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以前の「ひとこと」 : 2004年5月後半



5月16日(日) 角の三等分の話(その2)

 昨日に続いて、与えられた任意の大きさの角を三等分する作図の話です。今日は曲尺のような定規を使って角を三等分する話です。

図 1

 図1が定規の図です。タテヨコの定規の幅は同じで、直角に曲がっています。定規の幅と同じ長さの目盛りが2箇所についています。

図 2

 まずは、与えられた角に対して、この定規の幅と同じ幅で平行線を引きます(図2)。

図 3

 あとは、定規の2箇所の目盛りが、与えられた角の斜辺と、図2で引いた平行線の上に来るように、かつ定規の辺が図のように与えられた角の頂点を通るように定規の位置を調節します。すると、角の頂点を通っている定規の辺が、与えられた角を三等分しているのです。

 <おまけのひとこと>
 乗れなくなってしまった古い自転車、割れてしまって水が入ってしまう大きなコンテナ、壊れた雪かき、古い車のチェーン等々、長いこと懸案だった、庭の隅の目障りだった粗大ごみをようやく始末しました。



5月17日(月) 角の三等分の話(その3)

 昨日の曲尺よりもさらに特殊な道具になりますが、補助線を引かずにいきなり角を三等分できるというものがあります。図1をご覧下さい。

図 1

 この道具は、曲尺の「かかと」の部分に、定規の幅と同じ半径の4分の1の円を図のように貼り付けたようなかたちをしています。この道具は、図2のように使います。

図 2

 円弧の部分が与えられた角の斜辺に接し、曲尺のつま先の部分が底辺に接し、定規の部分が頂点を通るように道具をおきます。こうすると、定規の2つの目盛りの点が、与えられた角を三等分します。原理は昨日のものと同じです。

 <おまけのひとこと>
 16日(日)の更新は夜になってしまいました。17日は朝が早いので、16日の分を載せるときに一緒に17日の分も更新してしまうことにしました。



5月18日(火) 『伴奏者の発言』

 ジェラルド・ムーアという稀代の名アンサンブル・ピアニストの書いた、「伴奏者の発言」(音楽の友社)という本を読みました。翻訳の初版が1959年(=昭和34年)というたいへん古い本ですが、最近読んだ音楽関係の本の中では群を抜いて面白い本でした。

 この本のタイトルで検索をかけてみてもあまりHitしないのですが、中ではこのページが面白かったです。

 <おまけのひとこと>
 H.Hamanaka very Private Pageの表紙の画像が毎日変わっていて、楽しみに見ています。多面体のそれぞれの頂点を中心とした、互いに接する球の一群を考えて、それを、元の多面体に外接する球で切り取ったように見えます。面白いです。
 今日は時間がないのでメモ程度の更新です。



5月19日(水) レプ・ユニット

 自分の楽しみのために、このページのアクセスカウンタの数値をほぼ毎日メモしています。これまでずっと増え方が増加傾向だったのですが、最近は減少傾向でちょっと残念に思っています。

 まあそれはともかく、カウンタがそろそろ[111111]になりそうです。このように全ての桁の数字が1であるような数のうち、それが素数のものを「レプ-ユニット」と呼ぶそうです。111111は3で割り切れますから、111111はレプ-ユニットではありません。

 私の持っている本には、「知られているレプ-ユニットはいまのところ5個で、無限にあるかどうかはわかっていない」と書かれています。知られているのは

n=211
n=191111111111 111111111
n=231111111111 1111111111 111
n=317111111111111...(1が317個並ぶ)
n=1031111111111111...(1が1031個並ぶ)

 だそうです。調べる時間がないのですが、もしもっと新しい情報をご存知の方がいらしたら教えていただけると嬉しいです。

 <おまけのひとこと>
 今日は子供たちが小学校の春の遠足で、下の子は朝5時半に起きてきました。 私はというと、今日は胃検診を受診しなければいけなくて、昨夜早めに夕食を食べてから、飲食していません。(20時以降はダメとのことです。) 今朝ははやめに行って、さっさと済ませようと思っています。ちょうど子供たちのお弁当を作っているので、ついでに私の朝ごはん用のお弁当も作ってもらいました。



