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以前の「ひとこと」 : 2004年10月前半



10月1日(金) 角箱

 伝承折り紙に「角箱」という作品があります。

図 1

 これを、八角形から同じように折ったらどうなるだろう? と思ってやってみました。

図 2

 平面的な勲章のような形になってしまいました。うーむ一工夫必要ですね。

 <おまけのひとこと>
 昨夜は蚊に悩まされました。だいたい10月になろうというのに蚊がいるなんて、変です。仕方がないので捨て身の作戦に出ました。布団を厚くして、窓を開けて寝ました。外はとても涼しいので蚊の動きは鈍くなるだろうという計算です。ぐっすり眠れました。




10月2日(土) お休み

 すみません更新は1日お休みさせていただきました。



10月3日(日) 一本の帯で編む多面体(その6)

 9月30日のひとことで、1本の帯から、6つの輪を組み合わせた結び目を作れば、菱形三十面体が作れないだろうかと思って試してみたら、うまくいかなかったという写真を載せました。もっと丈夫な帯を使えば形が整うかもしれないと思って、ベルトなどに使う、アクリルの丈夫で硬い帯(25mm巾)を使って、再挑戦してみました。

図 1 図 2

 菱形三十面体というよりは、6つの輪が組み合わさった、セパタクローの球のようなかたちになってしまいました。図1が5つの帯が組み合わさるところ、図3が3つの帯が組み合わさるところをそれぞれ正面から見たものです。もっと絞ってゆくと、だんだん形が整わなくなってきます。なんの加工もしていない1本の帯なので、別の輪に移るところでどうしても厚みが出たり、形が整いにくくなったりしてしまうのです。でも、加工も細工もない1本の帯でこの形が作れるというのはちょっと面白いなと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日(10月2日)の午後、実家のあるU市にD峠を越えてゆきました。夜7時から自宅の近く(といっても20kmくらいは離れている)のO市でコンサートがあったので、帰りは5時くらいに実家を出て、W峠を越えました。いつもなら有料トンネルを避けて細い旧道の峠を通るのですが、昨日は風邪をひいていて体調が悪かったのと、時間があまり余裕がなかったのとで、有料トンネルを通りました。
 峠は大雨で、あまり走りなれないルートなものですから道路の先の状況が読めず、たいへん疲れました。コンサートの話は明日(というかすぐ下)のひとことで簡単に感想を書きます。




10月4日(月) チャリティーコンサート

 10月2日(土)の夜、「もみの木会 チャリティコンサート」というのを聴いてきました。プログラムは

 1.ヴィヴァルディ 「春」           
 2.バッハ     チェンバロ協奏曲 BWV1052  

         〜 休憩 〜

 3.早川正昭    バロック風「日本の四季」  

というもので、大変楽しいプログラムでした。バイオリン6本、ビオラとチェロが2本ずつ、コントラバスが1本、そしてチェンバロという編成でした。

 特に、後半の早川正昭作曲のバロック風「日本の四季」は大変楽しめました。作曲者のプロフィールがこちらにありますが、なかなかおもしろい経歴の方のようです。 「日本の四季」に関しては、こちらにごく簡単な紹介があります。

 要するに、ヴィヴァルディの合奏協奏曲「四季」が、「春」「夏」「秋」「冬」それぞれ急・緩・急の3楽章からなっているのと同じスタイルで、日本の旋律をモチーフに、たとえばヴィヴァルディ風、ヘンデル風といった味付けでバロックの合奏協奏曲のスタイルの曲に仕上げられていて、たいへん面白い音楽でした。

 どの曲も面白かったですけれども、特に「夏」の第1楽章、「我は海の子」のテーマを用いたヘンデル風のゆったりした序曲とそれに続く見事なフーガには感動しました。なかなか演奏される機会がない曲だそうですが、全曲を聴けて幸運だったと思います。

 1つだけ、体調が悪かったのに、会場内にクーラーが効いていて、しかもそれが途中で強くなって、大変参りました。

 <おまけのひとこと>
 急に寒くなりました。
 週末は体調が悪くて更新ができませんでした。さて月曜日。




10月5日(火) 無限(その1)

 昔々、私がまだ小学生だったころ、6年生のほとんど最後の算数の授業で担任の先生が「これから話すことは忘れてくれていいけれど」という前置きで、「無限」の面白さ、不思議さについて話をしてくれました。

