■カナダ アラカルト

老舗の ニューヨーク ラガーディア空港から トロントへ移動する。
JFKに比べると 利用客も少なく こじんまりとした空港だが、歴史は古く、リンドバーグが、スピリット オブ セントルイスで 大西洋単独飛行に飛び立ったのは この空港だったと記憶している。

エアカナダ チェックインカウンターのお姉さんが、早口で何か言っている。 
聞き直すと 予約した飛行機より一本前の飛行機に空きがあるので そっちでどうか? と言っている。 もちろんOK。  早口英語が聞き取れない時は 聞き直すと 何度でもゆっくりしゃべってくれる。 英語のお勉強。 しかも無料の・・・。 エアカナダのグランドホステスさん ありがとう。  
ニューヨーク 予定より一時間早いけど さようなら。 


  霧の乙女

ナイアガラの滝は大きい。 
白い水しぶきが 雲の様に舞い上がる。
霧の乙女号・・・アメリカ滝の横を通り カナダ滝の滝壷近くまで行く観光ボートだ。 乗ってみることにした。 チケットを手に 長蛇の列に並び 階段を下りていく。 すぐ後ろにいた おばさんが話しかけてくる。 北米のおばさんは陽気で 無邪気で 親切で おせっかいで 好奇心旺盛。 頼みもしないのに写真を撮ってくれたり、おしゃべりしに寄って来る。  今回は 私が手にしている小型のビデオカメラが気になるようだ。 

「これはデジカメなの?」
「ビデオカメラだよ 」
「ワオ〜 こんなに小さいのに カムコーダーなの?」
「小さくて いいでしょ。  メイド イン ジャパンだよ。」
「でも 犬のマークだから RCA.製でしょ・・・ユナイテッド ステイツ製 じゃないの?」
「これは JVC のマーク。 日本の会社だよ。」

おばさんは怪訝な顔。 RCAとは 懐かしい名前・・・でも説明するのは面倒なのでやめた。
JVCさん マークは世界的に誤解ないものしてね。

「見てみる? これがモニターで これがスイッチ。」
「わお〜 グレイト。 小さくて軽いのね いくらなの?」
「だいたい ××××ドル」
「ヒュー 高い。 」

口を尖らせ 眼をみはり 後ずさりして行った。 ご亭主の所へ戻ると ご亭主に しゃべりを始めた。
あのカムコーダー ××××ドルですって・・・高いわね〜。 でもちょっと欲しいくない?・・・ とか なんとか言っているのかもしれない・・・ご亭主は顔も上げずに 無言でパンフレットを眺めていた。 

配られた青いビニールコートを着て MAID of MISTに乗る。 
下から眺めるアメリカ滝は大迫力。 水しぶきが飛んでくる。 写真を撮ったり ビデオを回したりしていたが、水量の多い 巨大な馬蹄形のカナダ滝に近づくと 次第に揺れが激しくなって来た。 カメラも ビデオもデイパックの中に一時退避。  次第に滝の瀑音でエンジンの音が聞こえなくなる。 馬蹄形の中央は 台風の暴風雨のようだ。 強風とともに大粒の水がビシビシ バシャバシャと叩きつけるように落ちて来る。 同時に細かい水煙が ものすごい圧力で包み込んで来て息が苦しい。 ビニールコートの中まで水が入ってくる。 霧の乙女号は 強烈な水量に逆らうように 滝つぼの霧の中で エンジンを吹かして前後左右 木の葉のようだ。 まるで自分は ハリケーンの真っ只中で実況中継しているレポーターだ。 

霧の乙女とは 嵐にも負けない強い女性の象徴なのでしょうか?


  サルファー マウンテン バンフ

バンフ インターナショナル ホテルのロビーは 観光バスを待つ欧米人のツアー客で賑わっていた。
欧米の おじさん おばさん 身体がでかい 声がでかい。  彼らに囲まれていると 息苦しくなる。 
数少ないバンフのタクシーがやっと来た。  

「サルファー マウンテン スカイライド ステーションまで。」

タクシーは リムロックホテルの横を過ぎ 林の中を進む。 20分ほどでゴンドラの駅に到着。
朝八時過ぎ スカイライドは閑散としていた。 
誰も居ない山頂から 朝の清々しい景色を眺めたい。
足元にバンフの街 鉄道 駅 道路 ・・・遠くにカスケード マウンテンが見える。 
八月九日 快晴。 山頂は寒かった。 

