の音の高さ通りに演奏するならば、テナーとグレートバスで吹くことになりますが、この楽譜(およびMIDIデータ)はそれよりちょうど1オクターブ上げて、ソプラノとテナーで吹くことを想定しています。

 2声なのに、和声や掛け合いが、いかにもスヴェーリンクらしいところが見られてすばらしいです。鍵盤で弾くとちょっと物足りないですが、笛2本ならばきれいだと思います。

<おまけのひとこと>
 先日ご紹介した3D Logicというパズルを、blog 日々雑感2006でも取り上げていただきました。ありがとうございます。このパズルは全部で30面ありますが、23面が一番難しいと思います。(最後まで解きました。)

 昨日の臨時休業の振替出勤日は8月19日(土)になりました。明日ではなくてちょっとほっとしています。(朝三暮四? いえいえ、今週末はまた雨が降りそうなので大変だな、と・・・)






7月22日(土) ことば

 いつも見せていただいている blog 日々雑感20067月21日の記事に、「都知事が・・・と、アジっていた。」という文がありました。「アジる」という言葉が自然に通じる世代の方なのだな、と思いました。

 実はつい先日、先週末の話なのですが、職場で「アジる」という言葉が若い人に通じないということを知って驚いたところだったのです。「アジる」というのは私が使ったわけではないのですが、「知っていますか?」と問われて、普通に通じると答えたら驚かれたのです。

 10名余りの職場なのですが、一番年長の人は通じたのですが、私より年上のもう一人は知らない、きいたことがないと言っていました。そして私より若いメンバーは全員がわからない、知らないと言っていて、ふーむなるほど、と思ったのでした。

 この手の言葉だと、「ネゴる」とか「サチる」というのもあります。「サチる」(サチった、とか、サチってる、)というのは使うような気がします。「ネゴる」は、そういう行動をすることがそもそも少ないので、通じますが使わない言葉です。

 パズル工房「葉樹林」7月21日の日記に、「生」という漢字の読み方がいくつ思いつきますか? という話が紹介されていました。これ、実はいつか私のページでも書きたいなと思っていた話題だったのですが、658種という数字を知って、生半可な知識でこんなことを書かなくてよかったと胸をなでおろしました。

 私がこの問題を知ったのは中学の国語の時間だったのですが、クラス全体で出てきた数は、確かせいぜい数十個だったと思います。

 今、「生」という文字が入ったちょっと読むのが難しい言葉として「越生」というのが浮かんだのですが、この場合は何と読んでいることになるのかな? と思いました。

<おまけのひとこと>
 今週は、大雨の中を運転することが多くて、窓が曇らないようにエアコンを使わざるを得ない状況がけっこうあって、燃費は悪化するだろうな、と思っていました。今朝ガソリンを入れたのですが、案の定リッターあたりの走行距離は下がったのですが、21.3リッターで430km、かろうじてリッター20kmはキープできました。

 しばらく、更新を夜にやるようにしてみようと思っています。






7月23日(日) 白狐魔記

 児童文学作家の斉藤洋に、『白狐魔記』というシリーズがあります。狐が主人公の話で、歴史物です。たいへん面白い本だと思います。土曜日の朝、四巻目の「戦国の雲」が発売になったという広告が出ていたので、近所の本屋さんにあるかどうか電話で問い合わせてみました。そうしたら、そのお店にはないけれど隣の市の店舗のほうにはある、とのことでした。お昼過ぎに出かけて買ってきました。

 斉藤洋ですから当然児童書のコーナーにあるだろうな、と思って探したのですがみつかりません。 ひょっとしてと思って歴史書のコーナーを探したら、ありました。いやまあ確かにこの表紙でこのタイトルだと、普通の(?)歴史小説だと思われても仕方がないかもしれません。

 このシリーズは、子供にも読むことができる、とても面白い歴史の物語だと思います。1巻目「源平の風」が平家没落のころの話、2巻目「蒙古の波」は元寇のころの話、3巻目「洛中の火」は南北朝のころの話で、そして今度出た4巻目は戦国時代の話です。

 4冊を並べてみると(といいつつ実は3巻はまだ買っていません)、一番好きなのは2巻で、その次は1巻かなあと思います。・・・いえ、4冊ともとても面白いと思うのですが。

<おまけのひとこと>
 21日の金曜日、朝は高速道路が使えたので道路が混雑する前にと思って6時過ぎに家を出ました。(それを見越してこのページは前の晩に更新しておきました。)道はたいへんすいていて快適でした。早く出社したので早めに帰ろうと思っていたのですが、午前中の10時過ぎに、また高速道路が通行止めになってしまいました。他の交通機関も不安な状況だったため、お昼になって、私の家の方面の社員は帰宅せよという指示が出されました。webカメラとかで道路の状況を見ると、一般道の国道の峠はすでにたいへんな渋滞になっているようでした。大きな災害になった諏訪湖の付近では、その前日には10kmくらいを進むのに5時間かかったなどという話もあって、帰宅を命ぜられた人たちはみんな「夜までに帰れるかなあ」などと言いつつ帰ってゆきます。