5月20日(木) 111111

 昨日、レプ・ユニットの話を書いたら、こちらに情報がありますよ、と教えていただきました。ありがとうございました。 なるほど、昨日はレプ・ユニットは5つ知られていると書きましたが、もっとその先も見つかっているのですね。最近は高速な計算機が使えるので、こういった探索は昔よりずっと簡単にできるのでしょうね。 おしえていただいたページは面白そうなので、ゆっくり見たいと思います。



 さてこの 111111 という数字は、1が6つ並んでいます。6は2と3の倍数ですから、この数字は1が2個並んだ11、3個並んだ111のいずれでも割り切れます。

111111
 = 11x10101
 = 111x1001

 このように、1が並んでいる数が合成数の場合、その素因数個の1が並んだ数字で割り切れる、というのは当たり前のことですけれども面白いです。このように、0と1だけで表される分解までならば、これは10進法に限らずN進法で成立します。

 この、1が並んだパターンの数字( よく、(10^n-1)/9、つまり、9999...9/9 と表記されています)を素因数分解してみました。

       1 = 1
      11 = 11
     111 = 3 * 37
    1111 = 11 * 101
   11111 = 41 * 271
  111111 = 3 * 7 * 11 * 13 * 37
 1111111 = 239 * 4649
11111111 = 11 * 73 * 101 * 137

 この中では、

1001=7×11×13

 という計算が面白いと思います。連続した3つの素数を掛け算すると、10のべき乗にこんなにも近い数値になるなんてとても面白いです。二進法の計算機の世界では、2^10=1024を1000と近似(?)して大まかな大きさを表したりしますが(キロとかメガとかギガとか)、それよりはるかに近似精度が高いです。

 ところで上記の素因数分解ですが、最初はC言語で2〜3分で適当にプログラムを組んだら、当然ですが32bit整数で表現できる範囲までしか計算してもらえませんでした。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝、7時15分からの検診の受付開始に間に合うように、急いで出かけようと思っていました。いつもなら家族が玄関まで見送りに出てくれるのですが、昨日は子供たちも遠足だったため、その準備をしていて誰も出てきてくれる余裕がありませんでした。
 外に出ると、車の窓が鳥に汚されていました。慌てて玄関にとって返して、ぼろ布を出してきていそいで掃除しました。遅くなると検診に時間が掛かってしまうため、急いで出かけました。
 勤務先の近くの駐車場について、さあ降りようと思って後ろを見ると、いつもの場所にかばんがありません。今朝の騒ぎで忘れてきてしまったのです。とりあえず検診を受けて(3番目でした。検診車は2台きていたので、ほとんど待たずに7時半には終わりました)、家に電話すると、家族が心配していました。
 いつも持ち歩いているパソコンや読みかけのドキュメントなど、ないと困るものがたくさんはいっていますし、胃検診のときはもちろん食事抜きで、終わった後には水分を多量に摂取するようにとの指示なので、朝食や水筒なども入っていました。
 結局妻に届けてもらって、いつも会社に着く時刻くらいには受け取ることが出来ました。いつもと行動パターンが変わったときには注意しないといけないなと反省しました。



5月21日(金) 多倍長電卓LM で素因数分解

 昨日簡単なプログラムを即席で用意して動かしたら、整数の桁数が足りなくなってしまったと書きました。そこで、有効桁数が多い数字をいじりたいときにはいつも使わせていただいている、C言語とほぼ同様に関数が定義できるインタプリタ機能のある多倍長電卓LMを使って動作させてみることにしました。

 こんな関数定義をしてみました。

function fact(x)
{
	var d, q;
	var org;

	org = x;

	while (x >= 4 && x % 2 == 0) {
		printf("2 * ");  x /= 2;
	}
	d = 3;  q = x / d;
	while (q >= d) {
		if (x % d == 0) {
			printf("%d * ", d);  x = q;
		} else d += 2;
		q = x / d;
	}
	printf("%d", x);
	return org;
}

 この関数定義は、偶数である限り2で割りつづけて、それから割り切れる限り奇数で割りつづけるという素朴でわかりやすい実装です。これは「C言語によるアルゴリズム辞典」のコードがWebで公開されているものです。(表示関係でちょっとだけ手を加えました。)

 せめて元の数の平方根を上限にするとかするだけでも効率がかなり違います。が、そのあたりの工夫をするよりも、十数桁の数字の素因数分解を、アルゴリズムが理解できる状態でできるだけ手っ取り早く動かして見たいと思ったのでした。

 ちょっと動かして見ると、こんな結果が得られました。

>fact(111111)
3 * 7 * 11 * 13 * 37
= 111111.