中国人や 韓国人のツアー客がやって来る。 しかし20分程で 下山していく。
後は家族連れと 個人旅行者だけ。 静かに景色を楽しむことができる。

針葉樹林の山裾は、日の光を浴びて どんどん色が変化していく。
大陸横断列車の長いトレイルがゆるゆると進んでいくのが見える。 
先頭の大型ディーゼル機関車の 低く 長い 汽笛が 遠くから響いて聞こえる。 
妻と二人 いつまでも この景色を眺めていたかった。

妻は 山頂付近にいる野生のリスに見惚れている。 お昼も近い 下山しよう。 
ゴンドラの麓駅から バンフの街まで ミニトレッキング。 針葉樹の中を うろうろ 下山する。 誰も居ない 林間道路 二人で歩く。 クマは出ないよな・・・。 道は迷っていないよな・・・。 小一時間も歩くと 別荘や住宅が見えてきた。 花が咲き乱れるカスケードガーデンも近い。 
奥様 KEG で アルバータビーフのプライムリブ ローストでも 如何でしょう。 


  ジョー フォルテス バンクーバー

カルガリーからバンクーバーに移動して来た。 
早めの昼食が食べたくて ジョーフォルテスにやって来た。
ここはオイスターバー。 シーフード料理も美味しい。 

店はガラガラ。。。 
陽気で 感じのいいお姉さんがオーダーを取りに来た。 

「今日のランチのお奨めは、ハリバットの頬肉のグリルよ。 試してみたらどうかしら ? 」

お姉さんは 自分の頬を人差し指で指しながら 陽気に言った。
お奨めのハリバットの頬肉グリルをいただくことにした。 お皿に盛られた頬肉は三つ。 大きかった。 これほど大きな頬肉という事は ハリバットという魚は かなり大型の魚らしい。 お姉さんは、身振り手振りを交えて 如何にハリバットの頬肉が美味しいか ハリバットという魚が大きいか を説明すると ランチを楽しんでね・・・と言い 戻って行った。 レモンと香辛料を効かせた シンプルなグリルだが 美味だ。 妻はそれほど空腹ではないらしく ビスクを注文したが 私のお皿から頬肉を一口食べると・・・後悔したようだ。 
11時半を過ぎても 客の姿はまばら。 殆どガラガラといってもいい。 料理は美味しいのに? 
その時 はたと 気がついた。 今は11時半ではなく 10時半なのだと。 
カルガリーとバンクーバーには時差がある。
飛行場で 時差修正するのを忘れていた・・・のんきな私。 

翌日の夕食も ジョーフォルテスにやって来た。
店の前では、予約係が背の高いテーブルに予約ノートを広げ 大勢の客をさばいている処だった。 予想以上の混雑。

「予約はしていないんだけど 二人分のテーブルを用意してもらえませんか?」
「OK 30分待ってもらえれば 用意できると思います。 ウエイティング バーでお待ちになりますか?」
「いや 妻は飲めないので・・・。」
「では あちらの 待合テーブルで お待ちください。」

「Mr.Yang. 」
ウエイティングの椅子に腰掛けて待っていると 15分ほどで 名前を呼ばれた。 店は どのテーブルも混んでいた。 笑い声 おいしそうな料理の香り。 楽しげな空気。
一階の一番奥の二人掛けのテーブルに案内されると すぐに 明るくて 元気のいいお姉さんがメニューを持ってやって来た。
「ハーイ こんばんわ メニューをもってきましたよ〜。」
「飲み物はシャルドネをください。 それから・・・何かシーフードのグリルが食べたいのですが、お奨めのお料理はありますか?」
「日替わり魚のグリルの盛り合わせがあるわ。 三種類の違ったをお魚の味を楽しめるのよ。 それと これも日替わりでお魚が変わるんだけど シェフの創作料理が特別お奨めね。 どちらも美味しいから 二人で それぞれ試してみればどうかしら。」
「では それをお願いします。 お腹が空いているので 急いでね。」

お姉さんは ニコリとウインクすると 颯爽と厨房へ。
すぐに 白ワインを運んで来た。

「よく冷えているわよ。 シャルドネの香りを楽しんでね〜。」

飲めない妻も 今日は白ワインに挑戦。  乾杯・・・。

しばらくすると また元気なお姉さんが ニコニコしてやって来た・・・
「シャルドネは口に合うかしら???」
「うん フルーティーで美味しいね。 妻もいい香りだと言って 喜んでるよ。」
「それは 良かったわ〜。 何かあったら 声かけてね〜。」