 そこで、距離としては倍以上になるのですが、まず逆方向の北のM市に向かい、M山峠のM山トンネルを抜けて東に行き、そこからいつも通りなれたD門峠を越えて帰る、というルートを検討してみました。webで調べてみると、M山トンネルのほうは特に問題がなさそうだったのですが、D門峠のほうは1箇所交互通行になっているようでした。

 まあ困ったらさらに東に行って八ヶ岳を一回りして帰ったとしても夜までには家に着けるだろう、それでも延々と渋滞の中にいるよりはよっぽど楽しいし精神衛生上もよいだろうと思って、遠回りのルートで帰ることに決めました。

 途中の道路はほぼ全区間で極めて快適に走ることができて、2時間程度で帰宅することができました。本来ならほかにもいろいろな(楽しい)峠道の迂回路が考えられるのですが、そのいずれもが通行止めになっていて、ほとんど唯一の迂回路になってしまっていました。






7月24日(月) 「先生はえらい」

 ちくまプリマー新書の「先生はえらい」内田樹 という本を紹介してもらいました。 こちらに著者からひとことというページがありますが、この中で極めて印象的なのが

「先生はえらくない」ということがいまの日本ではほとんど常識になっているからです。

 というところでした。言うまでもなくこれは大変不幸な話です。それも「先生にとって」というよりは、「教わる側にとって」です。いつからこうなってしまったのか、確実に「先生がえらかった」のはいつの時代までだろうか、と考えると、少なくとも第二次世界大戦の前は確実に先生は偉かったでしょうから、その反省というか反動で今のような状況になっているのかな、と思います。

 高校の頃の同級生で、学校(小・中・高校)の先生になった人がたくさんいるのですが、生徒の親御さんで、先生のことを「サービス業だ」と思っている人がだんだん増えているようだ、という話をききます。

 私は幸いにして、ずっとよい先生にめぐり会えたようで、「先生はえらい」とずっと思い続けることができました。この本によるとそれがよかったようです。・・・といいつつこの本、実はちょっと手にとって短時間で拾い読みをしただけで、まだちゃんと読んでいないのです。面白そうなのでちゃんと読んでみようと思っています。

<おまけのひとこと>
 友人で学校の先生をしている人から以前に聞いた話です。新しい赴任先の学校で、自分が何か重労働のようなことをやると、小学校低学年の子供たちにやたらと「先生えらいね」と言われたんだそうです。これは普段子供たちがそうやってほめられているから同じことを教師である自分にも言うのだろうか、でもそれは目上の人に言うことではないと注意すべきだろうか、と思ったのだそうです。でも実は「えらい」というのはその地方では「大変だ」の意味で使われていて、「先生えらいね」というのは「先生、大変だね(大丈夫?)」という意味だったのだそうです。






7月25日(火) 「色の恒常性」

 私たちの身の回りには、いろいろな種類の照明器具があります。私の家の照明器具は、廊下などは小さな白熱灯、部屋の中は蛍光灯が多いです。日本の家庭では明るくて青白い蛍光灯の光が好まれるのだそうですが、ヨーロッパなどではむしろ炎の色に近い白熱灯の光のほうが好まれるのだそうです。

 たとえばカラフルな色紙を考えましょう。同じ色紙でも蛍光灯の光で見るのと白熱灯の光で見るのとでは実際に見える色は違います。極端な話、真っ白な紙は蛍光灯の下ではちょっと青っぽく見え、白熱灯の下では黄色っぽく見えます。ところが私たちはそれを同じ白だと感じます。

 このように、照明の色が変わって実際に観測される「色」が変わっても、同じものの色は変わらないように感じることを「色の恒常性」と呼びます。ビデオカメラやディジタルカメラには「オートホワイトバランス」という機能が備わっていて、光の色が変わっても「白は白」になるように自動的に補正をかけてくれたりしていますが、これも「色の恒常性」を写真で実現しようとしているようなものです。

 ちなみに、この「オートホワイトバランス」という機能を実現するのはそう簡単なことではありません。カメラにとっては「何が白なのか」を知る手段が通常はないからです。出始めのディジタルカメラだと、「カメラに白い紙を見せてホワイトバランスを調整して…」なんていう撮影テクニックがあったりしたものです。また、オートホワイトバランスが強すぎて、視野全体が真っ赤になった夕焼けのシーンを撮ったのにホワイトバランスが調整されて、写真ではあんまり赤くなかった、なんていうこともありました。

