ビジネス・経済・社会・自然科学  


■アイディアの作り方
   James web young 氏著

  アイディアとは 既存事実の新しい組み合わせ。 新しい組み合わせを発見する才能は、物事の関連性を見出すスキルを高める事によりもたらされる。 アイディアを作るには、正しいやり方がある。 
膨大な特殊・一般情報の収集。 気の遠くなる整理・咀嚼作業。 考える事を放棄 距離を置く。 アイディアの到来。 信頼の置ける人への確認。 多くの場合 情報収集と整理・咀嚼・・・という準備仕事をしないで、アイディアを出そうとするが これは間違いである・・・と本書は述べている。 先の失敗の本質で感じた 最初に結論ありき・・・の対極の思考・行動体系に思える。  著者は故人であるが、広告コピーの大家であり、本書は今も隠れたベストセラーなのだそうだ。


■MADE IN JAPAN 
    盛田昭夫 下村満子 E ラインゴールド各氏   朝日文庫

  ソニーの創業者の一人 故盛田昭夫氏の自叙伝。 人をひきつける彼の魅力に溢れた本。 アメリカで、大量の注文を提示されたトランジスタラジオ。 その時 盛田氏は バスタブ カーブを描いて見せた。 数が少ないときは高く 数量の増加とともに大量生産の効果によって価格は下がる。 しかしある所から 価格は 数量と共に上昇カーブに変わる。  あまりに大量な需要は、設備投資によって 安くならなくなる。 また投資をしても 需要が続くという保証は低く、リスクが大きくなる。 買う立場 作る側 双方の調度良い折り合える点というものがある・・・という教えなのだろう。  
黎明期のSONY 何も無いけど 夢だけは大きく明るかった。 そして その夢を具現化するエネルギーと知恵に満ち溢れていた。



■土光敏夫 信念の言葉
    PHP選書             PHP研究所 

  IHI 東芝 経団連。 私が知っている 土光さんは すでに経団連のトップだった。 
東芝時代の土光さんを知る 知り合いがいた。 IHIの時代は まったく知る術がない。
そんな昔の 清貧・愚直な経営者の話。  
以下に一部 本文から引用する。

  能力には高低の差がある。 しかし それは知れたものだ。 むしろ能力のタイプの違いの方が大きい。 その能力は 上とか下とかというものではない。 能力とは自力の高さと幅だといえる。

  私達は 極わずかだが 火種の様な人がいる事を知っている。 自らカッカと火を発して燃えている人たちだ。 その人たちのそばにいると 火花がふりかかり 熱気が伝わってくるような感じを受ける。 誰にも皆 火種はある。 必ずある。 他の人からもらい火するようでは情けない。 自分の火種には 自分で火をつけて燃え上がらせよう。


    
■ニワトリを殺すな           幻冬舎
     ケビン D ワン 氏

  本田宗一郎の考え方 HONDAの企業文化の寓話・・・と言われている。
傷ついたニワトリが一羽いると 周囲のニワトリは 一斉に傷ついた一羽のニワトリを突いて殺してしまう。

傷ついたニワトリは 何かに失敗した人の例え。 失敗した人を責めて 潰してはいけない。 今までに無い事に挑戦すれば 失敗するのが当たり前。 失敗を責めて 挑戦する心を失う事が 一番いけない。 むしろ失敗した過程の試行錯誤や 失敗の理由・原因について どう考えたかが大事。 試行錯誤の過程や失敗の原因について 暗黙の知識を形式の知識にして 議論する事が 真に大切なのだ。 



■俺の考え
     本田宗一郎氏          新潮文庫

   下る事を知る人・・・のくだりは 一読価値がある。
趣旨概要の咀嚼であるが・・・・ 物事は 上り続ける事も無ければ 下り続ける事もない。  しかし調子が良いと このまま月まで駆け上がれるかのような錯覚を起こすもの。 大事なのは 調子が良い時にも 下る事を知る・・・という事。 自分が上りが得意なら 下る事が得意な人と助け合い 信頼しあうことが大切。 本田宗一郎と藤沢専務はそういう関係。 