>fact(111111111111)
3 * 7 * 11 * 13 * 37 * 101 * 9901
= 111111111111.

>fact(1111111111111)
53 * 79 * 265371653
= 1111111111111.
27 秒

>fact(11111111111111)
11 * 239 * 4649 * 909091
= 11111111111111.
7 秒

>fact(111111111111111)
3 * 31 * 37 * 41 * 271 * 2906161
= 111111111111111.
3 秒

>fact(1111111111111111)
11 * 17 * 73 * 101 * 137 * 5882353
= 1111111111111111.
4 秒

さすが多倍長精度電卓LM、C言語で書いたコードをほとんど手直しせずに、長い桁数の計算をしてくれます。すばらしいです。楽しい楽しい。でも、用いている素因数分解のアルゴリズムが、プログラムを書く手間を最小にしようという方針で用意したものなので、あまりにも素朴な手間のかかる方法なのと、多倍長精度の汎用のインタプリタ(だと思います)で動かしているため、効率、スピードという点で、このままだと長い桁数の数値を処理させたいとは思いません。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 レプ・ユニットについてちょっと検索してみたりしていたら、こんなページに行き着きました。このページの中の、面白い話というコーナーが楽しいです。まだ全部目を通していないのですが、第8話「天才伝説」とか、第4話「e氏とπ氏とルート2氏とルート8氏が麻雀をした」とか、大笑いしました。



5月22日(土) ボルトとナット

 素数についての雑談はちょっとお休みして、今日は久しぶりに画像のある更新です。

 先日、職場の私の席に、別のフロアの人がちょっと立ち寄ってくれて、いろいろ話をしたときに、「そういえば、これ、外せる?」となんでもなさそうに言って、黒い樹脂製のボルトに、ちょっと長めのナットがはまっているものを手渡してくれました。

 写真ですと大きさがわからないですが、ボルトの頭の六角形の直径が2cm弱くらい、ボルトの長さが4cmくらいです。

 普通にナットを回して見ると、不思議なことに外れるはずの方向に回そうとするととても堅くて進みません。逆に回して見ると、すいすいとボルトが締まっていきます。ところが少し締まる方向に進めてみてから戻そうとしても戻りません。

 樹脂製ですから力いっぱい回すとねじ山をつぶしてしまいそうですし、ちょっと困ってしまいました。ここまででおそらく5秒くらいです。「そうか、○○さん(注:私のことです)でも意外とてこずるんだ。制限時間は10秒なんだって。」と言われて、プレッシャーを感じます。

 ふと気がついて、無事パーツを傷めずに外すことが出来ました。おそらく手渡されてから20秒くらいで外せた、と思いますが、ちょっと悔しい思いをしました。(ちなみに私の上司は、3秒で仕組みを見破って5秒で外してしまいました。)

 こういうものですから種明かしはしませんが、どんな仕組みになっていると思いますか? また、これは、パズルとかがお好きな方ならば、「ああ、あれね」と思うような有名なものなのでしょうか?

 <おまけのひとこと>
 立体パズル改造工房というサイトを運営されている方から、リンクしていただいたというメールをいただきました。ありがとうございます。とても嬉しいです。 ルービックキューブの系列の、様々な多面体のパズルが美しいですね。 私もルービックキューブは自力で解きました。大変効率の悪い方法でしたが・・・



5月23日(日) 20040523

 自前の、ものすごく効率が悪くて扱える桁数も少ない素数判定プログラムで、何か遊んでみようということで、全く意味はありませんが、西暦xxxx年xx月xx日という8桁の数字の素数判定をさせてみることにしました。 そうしたら、本日2004年5月23日を表す20040523が素数だということがわかりました。 それが何だ、だからどうした、と言われると困るのですが。