 さて、こういった「照明環境が変わっても同じ色に見える」という能力は、私たちの頭の中ではどのようにして実現されているのでしょうか? これはまだちゃんとは解明されていないようですが、こういった機能について調べるために、極端な環境で生き物を育てて、その環境下で育った生き物がどんな能力を持っているのか、もしくはどんな能力を失ったのかを調べる、ということが行われます。 (余談ですが、学生時代にそういった論文を読んで、生理学とかの実験というのは自分ではやりたくないなあと思ったものです。)

 たとえば、生まれたばかりのネコに、常にネコにとっては縦線しか見えないような環境を作って育てると、横線を見る能力がなくなる、といった実験があります。(生き物は好きなので、こういった実験の話を聞くと心が痛むのですが、でもそうやって医学や科学が進歩してきているのは事実であり、そこで得られた知見が非常に面白いというのは否定できません。) 同じように、常に単色光照明の環境下で育てたサルは、色の類似性の判断と恒常性に問題があるということがわかったのだそうです。

 白い光というのは、いろいろな波長の光が混ざり合ったもので、それが分光されると虹が見える、というのは有名だと思います。単色光照明というのは、単一の波長の光ということで、その波長によっていろいろな色に見えます。上の実験では、いろいろな色の単色光を1分おきにランダムに切り替えた環境でサルを育てたのだそうです。ですからそのサルは、単色には反応することができるようになったのだけれども、いろいろな色の光が混ざり合ったときに、それを「特定の色」として知覚する能力を身につけることができなかったのだ、ということになります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 高校野球の地区大会の日程がこの雨でずっと遅れていたのですが、昨日は準々決勝2試合があって、私の出身の高校も出場していました。ひそかに応援していたのですが、帰りの車の中でラジオをつけてみたら、昨年優勝の常勝高を相手に、9回まで0-0で無得点だったのが10回表に3点を入れられて負けた、ということがわかりました。よくここまで勝ち上がってくれたものです。楽しませてもらいました。

 また今日も雨がしっかり降っています。高速道路も鉄道も動いているようですが、先週の金曜日のように、会社に行ったはいいがそこで止まったなどということになると大変だなと思っています。

 ローカルな話題で恐縮ですが、岡谷-辰野の間が不通になっています。何人もの方が亡くなっている土砂災害の発生した場所です。お盆休みにまたアンサンブルをやろうか、という相談をしていて楽しみにしているのですが、その方がこの区間を利用されるはずなので、そのときまでにはちゃんと通れるようになっていてほしいな、と思っています。






7月26日(水) 日本生理学雑誌

 昨日、「色の恒常性」という話をちょっと書きましたが、きっかけは、とある調べ物をしていて、なぜか日本生理学会という学会の日本生理学雑誌という機関誌のページの第66巻11号というところに行き当たったのです。ここの Science Topics 乳幼児期の視覚体験がその後の色彩感覚に決定的な影響を与える (杉田陽一) というページの内容が面白かったので、ちょっとご紹介しようと思ったのですが、若干背景を書かないとわかりにくいかなと思って書いたのが昨日の「ひとこと」でした。元のページはもっと簡潔です。

 この号のページで面白いなと思ったのは、その次の Lectures “意志決定と脳”─自由意志をとらえることはできるのか─ (坂上雅道) というレビュー記事でした。特に6ページ目からの、2004年の論文に関する話が非常に面白い内容でした。サルとコンピュータが「右か左か」をそれぞれ選んで、同じだったらサルの勝ち、違っていたらコンピュータの勝ち、というゲームをするというものです。サッカーのペナルティーキックで、コンピュータが攻撃側で左右どちらかを狙い、サルがゴールキーパーで左右どちらかにヤマを張ってジャンプするような状況です。サルが勝てば報酬をもらえ、負ければもらえません。

 コンピュータの側は、サルの選択の履歴にかかわらず確率50%でランダムに左右を選択する場合と、サルの選択の履歴を考慮して手を決める場合、さらにサルが報酬をもらえたかどうかまでを考慮して手を決める場合、と3通りのアルゴリズムでサルと対戦させたのだそうです。そうしたらサルは、コンピュータの戦略を見破って、コンピュータがランダムな場合は右もしくは左に偏った選択をしたのだそうですが、コンピュータがサルの過去の手を見るようになると、ほぼランダムに左右を均等に選択するようになったそうです。これは最も有効な戦略です。

 この日本生理学会の機関誌のページは、けっこうな分量の記事が公開されていて、読み甲斐があります。専門的な内容のものもありますが、お勧めです。

<おまけのひとこと>
 いつのまにか7月もあと1週間です。例年ならば梅雨はいつ明けるのかな、と思って、気象庁のページ過去の梅雨入りと梅雨明けのページを見に行ってみました。地域によって違いますが、年によって1ヶ月くらい違いが出るのですね。