今度は・・・てきぱきと料理を運んで来た。
「これは アラスカン・ハリバット サーモン と シーバス のグリルよ。 三種類のフレーバーを楽しんでね。 レモンを絞ってどうぞ。 シャルドネに合うと思うわよ。 じゃ ディナーを楽しんでね〜。 」
 
それからも 調度いいタイミングでやって来ては・・・
「お料理は楽しんでもらえているかしら?」
「シャルドネのお替りは如何? 」

チョコチョコ テーブルを覗き込んで しゃべっていく。

カナダのレストランで働く皆さんは、明るく、元気があって、食事を楽しませてくれる。 この店のお姉さん達は その中でもトップクラス。  料理の味も一級。

バンクーバーにいらした折には よろしかったら 皆様も如何でしょう。
ROBSON通りとTHURLOW通りの交差点近く 聞けばすぐにわかるはずです。



  アルバータ ビーフ

食事のお話の流れで もう一品。 
カナダはビーフ ステーキが美味しい。 (もちろんアメリカも) とりわけ カナダ アルバータ牛の赤身のステーキは美味しい。 日本のビーフステーキは 脂身が多く 最初はいいが、飽きてしまう。 北米の赤身のステーキは塩と胡椒だけで美味しくいただける。  またさっぱりしているので 400グラムでも 500グラムでも食べらる。  噛んでいるうちに 赤身の肉は旨味が溢れてくる。 
個人的には赤身のニューヨーク ステーキが好きだが、さっぱりと美味しいステーキをご希望の方は プライムリブ ローストを試してみては如何。 バンフのカリブーロッジの中に店を出しているKEG (ステーキレストランのチェーン店)の プライムリブは特に美味しかった。


  サタデー イン ザ グラウス マウンテン

バンクーバーからシーバスに乗って ノースバンクーバーへ。 
バス乗り場は、シーバスが運んだ客で 溢れかえっている。
横を見ると タクシーが一台停車している。 タクシー ドライバーは色黒のインド系。 ターバンを巻いている・・・シーク教徒かな。 

「スカイライドの駅まで。」

スカイライド(ゴンドラ)の駅も混雑していた。 今日は土曜日。
大型のゴンドラ と リフトを乗り継いで 一気に山頂へ。  快晴・・・心地よい風か吹き抜けている。
ライオンズ ゲート ブリッジが見える。 入り江の向うに スタンレーパーク と バンクーバーのダウンタウンが広がっている。 ブリティッシュ コロンビア大学や空港のあたりまで見えるほど 遠くまで 視界が良い。 夜景もさぞ綺麗なことだろう。

ランバージャック ショーが始まった。 二人の木こりが 木を切るパフォーマンスを披露。 ボケ役が真面目に木を切る。 横で 突っ込み役の相方が ずる賢く立ち回る。  二人で 水の上の浮かべた丸太に乗り ぐるぐる回る丸太の上で 落としあいっこ や 木登り競争を コミカルに見せてくれる。 (木登りのスピードは半端じゃなく速い。 駆け上がるように登っていく。 降りるのはそれ以上だ。 なにせ 滑り降りるんだから。 ) 木に登り 天辺で 木登り道具や命綱をはずし 曲芸を始めた。 フラフラして 見ている者をヒヤヒヤさせ 楽しませる。 そのうちに 本当に転落・・・と思ったら 安全金具が 柱を支えるロープにつながっていて・・・ロープをすべり降りて ショーは終了。 
皆さん 本場カナダのランバー ジャック ショーはお奨めですよ。

オープン カフェで 早めのランチをとる。 ハンバーガーと 桃色のグレープフルーツジュース。 カナダでは このジュースが美味しい。 アメリカにも同じものがあるが なぜかカナダの方がボトルが大きくて 値段が安い。  入り江の向うで 日差しを受けキラキラ煌めくバンクーバーの街を眺めながら パラソルの下 妻と一緒に ハンバーガーを頬張り・・・幸せを感じる小市民の私。   それも いいではないか。 

今 自分は 幸せだ・・・な〜んて 感じる瞬間・・・なかなか無いものですぜ。


カナダは 過ごしやすい処
山と氷河 森と湖に囲まれ カナディアン ロッキーは広大で美しい。
アメリカに比べて物価は安めで、フレンドリーな人が多い。 
赤身のステーキが美味しい。
機会があれば また来たい。


2001年8月  北米大陸横断紀行


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