 ちなみに今年、2004年の素数になった日のリストは以下の通りでした。

20040203
20040221
20040227

20040301
20040311
20040313	// 双子
20040323
20040329

20040403
20040409

20040509
20040523

20040619

20040701
20040703	// 双子

20040803
20040817
20040829

20040901
20040913
20040919
20040929

20041003

20041103
20041121

20041213

 双子と書いてあるのは、双子素数のことです。双子素数というのは連続する奇数で、どちらも素数であるものの組のことです。2をのぞく全ての偶数は素数ではありませんから、連続する奇数というのは、2と3の組を除いて、最も近い素数の組み合わせということになります。

 3連続する奇数が全て素数になる、ということはありません。なぜならば、3連続する奇数のうち、1つだけは必ず3の倍数になるからです。

 <おまけのひとこと>
 昨日のボルトナットについて、メールで感想をいただきました。ありがとうございました。メールで種明かしさせていただきました。



5月24日(月) A.カルダーラのカノン

 今日は時間がないので、ちょっと前に作ったMIDIデータを2つだけ載せておきます。

 A.CALDARA(カルダーラ)という18世紀のイタリアの作曲家の、3つの同種の楽器のための厳格なカノンの曲集から、最初の2曲です。

crdr_k01.mid(2kbyte)
crdr_k02.mid(2kbyte)

 同じテーマで、いろいろと調が変わりながら、この後異なるカノンが続きます。

 <おまけのひとこと>
 昨日の雨はものすごかったですが、今朝は晴れました。地下室の除湿機の運転を一昨日からはじめました。放っておくと中のものがかびてしまうので、夏場は24時間、除湿機を運転します。



5月25日(火) A.カルダーラのカノン(その2)

 昨日のカノンのデータ(crdr_k01.mid)は、[A],[B],[C] の3つのフレーズを順に繰り返し演奏します。推奨される演奏は、最後に入ってくる3番目の奏者が、[A],[B],[C],[A],[B],[C]と2回繰り返すまで演奏するということなのですが、今回は最初の奏者が2回繰り返したところで終了しています。つまり第3の奏者は、[A],[B],[C],[A] でおしまい、にしています(下図)。

 これは、3パートが全く同じ音色で、音量も、左右のチャンネルへの重み付けもまったく同じ条件でデータを作ったため、3パートが揃った以降は、いつも全く同じパターンの繰り返しに聴こえてしまうからです。

 これだと変化がなくてわかりにくいので、最初のパートだけを強調したデータを作ってみました(crdr01a.mid)。第2、第3のパートは音量を下げて、ステレオの左右のチャンネルに割り振ってあります。

 さらに、楽器の音色を変えてみたり(crdr01b.mid)、オクターブの高さの違う楽器であわせてみたり(crdr01c.mid)してみました。

 こうすると、次々と入れ替わり立ちかわり演奏している感じが出てきます。実際の楽器では、全く同種の楽器を用いていたとしても、3人の演奏者によって微妙に音色や音量等が違うため、ちゃんとカノンに聴こえます。

 ・・・これらのMIDIデータは、MIDIの再生環境によっては意図した効果とはまるで違った印象に聴こえるようです。聴いてご覧になって、あまり面白くなかったらすみません。 なお、「カルダーラ、カノン」で検索してみたら、カルダーラ:3リコーダーによる15のカノン A.(T.) 【楽天フリマ:オークション】というページがありました。今週一杯くらいで見られなくなると思いますが、私が持っているのが、このページで出品されている全音リコーダーピースの楽譜です。

 <おまけのひとこと>
 カルダーラ、というと、古典イタリア歌曲集の中に何曲か収録されている歌曲が美しいです。 これらは、ピアノ伴奏でもすばらしい曲なのですが、オルガンやチェンバロといった楽器の音色がよりふさわしい曲もたくさんあります。イタリア古典歌曲集というページに、あの畑中良輔先生の解説が載っていて、お勧めです。



5月26日(水) 規則の発見

 先日、ちょっとおもしろい心理実験の話を又聞きで教えてもらいました。 人間のパターン認識や規則を発見する能力に関する実験だそうです。 一見ランダムに見える、実は隠された規則に厳格にしたがっている文字列を何十個か提示して、その後で、その規則から外れた文字列や規則に従った文字列を見せると、被験者はかなり高い確率で、規則から外れているか否かを判別できる、という実験なのだそうです。