   知恵とは 見たり聞いたり試したりの三つの知恵で出来ている。 見たり聞いたりは迫力が無いし 人に訴える力がない。 試した・・・という知恵が 人を感動させ しかも 自分の本当の力になる。 

  そこには ニワトリを殺すな・・・に通じる 彼の哲学がある。



■仕事は楽しいかね?   
    デイル ドーテン 著    きこ書房   2001年12月 初版  1300円   

   本文から引用・・・最初に陸にあがった魚は 長期的な戦略を持っていたと思うかね?  スティーブ ウォズ二アックが どういう理由でアップルの一号機を作ったか知っているかね? 彼は世界を変えたかったわけでも 大企業のトップになりたかったわけでもない。 大きな目標なんかない。 仲間に自慢げに見せただけ。 そのコンピュータを売るという事すら 彼のアイディアではなかった。 友達の ステーブ ジョブスに是非そうしろ とアドバイスされたんだ。 
  遊び感覚でいろいろやって あとは成り行きを見守る。 コカコーラの話 ジーパンの話 ・・・ 創造とは 気づきと遊び心と実行なんだ。 未来の事なんか 誰にも判らない だから思いっきり楽しまなくちゃね。  




 ■ユダヤ5000年の知恵
      ラビ・マービン・トケイヤー著   実業之日本社   2005年 2月初版

  日本人にはなじみが薄いユダヤ人。 杉原千畝氏の命のビザ アウシュビッツ ユダヤの商人 イスラエル 中東戦争 頭のいい人たち。  キッシンジャー大統領補佐官もユダヤ人。 社会的に成功した人の割合が多く 民族人口割合で見るとノーベル賞受賞者も飛びぬけて多い民族。 ユダヤ人って いったい どんな人たちなんでしょう。  ユダヤ教  ラビ  タルムード・・・。   沈黙も意思表示・・・

  豊かな人とは 自分の持っているものに満足できる人の事である。

  要領の良い人間と 賢い人間の差・・・要領のいい人間は、賢い人間だったら絶対陥らないような困難な状況を 旨く切り抜ける人の事である。

  たちの悪い男は、隣人の収入を気にするが、自分の出費は気にしない。

  賢人になる七つの条件
    自分より賢い人がいるときには沈黙
    人の話の腰を折らない
    答えるときに慌てない
    的を得た質問と 筋道立てた答え
    まずしなければならない事から手をつけ 後回しにできるものは最後にする
    自分が知らないことはそれを認める
    事実を認める

  ラビ・ヒレルの言葉・・・
    非ユダヤ人が来て ラビ・ヒレルに言った
    「自分が 片足で立っていられるだけの時間に ユダヤの学問をすべて教えよ。」
    ラビ・ヒレル応えて曰く・・・
    「自分がやりたくないことを他人にさせるな。」


  一生かかって経験して積み上げてきた生きるノウハウ・見つけ出した真理・・・人が一生を終える時に消えてしまう暗黙の知恵 Wisdom を 次の世代に伝える上手な術を持った民族の優位性・・・それを何千年もの長きに渡り 伝え続けた民族の崇高さ・・・ 数ある知恵の中の一つとして このような事があるのかもしれません。


  NHKの プロジェクトX や プロフェッショナル仕事の流儀は 語り継ぐ人も無く 人知れず埋もれて 忘れ去られて行きそうな大切な Wisdom ・・・そうした事を伝え残したい・・・という意図を感じる事があります。 日本人の社会には そうした役目を果たす人や職業や しくみが無いのかもしれません。  流行に左右され 熱しやすく さめやすい国民性 怒りや悲哀の議論の的をすり返られ 何に怒りを感じたのかさえ忘れてしまう。 立派な人を中心に群れ集う時の日本人の優秀さ 核を失ったときの愚かしさ 同じ過ちを繰り返しやすい国民性・・・ 我々のWisdomを次世代に伝えて行きたい。  


