JAL と ANA

仕事もプライベートも 全日空さんにお世話になっている。
スターアライアンスのメンバーという事もあるが、ANAが好きなのである。  

初めての海外出張。1980年代 搭乗したのは鶴のマークの日本航空さん。 窓の周囲が赤と紺のストライプ塗装だった。 CAさんのユニフォームは、六代目明るいブルーを基調とした森英恵デザイン(スチュワーデス物語)から 七代目 紺色を基調としたミリタリー調に変わる頃だったと記憶している。 初めてのビジネスクラスは シートも食事も夢のようだった。 日本航空さんには その後も海外出張でお世話になった。 90年代後半ぐらいから 日本航空さん 全日空さん 両方利用させてもらうようになった。 二つの航空会社を利用するようになって感じた事は、サービスの視線の違いだった。 日本航空さんのサービスは、超一流ホテルのようだ。 一般の客室乗務員と異なるベージュのユニフォームを着用した先任客室乗務員の方々は、円熟味のサービス・目配り・気配りをする超ベテランの領域に達していらっしゃる方が多い。 女性キャスターの桜井よしこさんのように 見るからに賢そうで 隙が無く そつが無く 如才なく 客からクレームを付けられるような行動は、一度も見た事が無い。 しかし それは 行き過ぎると息が詰まるような空気になる事がある・・・という事に気がついた。 ちょっと押し付けがましくて 頭の上から見下ろされるようなサービス・・・と感じるようになったのはいつ頃からだろう。 

全日空さんの クラブANAに搭乗した時の事だった。 芦田淳デザインのピンストライプのジャケットを着た時の格好の良さ、ピンクやブルーやグリーンのストライプカラーのエプロンを着てサーブする時の明るくカジュアルな雰囲気。 心地よさ。 本当にリラックスして 空の旅をする事ができた。 決して出しゃばらず 必要な時に フレンドリーなサービスをしてくれる。 CAさん視線は 横か下。 上から見下ろされる様に感じたことは一度も無い。 もちろん全日空さんにも 気になる事はある。 一部のCAさんだが、特定の客と必要以上に長く話し込んで、用事を頼みにくかった事 海外ベースの外国人CAさんに オーダーと違う食事をサーブされた事など 改善してほしい点は見受けられる。 ( 外国人CAさんは 研修が終ったばかりの新人で 初のデューティー フライトだったそうだ。 ) しかし そういうことは稀で 長時間ゆっくり リラックス出来るので、以来 仕事もプライベートも 海外も国内も 全日空さんを利用する機会が多くなっていった。

トップを追う二番手には チャレンジャースピリットがある。 遮二無二ぶつかって行く覇気に満ちたエネルギーがある。  ANAさん 最近如何ですか。 挑戦していますか?

JALが駄目という事ではなく あくまでも個人的な好みなので JALファンの方 気に障ったらごめんなさい。


全日空 オムニバス ショート エッセイ

■羽田-札幌便
  全日空63便 仕事で札幌に向っていた。 
季節は冬。 風邪をこじらせ 熱っぽく 咳き込んでいた。 休めない出張だったので 乾燥する機内で 私はマスクをして じっと我慢していた。 飲み物サービスの後で CAさんが 近づいて来た。 そして腰をかがめ 私に言った。
 