 有名なゼノンのパラドックス、「足の速いアキレスが足の遅い亀を追いかけるのだが、論理的に考えると追いつけない(はず)」という話とか、ガリレオのパラドックス(でしたっけ?)、「自然数(1,2,3,4,....)と偶数(2,4,6,8,...)の数は同じ」という話を紹介してくれて、非常に当惑した記憶があります。

 今では「自然数と偶数の数が同じ」ということに何ら不思議を感ませんけれども、でも、初めて小学校でその話を聞いたときのショックはよく憶えています。「全ての自然数と全ての偶数の間に、それぞれかけがえのない、ほかならぬただ一人の相手を決めてやることができる。どの偶数をとってもたった一人の相手の自然数が決まるし、逆にどの自然数に注目しても、やはりたった一人の偶数がパートナーとして決まっている。どちらも余らない。古来、このように1対1の対応付けができるもの同士は、同じ数だと決まっている。ということは、この無限に続く自然数と偶数の数も同じだということだ。」 この説明を聞いても、「なんか変だ、きっとアキレスと亀の話みたいにどこかにトリックがあるんだ、だって自然数は偶数と奇数を足したものなんだから、どう考えたって自然数は偶数の倍くらいあるはずなのに、それが同じ数だなんておかしい」と思いました。

 中学校に行くと、こういうおもしろいことをやるのかな、と思ったのですが、実際にこういった「無限」に関係する話をきちんと習ったのは、もっとずっと後のことでした。

 さて、前置きはこのくらいにして、今日は、この「無限」に関係するちょっとしたパズル(?)をご紹介します。実数の集合AとBを考えます。Aは0から1の間の実数で両端を含まないもの(開集合といいます)、Bは同じく0から1の間の実数の集合なのですが、今度は1も含みます。どちらの集合も、もちろん要素は無限に含まれています。でも、集合Bのほうが、1という実数の一個分だけ要素の数が多いような気がします。

 しかし、この「1個だけ多いような気がする」というのは、偶数と自然数では自然数のほうが倍も多いような気がするというのと同じで間違いで、この2つの集合の要素の数は同じなのです。 それを示すために、この2つの集合の間に1対1の対応付けを決めたいのですが、どうしたらよいでしょうか? 「どちらの集合から、どんな数を拾ってきても、相手が一意に決まる」規則を考えてみてください。

 <おまけのひとこと>
 「実数Rの区間(0,1)と区間(0,1]の間の全単射の写像を定義せよ」と言えば数学っぽいでしょうか。答えはもちろん1つではありません。 今日の問題は高校生にはちょっと無理、という内容かもしれません。ごめんなさい。 自分がこれを知ってとても面白かったものですから、ついご紹介したくて書いてしまいました。




10月6日(水) 無限(その2)

 以前、03年7月27日のひとことで、「ヒルベルト・ホテル」のイラストをご紹介しました。そのときには面倒で説明していなかったのですが、ヒルベルト・ホテルの話というのは、次のようなものです。

 ヒルベルト・ホテルには無限個の部屋があります。ある日、そのホテルは満員で、1部屋も空きがありませんでした。そこに新たに一人、お客さんがやってきて泊めて欲しいと言いました。そこで、ホテルのマネージャーは、1号室から2号室へ、2号室から3号室へ、と宿泊客全員を隣の部屋に移ってもらうことにしました。その結果1号室が空き部屋になったので、新しく来たお客さんはめでたく1号室に泊まることができました。

 昨日、集合A={x|0<x<1} と 集合B={y|0<y≦1} との間に1対1の対応付けをするやり方はあるでしょうか?という問題を出しました。 この問題は実は「ヒルベルト・ホテル」の話の応用、というか変形として考えることができます。

 ヒルベルト・ホテルの話(実は上記の部分は、よく語られる「ヒルベルト・ホテル」の話の前半部分なのですが、それはともかく)は、1から無限大までの自然数と、0から無限大までの自然数との間に1対1対応がつけられる(からその2つの集合の濃度は等しい)というものでした。 これを、0から1の間の実数の例に応用してみましょう。

 1, 1/2, 1/3, 1/4, 1/5, 1/6 ・・・ という実数の列を考えます。これは0から1の間にあって、どんどんゼロに近づいていきますが、決してゼロにはなりません。また、この数字の列の中には、同じ数字は1つも出てきません。そこで、こういう対応付けを考えます。

11/21/31/41/51/6・・・






・・・
1/21/31/41/51/61/7・・・

 こうすれば、1を含んだ区間の数字と、1を含まない区間の数字との間に、1対1の関係をつけてやることができます。 なお、この数字の列に登場しない数については、同じ値同士が対応付けされていることにします。