 面白そうだったので、自前でちょっとプログラムを組んで、「規則」をランダムに生成して、自分を被験者として、上記の実験を試みてみました。 又聞きなので、実験の条件、例えば文字の種類とか文字列の平均的な長さ、提示している文字列の数などが全くわかりません。とりあえずは適当に、日本語の五母音を使ってみることにしました。

 次の表は、そうしてランダムに定めた規則を元に、適当な五母音の文字列を、「正しい」(=規則に従っている)ものの例と誤っているものの例に分けたものです。誤っているもののほうは、どれだけ規則から外れているかによって、さらに2グループに分けてあります。

正しい例 誤った例 明らかに誤った例
あああお
あいあお
あいいあお
あうああお
あうあお
あうえええお
あうえお
いああお
いあいあお
いあうええお
いあうお
いいあお
いいいあお
うあああお
うああお
うあいあお
うあうお
うえあうお
うえあお
うえうあいあお
うえうあお
うえうお
うえええお
うええお
  ・
  ・
  ・
ああういお
あいあえお
あいうえうお
あういうお
あううあお
あえあいあえお
あえいお
あええいお
いあいいお
いあううお
いいいうあいお
いいえうあういいお
いうああいういうお
いういあえお
いうえお
いえういお
うああいえお
うあえあいえお
ういあお
ういうお
ううああお
うういあお
うううえお
ううえううお
  ・
  ・
  ・
あいあうえ
あうういえう
あおうお
いいおうお
いえいえ
いおいいお
うあいえ
えあえい
えうあうお
ええいお
おあいう
おいいい
おいういお
おえおあ
おおあえお
  ・
  ・
  ・

 コンピュータでランダムに作り出した判定条件によるグループ分けですから、これを「まちがいさがし」的なパズルとして解いても、おそらくそんなに面白くないと思います。ただ、「正しい例」と「明らかに誤った例」の判別条件は、ちょっと考えていただいても面白いかもしれません。この判別条件では、「誤った例」は「正しい例」と区別がつきません。

 この実験に関する考察はまた明日書きたいと思います。

 <おまけのひとこと>
 A.カルダーラのカノンについて感想をいただいて、嬉しくなっています。



5月27日(木) 「豊かさが招く不幸」

 新しく出た日経サイエンス2004年7月号に、「豊かさが招く不幸」という論文が掲載されていて、非常に興味深く読みました。 昨日、「規則の発見」という話を書き始めましたが、今日はその話は延期して、この論文の話をちょっとご紹介しようと思います。

 上記の日経サイエンスのページの中に、この論文の紹介のページがあります。(こちら : 「豊かさが招く不幸」 原題:The Tyranny of Choice. 著者 Barry Schwartz) まずはここを読んでいただければ、どういった内容なのかわかるのですが、要は、選択肢が多いこと、そして情報が多いことによって、自分の選択に満足できないという状況が起こりやすくなるということが述べられています。

 こういった社会心理学の研究の代表的な手法である、多数(数千人以上)の被験者へのアンケートを元に議論が展開されています。

 同じ著者が、おそらく同じ内容を本として出版しているようです(“The Paradox of Choice: Why More is Less”)。

 ・・・時間がなくなってしまいました。たった6ページ程度のものですので、ぜひ図書館などで「日経サイエンス」をご覧下さい。

 <おまけのひとこと>
 今朝、窓の外でカッコーが鳴いていました。そう言ったら、子供が「いつも学校へ行くときに聴こえるよ」と言っていました。



5月28日(金) 規則の発見(その2)

 一昨日のひとことで、隠された規則に従って生成される、一見ランダムに見える文字列をたくさん見ていると、なんとなくその規則が想像できるようになってくるという実験があるらしいということをお話しました。