「お風邪ですか?」
「ええ。」
「キャンディーを持ってまいりましょうか?」
「ありがとう。 お願いします。」

しばらくして そのCAさんは 小さなビニール袋に キャンディーをいっぱい詰めて 持ってきてくれた。

「どうぞ お大事に。」
「どうも ありがとう。」

おかけで 少し楽になった。
札幌新千歳空港に到着。 飛行機を降りる時 ドアの傍に 先ほどのCAさんが居た。

「キャンディー ありがとね。 助かったよ。」
「はい↑。 お気をつけて〜。」

微笑んで 見送ってくれた。
あの時のCAさん 笑顔と気配り ほんとうにありがとう。


■バンコク 成田便

NH915便

「ご搭乗頂き 有難うございます。 バンコクへはプライベートですか?」
「ええ バンコク経由で ヤンゴンまで行きます。 ANAさんも 以前はヤンゴン線もあったのにね。」
「失礼ですが ヤンゴン線も ご利用いただいたことがあるのでしょうか?」
「ええ ヤンゴン線のクラブANAは 私達夫婦の他は 乗客は一人だけでした。 あれでは厳しいですよね。」
「いつも ご搭乗いただき ありがとうございます。」
「ロンドン フランクフルト パリ ロス JFK SFO バンコク 香港 上海 色々利用させてもらっています。」
「えっ そんなにご利用いただいているのですか? ありがとうございます。 ANAは如何でございましょうか?」
「別の会社も利用しましたが ANAのサービスはフレンドリーで 一番ゆっくり リラックスできます。」
「ありがとうございます。 フレンドリーという点はについては 多くのお客様から 同様のご意見を頂戴しております。 私どもは フレンドリーなサービスから一歩先に進まなければ・・・と思うのですが・・・。」
「ハイグレードのサービスを追い求めても 上から見下ろすようなサービスだけはしないでくださいね。 そこがANAさんの一番良いところなんですから。 」
「ハイ 承知いたしました。」
「私はね・・・仕事もANA 遊びもANA 時計もANAです。 頑張れ全日空っ。 応援してますよ。」

CAさん 私のANAマーク入り腕時計を見て・・・ 

「あらっ・・・。」

眼が点に。 


■成田 フランクフト便 

NH209便
これこれ そこの CAさん。
貴女は英語が得意そうですね。 ネイティブのビジネスマン二人連れと キャピキャピ 楽しそうにお話していますけど、そんなに特定のお客と話し込んでいては 他のお客のサービスが出来ませんよ。 他のCAさんも 注意してあげてください。 
香田キャプテンが乗っていたら 「弊社CAがご迷惑をおかけしまして・・・」 と 深浦うららさんみたいになってしまいますよ。 


■成田 上海便

NH919
機内販売で、ANAのロゴ入りのパイロット用腕時計を買った。 ANAブランドの時計は二つ目。
黒くて大きなダイアルと オレンジ色の太い針 とても見やすい。 以前から機内誌で眼を付けていた。  
箱から出して 腕に着けて眺めていると 通りがかったチーフパーサーさんが一言。 

「お買い上げいただきありがとうございました。 当便の機長も その時計を愛用しています。 お客様 よく お似合いですよ。」   
ニコっ。

嬉しそうに時計を握りしめている ガキの様な自分。
CAさんに見透かされた。 


■パリ 成田便
  NH206便 パリ シャルルドゴール空港。 搭乗ゲート。
グランドホステスさんが声をかけて来た。

 「ビジネスクラスのお客様ですか?」
 「いえ ファーストです。」
 「はっ 失礼しました。 すぐにご案内いたします。 こちらへどうぞ。」

結婚20周年を祝って 生まれて初めてファーストクラスに搭乗する。
実は 貯まったマイレージを使ってのアップグレードなのだが。。。
案内された席に着くと CAさんが着替えを持ってきた。 

「よろしければ こちらに おめしかえられては如何でしょう。 とても楽ですよ。」

ファーストクラスって 着替えもあるの? 広めの化粧室で着替えを済ませ ウエルカムドリンクを楽しむ。 飛び立つ前から 自宅のようにリラックス。 飛行機は飛び立ち・・・食事が始まる。 

「お飲み物は如何いたしましょうか?」
「結婚記念日を祝って ファーストクラスに乗りました。 何か記念日にふさわしくて美味しいお酒はありますか?」
「それは おめでとうございます。  それでは グラン キュベは如何でしょう。 私どものお奨めのシャンパンでございます。」