 もちろん、これ以外の数列を使ってもいいです。この話、すごく面白いと思うのですが、いかがでしょうか。説明が不十分で、わかりにくかったらすみません。

 <おまけのひとこと>
 アクセスカウンタが14万を越えてくれたようです。いつもご覧いただいて本当にありがとうございます。
 今日は始発の特急列車に乗らないといけなくて、忙しいです。




10月7日(木) シンデレラ ─幾何学のためのグラフィックス─

 昨日、シンデレラ─幾何学のためのグラフィックスという本を買いました。以前、兵庫教育大学の濱中先生のページで拝見して、どこかで見かけたら買いたいなと思っていたものです。 こちらに、この本を翻訳されている明治大学の阿原先生が管理されているシンデレラのページがあって、とても面白いです。

 阿原先生のお名前は、数学セミナーでもよくお見かけします。こちらのホームページもとても面白いです。

 昨日は帰りが遅かったので、まだ付属のCD-ROMを開封すらしていませんが、少しいじってみようと思っています。

 <おまけのひとこと>
 昨日は夕方用事が終わった後、八重洲ブックセンターに行って、あわただしく本を5〜6冊買ってきました。そのうちの1冊です。
 行きの列車の中で、藤沢周平の「蝉しぐれ」を読みました。最近藤沢周平にはまりつつあって、文庫本で7〜8冊読みましたが、その中でもいい本ですね。とてもよい読後感です。 帰りの列車では、八重洲で何冊か買った本の中から拾い読みをしていました。
 すみません、またメールの御返事が遅れています。ごめんなさい。




10月8日(金) 幾何学ソフトウェア“シンデレラ”で遊ぶ(その1)

 定規とコンパスで作図するような処理をコンピュータ上で簡単に再現できる、“シンデレラ”というソフトウェアを本屋さんで買いました。 まずは正多角形の作図をやってみることにしました。

 定規とコンパスを使って、正三角形を描く方法、正方形を描く方法、正六角形を描く方法は、おそらく学校で習うのではないかと思います。これ以外に正確に描ける正多角形にはどんなものがあるかというと、正五角形、正八角形、正十角形、正十五角形、正十七角形などが知られています。(ここで言う「定規とコンパス」は、ユークリッド幾何学における定規とコンパスです。)

 定規とコンパスで、任意の角度を二等分することは簡単にできます。(これも学校で習いました。)そのため、たとえば正方形(正四角形)が描ければ、その2倍の正八角形、さらに2倍の正十六角形、正32角形、・・・と辺の数が倍になってゆく正多角形は描けます。ギリシャの昔から、正三角形、正方形、正五角形とその2倍の系列の正多角形は定規とコンパスだけで描けることが知られていました。 その後、ずっと時代が下って、ガウスが正十七角形が作図できることを示しました。

 さて、上記のよく知られた正三角形・正方形・正五角形の2倍系列ではないのに作図法が古くから知られていたのが、正十五角形です。 作図ソフト“シンデレラ”をインストールして最初に描いてみたのがこの正十五角形でした(下図)。

 さて、これはどうやったら定規とコンパスだけで描けるでしょうか。正五角形の各頂点までの中心角をそれぞれ三等分すれば正十五角形になりますが、一般に角の三等分はできないことが知られています。ましてや角の五等分はできませんから、正三角形の隣り合う頂点までの中心角を5等分するという方法で描いたのでもありません。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 寒いです。




10月9日(土) 台風

 非常に強い台風22号が上陸するらしいと聞いて、一日家にこもる日になりました。直撃されなくて助かりました。

 夕方、虹が見えました。昼間はずっと厚い雲に覆われて薄暗かったのですが、夕方になって外が妙に黄色くみえました。 夕焼けで赤くなるかわりに黄色くなったという感じでした。その黄色い雲を背景に二重に大きな虹がくっきりと見えました。こういうのは肉眼で見ないと、その不思議さはわからないですね。

 <おまけのひとこと>
 時々外の様子を伺いながら、書きたいと思いつつ時間がとれなくて書けなかったメールを5〜6通書きました。これだけで半日かかってしまいました。まだ書かないといけないメールが半分くらい残っているのですが、今日は力尽きました。