7月27日(木) 「アジる」

 先日、「アジる」という言葉が通じないという話を書きましたが、そうしたら blog ろくはロッパの・・・と、日々雑感2006 で取り上げていただきました。ありがとうございます。あと、こんなページからリンクしていただきました。ありがとうございます。

 ちょっと検索してみると、NHKの気になることばというページの04年10月7日とか、ことばをめぐるひとりごとというページの「トラブる」の先祖とか、おもしろいページがみつかりました。名詞を動詞化して使うという例は昔からたくさんあるのですね。

 完全に定着して全く違和感のないものと、今では全く使われないものと、いろいろあるなあと思います。例えば「ぼる」というのは「暴利」が動詞化したものなのだそうですが、それが「ぼったくる」「ぼったくり」というふうにさらに変化している例もあって面白いですね。



 MISDIRECTIONさんのページのこちらで紹介されていたWhat's in a Name?という、文字列を作るパズルがあります。先日職場の雑談で、2次元の周期的構造のパターンの数などについての話になったとき、上記のパズルの名前の人について「知ってる?」と尋ねたら、知らないと言われてがっかりしました。

<おまけのひとこと>
 昨日の給油は、ちょっとがんばって463km走るまで我慢しました。燃料計の針の位置から考えて、22リッターは入るだろうなと思っていたのですが、給油量は21.01リッター。数値としてはリッターあたり22kmをほんのちょっと越えてしまいました。いつも同じスタンドで入れているのですが、忙しいせいか「満タン」とお願いしても給油量がばらついている気がします。ま、リッター20kmは出ているのは間違いないので満足です。

 仕事で、とある画家の方とお目にかかれることになりました。展覧会でご近所にいらっしゃるということだったので、そのついでにちょっと寄っていただいてお話を伺うということでとても楽しみにしていたのですが、いつのまにやら「せっかくだから社内向けの講演会をお願いしよう」という話になっていて、しかもなぜだか知らないですけれども私が主催者ということになっているときいて仰天しています。






7月28日(金) 大西科学

 大西科学という読み物のサイトのファンです。最近、七百回記念投票のページという企画があって、700回までのうちのフィクションのもの97編の中から気に入ったものを選んで投票してください、というものです。私としてはこちらのシリーズ別インデックスのほうが見やすいかな、という気もします。

 こういうものは趣味の問題ではありますが、超短編SFのようなものが好きな私には、とても面白いと思えるものがたくさんあってお勧めです。実は先日、他の用事をやりつつも半日くらいかけて97編をほぼ全部読みなおしてしまいました。5編を選ぶというのはなかなか難しいタスクで、結果的に7編を投票させていただきました。増えすぎないように、シリーズ物のなかからは原則として1つにしよう、とかいろいろ制約を課して選択したのですが、最初はチェックが10を越えてしまって、7つまで絞って、まあこれでいいやということにしました。

 とても楽しませていただきました。ありがとうございました。 ちなみに私が投票したのは、60,131,245,437,475,501,669 です。(← マウスで選択すると表示が反転して読めるようになると思います。)

<おまけのひとこと>
 最近また忙しくて、なかなか満足に更新もできないでいます。










7月31日(月) 編曲(失敗)

 昨年の10月に古楽のコンサートをやったのですが、今年も秋にコンサートが出来るといいなという話をしています。ただ、今年はそのための準備が遅くて、内輪の交流会か録音会というかたちにしようかな、という話をしています。

 リコーダーのアンサンブルもしたいよねえという話をしているのですが、いまやいつも集まれるのは2人だけなので(といってもそれも1ヶ月に1,2回なのですが)、二重奏の面白い曲を探しています。

 昔から持っている、アルトリコーダー2本用に、バッハの鍵盤曲を編曲した楽譜集を眺めていたら、フランス組曲の2番の曲が4曲入っていました。ただ、どれも速い曲ばかりで、本来の 緩-急-緩-急 のバロックの組曲の雰囲気になりません。 もちろん、ゆっくりな曲は声部が多かったり和声が厚かったりするので、笛2本だと雰囲気が出ないということが理由なのですが、でもゆっくりな曲が入らないと組曲としての感じが出ないよなあと思って、無理やり編曲してみることにしました。

jsb_f2_1.mid
jsb_f2_3.mid

 1曲目のアルマンドと3曲目のサラバンドです。(2曲目のクーラント、4曲目のエアー、5曲目のメヌエット、終曲のジーグは楽譜があります。)音域的には上の声部はなんとかなるのですが、下の声部はこのままだと広すぎて演奏できません。もうちょっと工夫が要るなと思っています。

<おまけのひとこと>
 なんだか恒常的に忙しくて、週末は細切れの時間に寝てばかりいました。週末は更新をお休みしてしまいましたし、御返事を書きたいメールもあるのですが失礼していて本当にすみません。






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