 ちなみに、そのときの文字列の生成規則のほうを、図でご紹介しておきます。これは「状態遷移図」などと呼ばれるもので、文字が書いてある○印が状態で、矢印に従ってその状態が移り変わってゆくことを示します。矢印で結ばれていない状態には遷移できません。例えば、「い」からは「う」「え」「お」には行かれない、つまり「い」の後には「う」「え」「お」は来ません。もしもそういうものがあったとしたら、その文字列はこの規則に従っていない、誤った例ということになります。

文字連鎖規則 あいいあお

 図の右側では、この規則に従って「あいいあお」という文字列が生成される様子を示しています。

 ランダムな規則を生成させて、その中に潜むパターンを感覚的に判断できるようになるかを知りたいと思ったのですが、規則そのものの枠組みをこのように二文字連鎖に限定しているということを知っているので、自分が被験者になっても、あまり意味がありませんでした。

 「ジンクス」とか「縁起をかつぐ」といった言葉があります。本来、因果関係がないと思われる事象の間に、何か意味を見出そうとする心の働きというふうに理解しています。 一昨日、今日とご紹介したような、一見規則がなさそうな文字列をたくさん提示しているうちになんとなく判断基準ができてくるという能力と、こういった「ジンクス」を見出す心の働きというのは、根は同じなのではないか、という気がしています。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 職場の若いメンバーの一人が今度結婚することになって、また職場の既婚率が50%を上回ることになりました。



5月29日(土) 宝飾系ビーズ多面体(その1)

 「規則の発見」と題したシリーズ、書きたいことはいろいろあるのですが、書いている時間がないので、今日はビーズ多面体の写真を撮って載せることにしました。すみません、2日まとめて更新です。

 今日は正八面体骨格です。これは以前、指輪に仕立てたものの写真を載せたことがあったような気がします。

図 1 図 2

 いつも見せていただいているToday's Information!さんが、最近ビーズ多面体をお作りになっているようで、それを見て、「そう言えばまだ掲載していなかったモデルがあったはず」と思ったのでした。 こういうものは、人によって色や素材が違うので、同じ多面体でも他の方の作られたモデルを見るのは楽しいです。

 ビーズ多面体、コストもそれほどかかりませんし、出来上がりも小さくて邪魔になりません。お勧めの遊びです。

 <おまけのひとこと>
 実家に草刈りに行ってきて、お花をもらって帰りました。早速妻が玄関に飾ってくれました。



 飾ってみての家族の感想は、「なんだかコンサートでもらう花束みたいに豪華できれい」とのことでした。(もしそう見えないとしたら、写真の腕が悪いのです。)




5月30日(日) 宝飾系ビーズ多面体(その2)

 昨日に続いてビーズ多面体、今日は菱形十二面体骨格です。次数4の頂点のほうに、金属ビーズを入れています。次数3だけに入れる方法もありますし、両方に入れる方法もあります。また金属ビーズの色を変えることもできます。

図 1 図 2

 この写真は今朝あわてて撮りました。形を整えている時間がなかったので、ゆがんでいます。

 <おまけのひとこと>
 今日は子供たちの一人は親子レクリエーションで小学校に行きます。もう一人は、一昨年・昨年と担任をしてくれた先生の結婚式があって、披露宴で合唱をしに行きます。あと40分で集合時刻です。急がないと・・・



5月31日(月) 宝飾系ビーズ多面体(その3)

 一昨日、昨日と掲載した、小さなビーズ多面体の大きさがわかるようなものの上に載せて写真を撮ってみようということで、カッターマットの上と、ノートパソコンのキーボードの上に載せてみました。

図 1

図 2

 これは、テグスで作ってあります。金属ビーズはゴマ粒よりちょっと大きいくらいの大きさなので、わりと細かい作業になります。手芸用ゴムを使う場合は、1つの多面体の面ごとにゴムの輪を結んで作っているのですが、テグスで作るときには1本のテグスで作っています。

 <おまけのひとこと>
 今日で5月も終わりです。困ったものです。

 最近、家族で車で外出すると、下の子が標識や看板を読んでくれるようになりました。交差点や分岐点などで、いちはやく「そこは右」などと言っています。
 病院の前を通りかかったとき、表示を見て、「あ、日本あかじ病院だ!」と叫びました。赤十字病院でした。関係者の方ごめんなさい。(十の文字はなぜ読み飛ばしたのか、わかりません。)



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