10月10日(日) コンサート

 近所で開催されるコンサートで気に入ったものは、できるだけ行くように心がけています。今日はヴィオラ・ダ・ガンバとリュートのコンサートというちょっと珍しいとりあわせのコンサートを聴いてきました。 プログラムのほとんどがマラン・マレ という人の曲でした。 もちろん主役のガンバはすばらしかったのですが、久々に聴く生のリュートがすばらしかったです。

 家に帰って、久々にギターを引っ張り出してきて、リュートのための曲やバロックの曲を弾いてみました。うーん、やっぱりリュートの曲はリュートで弾いたほうがいいかなあ。

 <おまけのひとこと>
 まあ当分新しい楽器に手を出す余裕はないんですけれども・・・




10月11日(月) タングラムの折り紙

 ちょっとタングラムについて調べていたら、休日のタングラムというページに行き着きました。 いろいろ見せていただいていたら、Shi-Yew(Sy) Chen さんという方のSy's Paper Folding Pageというところに掲載されていたという、Tangram Square という折り紙の写真が載っていたので、まねして作ってみました。

 うん、おもしろいです。 これを正方形から折り出すにはどうしたらいいでしょうか、というのはちょっとしたパズルになるかもしれません。

 <おまけのひとこと>
 すみません、三連休は更新をお休みしました。一応9日、10日の分の日記も「過去のひとこと」には入れてありますが、たいしたことは書いてありません。




10月12日(火) 幾何学ソフトウェア“シンデレラ”で遊ぶ(その2)

 ちょっと間が開いてしまいましたが、10月8日のひとことで書いた、定規とコンパスで作図するような処理をコンピュータ上で簡単に再現できる、“シンデレラ”というソフトウェアで遊ぶ話の続きです。

 正十五角形はどうやったら描けるでしょうか、という話を書いたと思いますが、その答です。前提として、正三角形、正方形、正五角形、正六角形は描けるものとします。

 円に内接する正多角形を考えると、正三角形ならば120度、正方形ならば90度、正五角形なら72度、というように正多角形は円周360度を分割します。正十五角形ならば24度、ということになります。ということは・・・





















ちょっと間をあけて





















 正三角形と正五角形を、1つの頂点を共有するように同じ円に内接させて描きます。すると、図の場所がちょうど正十五角形の隣り合う頂点になりますので、その2点の距離をコンパスではかりとって円周を区切ってゆけば正十五角形が描けます。

 さて、これを簡単に作図するにはどんな方法があるでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 それにしてもこの“シンデレラ”というソフトウェアは面白いですね。




10月13日(水) 幾何学ソフトウェア“シンデレラ”で遊ぶ(その3)

 幾何学ソフトウェア“シンデレラ”の話の続きです。 昨日まで、このソフトウェアの特徴を「定規とコンパスで作図するような処理をコンピュータ上で簡単に再現できる」とご紹介してきましたが、実はそれ以上にいろいろおもしろいこともできます。

 こちらの、ろくはロッパの・・・というブログを見せていただいたら、10月12日に、シンデレラを使って正確な正七角形を描いた図というのが載っていました。実はこのブログで9月28日に、この「あそびをせんとや」をご紹介くださっていて(ありがとうございました)、それで気がついて、それ以来読みに行っています。

 正七角形ですから、もちろん定規とコンパスの作図を忠実に模しただけでは正確な作図はできないことは明らかです。上記のページの図を見てみると、円以外の二次曲線が見えます。これで正七角形が描ける理屈を考えるのは楽しそうです。





 さて、正七角形の作図に比べるとぐっと平凡ですが、正五角形の作図の図も載せておこうかと思います。一応2種類載せますが、どちらも与えられた円に内接する正五角形の一辺の長さを求める作図です。

図 1

図 2

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 “ろくはロッパの・・・”は、音楽の話題も共感しました。私もシューベルトのピアノ曲、特に晩年のピアノソナタは大好きですし、バッハの平均律の1巻も好きで何曲か練習しています。ただ私の技量では全曲順番に練習するなんて大それたことはできませんけれども。 バッハをスピネット(小型のチェンバロ)で弾くと、それはそれは楽しいです。特に、音の密度のそれほど高くない、ピアノで弾くとちょっと物足りないような曲をチェンバロで弾くと、「ああこんなにいい曲だったのか」と思うことがしばしばです。
 毎日見せていただいてるパズル工房「葉樹林」さんが、昨日で西陣のお店が一周年だったのだそうです。おめでとうございます。残念ながらまだお店には行ったことがないのですが、一度は必ず伺いたいと思っています。