前菜がテーブルに並ぶ。 程よく冷えた クリュッグ グランド・キュベのコルクが ポン と開けられ グラスに幸せの金色の泡がはじける。 

「ご結婚記念日 おめでとうございます。 ゆっくり お召し上がりください。」

キャビアをつまみに グラン・キュベは美味しい。 イチゴやオレンジといったフルーツを食べながら シャンパンを飲むと 果物の香りが湧き立ち楽しいが、キャビアにも良く合う。

前菜 スープ サラダ アントレ チーズ 果物 デザート 小菓子 と一品ごとに 目の前でワゴンから取り分け サーブされる。 シャンパンが進む。

「もしよろしければ グラン・キュベをもう少し如何ですか? 御気になさらず おっしゃってください。 お好きな方は ボトル一本空けてしまわれるお客様もいらっしゃいますので。」
「ありがとう。 では もう一杯お願いします。」

アントレは 三種種類の中から 大好物 鴨のロースト グランメール風を選んだ。
デザートのイチゴのムースを頂きながら ドランブイを楽しむ。

シャンパンが効いたらしい・・・眠気がやって来る。
椅子は 電動でベッドに変身する。 CAさんが 羽毛の上掛けと枕を用意してくれる。 照明を落とし 眠りに落ちた。 何時間寝たのだろう。 眼を覚ますと すぐにCAさんが 暖かいおしぼりを持って来てくれる・・・

「如何なさいましたか? 何か お飲み物でもお持ちしましょうか。」
「冷たい ミネラル ウオーターをください。」

トイレから戻ると すぐに おしぼりが運ばれる。
また しばらく眠り、次に目が覚めたときは 明け方のようだった。 

「お目覚めですか。 おはようございます。 おしぼりをどうぞ。 あと二時間ほどで成田に到着します。 ご朝食はお手元のメニューにございますものは 何でも結構ですから、ご自由にお申し付けください。 たとえば 洋食快食(セット)をお召し上がりいただいた後 和食快食の御粥とお漬物とお味噌汁を追加という事も可能ですし ラーメンでも ハンバーガーでも カレーをご注文いただいても大丈夫です。  如何いたしましょうか? 」
「・・・・・」

「本日は ANA パリ-成田線 ファーストクラスにご搭乗いただきまして 有難うございました。 また Mr.Yang.様ご夫妻のご結婚記念日を 乗務員一同 心より祝福させて頂きます。 つきましては ご搭乗の記念になるものと思い 乗務員の寄せ書きを用意させて頂きました。 また空の上でお会い出来ます日をお待ちしています。」


朝の成田空港。 
いつもの到着ロビーと 感じが違う。 
一晩飛行機に揺られて来た筈なのに 眠くない。 すっきりしている。
エコノミーは疲れる。 ビジネスは疲れない。 ファーストは疲れがとれる。 この格言は本当だ。

ファーストクラスって どうなっているの?
こんな生活していたら 感覚が麻痺する。
皆様 ファーストクラスは 人生を踏み外す可能性があります。 ご利用の場合ご注意ください。


■成田 全日空ホテル
午前中の出発便の時 前泊は全日空ホテルを定宿にしている。 ANA便に搭乗するなら ホテルでチェックインできて ラッゲージも預け 手ぶらでターミナルまで移動する事ができて便利だ。 部屋もサービスも気に入っている。 数年前 インターネット接続のキットを借りたときも ベルボーイが速やかに対応してくれた。 当然マイレージも付くしね。
お気に入りの全日空ホテルだけれど 改善して欲しいことがある。 朝食を改善して欲しいのだ。 特に スクランブルエッグ と ソーセージは 何度食べてもしっくり来ない。 感覚的なものなので 対応は難しいと思うけれど 他のホテルと食べ比べしてみるなどして 考えてみてください。 
卵料理は朝食の華 ホテルの顔 ですから 大事にしてくださいね。


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