MIRAIKAN


  私は 日本科学未来館のリピーターである。 時々 未来館に行く。 ロボットなど見ているだけで楽しい。
見ているだけでは理解し難いDNA RNA などの展示物も ボランティアの方々がフレンドリーかつ、懇切丁寧に説明してくれる。 そういう専門のお仕事をされてきたOBの方々なのだろう。 稚拙な質問にも きちんと応えていただける。 子供だけでなく 大人が勉強できる処なのだ。 そんな事もあって最近の館内では、子供の姿もあるが、熱心な説明に耳を傾ける 大人の姿が目に付くようになった。

  電子立国にっぽんをリードしてきた科学技術は、電子・物理の世界と 生物・化学・医療とが一緒になって次の世界を切り開く真っ最中にいる・・・という事を実感するのである。 技術の進歩は早い。 1990年代にはDNA ヒトゲノムの解析にあと十年以上かかると予測されていた。 しかし 2000年代の初頭には解析が完了し、研究最先端はプロテオームに向っていると聞いた。 このように10年先を予測する事はも難しい。 常設展示も毎年 改訂する必要があるだろう。 こういった博物館の設備更新は遅れがちだが、日本科学未来館だけは、きちんと毎年最新技術のリーディングエッジを 展示・表現し続けて欲しい。  前略 未来館さま 科学技術振興機構さま 文部科学省さま 毎年 きちんと予算を確保して 先端技術をキャッチアップして行ってください。 

  Science News from Asia.
2007年6月2日〜9月2日 特別展示中のサイエンスニュース アジア展を見学した。 アジアのサイエンスの一端を垣間見ることができた。 

  中 国
シルクとナノテクノロジー。 シルク繊維表面にナノテクで導電物質を形成。 電気抵抗の変化により 繊維の伸び縮みを認識する 伸縮繊維素材を展示。 病院に入院している患者の衣服に取り付け 患者の動きの程度・頻度を定量的につかむことができる・・・と係りの中国人女性が説明してくれた。  同じようにシルクにナノテク処理をした 紫外線から身を守る衣服や 汚れがつき難い衣服、濡れない衣服などの展示があった。 中にはシルクと光ファイバーを編み上げ 極彩色の光の絵が浮かぶ繊維など・・・たしかに綺麗だが どんな使い道があるのか良くわからないものもある。 昔日本にも光ファイバーを使って キラキラ美しい夜景を表現したディスプレイがはやったことがあるが・・・ああいったのりなのかもしれない。 色々試してみることは大事だ。  東洋医療・漢方は経験則重視、 西洋医療は理論的。 今双方の長所を融合すべき時という説明もあった。 漢方医療の世界では 師弟関係の中で 先人のノウハウを伝承していくので、バラツキが大きい点が課題。 中国では 認定試験制度を導入中だそうだ。 いざ試験をしてみると 成績のバラツキが大きいそうだ。  総じて経験則がベースの知識とか理論体系というのは 暗黙知のままだと 摩訶不思議に見える。 上手に整理して形式知に展開すると 理論的議論の対象になる。 日本の企業文化の中に根付いた 品質管理 QC  ( Quality Control ) も 膨大な経験則を整理し 体系化 活用するための知恵の集約という見方も出来る。

  タ イ
タイ各地に点在する沼地。 この水を活性化させるために 水をかき混ぜ 酸素を取り込む水車をよく見かける。 これはタイ国王 ラーマ9世 プミポン国王陛下 の特許だという事を知った。 特許を取得した国王は プミポン陛下ただ一人なのだそうだ。  
タイが位置するインドシナ半島は、マラリアやデング熱などの蚊など昆虫が媒介する風土病が多い地域である。 その昆虫に寄生する菌を使って 風土病の薬を作る研究が展示されていた。 昆虫に寄生した菌は、宿主の栄養を吸収し成長する。 やがて宿主の命を奪い、そり骸から菌糸が成長し胞子を飛ばす。 ( その様子は まるで映画 風の谷のナウシカ・・・オウムの体から菌糸が育ち・・・腐界の森ができていく様と同じ。)  昆虫の身体にいる マラリアなどの病原菌に打ち勝って行く菌には、マラリヤやデング熱に効果的な成分が含まれている。 これを抽出して 薬にする研究などが興味を引いた。

  マレーシア
回教徒の多い国。 食材の中に豚肉が入っているかどうかは一大事。  科学技術を用いた製造業・研究所ではよく見かける クロマトグラフ 吸光分析等のように 横軸に周波数 縦軸にレベルをとり 特定の周波数でピークが出てくるの含有成分測定器。 これで 豚肉が使われているかどうかを見分ける・・・という説明を聞いた時は・・・場所が違うと こういう利用法が大事になるのか・・・という事だった。

  シンガポール
世界一 近眼の子供が多い国には、眼が良くなるトレーニング器があるそうだ。 近眼はレンズの距離調節筋肉の機能の変調であるが、物を見るのは眼だけではなく 網膜から脳へ信号を送る神経と 脳の中のイメージ細胞の機能で 頭に絵を描いて 認識している。 近眼を眼だけで治療しようとするけれど、眼の機能の低下を 脳のイメージ細胞の相互作用を強化する事で補強しようとする考え方。 トレーニングは 細胞の相互保管機能を高めるための 映像を繰り返し見るプログラムだった。 にわかに信じがたいが・・・この方法で 効果が上がっているとの事だった。 

  韓 国
微量の血液を マイクロチップに落とすと GTP  GOT の測定ができるバイオチップの展示。 これは 酵素を使った電気化学センサーの代表例で、日本国内でもよく見かける。 もっとも日本では 生活習慣病・医療高騰で保険費用の大問題になりつつある糖尿病のグルコースセンサーの利用ビジネス例が多い。 各国 みんな頑張っているんだね。 日本も もっと頑張らないとね。



  ところで・・・人間は 理解できない価値は 価格で判断するらしい。  技術の安売りや 技術の価値が分り難い今の産業構造は 子供の理系離れの一因として見える。  ひと目見て すごい・・・と子供が目を輝かせる・・・夢中になれる。 周囲から技術者・科学者はすごいんだ・・・と分ってもらいやすい産業の見せ方・演出も要るんだろう。 行き過ぎた演出は疑問であるけれども プロジェクト-○や ガイヤの○○○の様な番組がスポットライトをあてたい焦点・狙いは共感する。  未来館の土産コーナーでは、自分のDNAを解析して見ようキットや 自分の心臓を計ってみようキットが販売される日も近いのかも知れない。 

  資源の無い日本。 
世の中に無いものを生み出し続けるか 自らの資産を投資して 生きるしかない。 
世の中に無いもの 病気を快適に治す技術 病気にならない技術 苦しまない技術 美しい技術 環境をきれいにする技術 安全で美味しい食料をたくさん生産できる技術 美味しい食事を作る技術 人が人を傷つけない技術 素晴らしい技術・科学の創出力・・・仮にお金は無くても こういう力があれば 21世紀の日本人は まだまだ行けまっせ〜。  次の世代を担う子供たちの中に そういう大志を持つ子供がたくさん育ちますように・・・。 私は そういう子供達にエールを贈ります。

  追伸 DNAのブースのボランティアさま 東南アジアの科学ブースのボランティアさま  にこやかに懇切丁寧な説明をありがとうございました。  元気をいただきました。

                     

      




遠くへ行きたい・旅物語
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Mr. Yang. All right resreved .