10月14日(木) 幾何学ソフトウェア Geometric Constructor

 “シンデレラ”という幾何学ソフトウェアを何回かご紹介してきましたが、実は私は、この“シンデレラ”以前にもこのような幾何学ソフトウェアというのを使ったことがあります。 愛知教育大学の飯島先生のページで公開されている、Geometric Constructor(以下、GCと略します)というソフトウェアもその1つです。

 このGCですが、ダウンロードして試すことができます。最初は操作がちょっとわかりにくいのですが、[作図]メニューから[点]-[新しい点の追加]-[自由な新しい点]を選んで、画面上を適当にクリックしてゆくと、A,B,C...と名前のついた点が増えてゆきます。[ESC]キーで点の追加モードを抜けて、また[作図]メニューの中から描きたい図形を選ぶことで、今打った点を使って、様々な円や直線や線分を描いてゆくことができます。

 点や直線や円で定まる図形を描くときには、基準となる点や直線や円を選択するのですが、最初に赤い色で候補が表示されます。その図形でよければその図形をクリックすると表示が青く変わって選択が完了します。別な図形を選びたい場合は別な図形をクリックすると、その図形が赤くなって新たに選択候補になります。もう一度クリックすると青くなって選択完了です。(説明がわかりにくいですね。)

 “シンデレラ”とGC は、似たところもたくさんありますがそれぞれ特徴があって面白いです。ざっと見て、GCでは、M:Nの内分点を設けることができたり、角のN等分ができたり、正N角形が描けたり、回転移動や対称移動ができたり(シンデレラでも点や線や円に対する鏡像変換はできたと思います)、様々な変換(アフィン変換とか射影変換とか)ができたりします。 そのかわり、“シンデレラ”では出来た、ユークリッド幾何以外の幾何学に対応しているとか、5点で決まる二次曲線を描けるとかいった機能はないと思います。これは GC を公開されている飯島先生のご専門が「数学教育学」で、その目的のために作成・公開されているソフトウェアであるためだと思います。

 GC でも、昨日ご紹介したのと同じく円に内接する正五角形を描くサンプルを作ってみました。

図 1 図 2

 見にくいですが、図1、図2ともに青い円が与えられた円で、次に水色の円、その次に紫色の円を描くと、緑色の線分で示した正五角形の一辺を得ることが出来ます。

 シンデレラとGCは目的が違うソフトウェア、という気がします。ですから用途によって、GCの方が向いている場合と、シンデレラの方が良い場合とがあると思います。明日はもう1つ、こういった幾何学図形を描くソフトウェアをご紹介しようと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日の、“ろくはロッパの・・・”に載っていた、“シンデレラ”を使った正七角形の作図、昨夜さっそく真似してみました。



 うーん面白いですね。




10月15日(金) 幾何学ソフトウェア Eukleides

 定規やコンパスで描いたような図をコンピュータ上で簡単に実現するソフトウェアをいくつかご紹介しています。“Cinderella”“Geometric Constructor”に続いて、今日は“Eukleides”というソフトウェアをご紹介します。 今日はくわしくご説明している時間がないので、情報源とサンプル1つだけを掲載したいと思います。 日本語の紹介ページならばこちらがお勧めですし、おおもとのページならばこちらのhttp://perso.wanadoo.fr/obrecht/になります。 DownloadのページにはLinux環境でのインストールパッケージのほか、Windows環境用のバイナリパッケージもあります。解説やサンプルもたくさんあります。(英語ですけれども)

 Eukleides というのは、これまでご紹介した2つの幾何学ソフトウェアとは異なり、線や円弧のような図形をテキストで定義してゆきます。プログラム言語で図形を描いていく感じにとても似ています。 3次元コンピュータグラフィックスの POV-RAY というソフト、これも球だとか直方体だとかのオブジェクトをテキストで定義してゆきますが、ちょうどそんな感じです。

 例によって円に内接する正五角形を描くサンプルを作ってみました。“シンデレラ”や“GC”では、扇形のような円周の一部分の円弧のみを描くということができませんでしたが、“Eukleides”ではそんなことも簡単にできます。

図 1

 線や点の色を変えたり、パターンを変えたり、線分にマークをつけたりといったことも簡単にできます。さらに、図形の特定のパラメータ、たとえばどこかの点の座標とか線分の長さとか角度とかを、キーボードからインタラクティブに変更してアニメーション表示できるような機能もあります。

 描きたい図形が明確なときには、この“Eukleides”を使うのもよいと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日は職場の飲み会でした。
 だいぶ寒くなってきました。




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