■The way of Brain Success ユダヤ人の頭のなか
   アンドリュー J サター 氏著    インデックス コミュニケーションズ 2004年7月初版 1800円

  仕方が無い・・・日本人は 何度この言葉を口にして 思考・努力・行動を打ち切ることだろう。 ユダヤ人にとって 仕方が無いは 単なる 怠惰 なのだそうです。   もし目の前の障害を取り除く もしくは中和する事が当初出来なかったら・・・ 1.回り道をせよ   2.一旦退却し 違う戦術 もしくは違う目標をたてよ  3. どうやっても解決できない状況は 冷静に受け入れ 1.か2.に立ち返れ・・・だそうです。

  社会人になったとき ある人から こんな事を言われた事があります。 
「仕事をしていれば 頑張っても超えられない壁がある。 もうここまでだ・・・と思うことが何度もある。 でも その時 もう一歩踏み込みなさい。 」  
あきらめない しつこく 粘る・・・意外と 大事みたいです。  
 
   



■■■■■ 【 2007/4追加 】 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 ■仕掛け 壊し 奪い去る アメリカの論理  原田武夫の東大講義録
     原田 武夫 氏        ブックマン社

  私の持論と良く似た話が印象的な 第4講 新しい教養は 一読の価値があると お薦めしたい。
 ポイントを 本文から 抜粋させて頂き ご紹介すると・・・ 物事の9割以上の真実は 言わば その辺にこ ろがっている。 9割分っていれば その情報を精査・分析・類推することで 10割察しがつくものだ。  真 意を汲み取る訓練が必要なのである。   以上 情報のリテラシーに関して・・・。


 ■国家の罠  外務省のラスプーチンと呼ばれて
     佐藤 優氏      新潮社   

  機密情報の98%は、実は公開情報の中に埋もれている。 それをつかむ手がかりになるのは新聞を精読し 切り抜き 整理する事からはじまる。 情報はデータベースに入力してもあまり意味がなく、記憶にきちんと定着させなくてはならない。 この基本を怠って いくら情報を聞き込んだり 調査を進めても 上滑りした情報しか得ることができず 実務の焼くには立たない。 国際情報屋には・・・猟犬型と野良猫型がいる。 情報入手手法は 虎式 と蜘蛛式に分かれる。   自分のポジショニングはどのあたり・・・

 けものみち
 待伏せ
  虎式  |
       |
       |
       |
       |
       |
       |
 蜘蛛式  |
       ----------------------------------------------------------
         猟犬型                               野良猫型
        組織・ヒエラルキー・・・                   独立・全体掌握・納得
        従順に命令を聞く                      癖が強く 納得しないと

   田中真紀子外務大臣在任中の ロシア・北方領土問題や 外務省・鈴木宗男議員との一連の話・・・それを通じて アジア ロシア の外交機軸が衰退して行く様子や 米国・新自由主義へと進む過程が 彼の目線から淡々と語られている。  


 ■最高指導者だけが知っている 日本の真実 
      副島 隆彦 氏        成甲書房
  色々な方の いろいろな意見 主張 を聞いてみよう。 どれが正しくて どれが間違えなんて無いのでしょう。  主張に聴くべき旨有り 対極の論理も同時に成り立つ。


 ■マネーの公理
      マックス ギュンター 氏     日経BP社
  試してご覧。 知識は実践の為のもの。 試さぬ知識は・・・。 しかしながら この本に書いてある事を 実践するのは 骨が折れますでしょう。 何代にも渡って 培われ 積み重ねられ しかも日本人には馴染みの薄いナレッジ・・・こういう知恵の伝承って 中々希少なのかもしれません。

 ■アメリカ スーパーエリート教育
      石角 莞爾 氏        The JAPAN TIMES
  NY JFK に向かう飛行機の中で見た映画 ショーン コネリー 主演の  「小説家を見つけたら」。  映画に登場する ニューヨーク屈指の名門 メイラー キャロゥ校。  プレップスクールとは どんな所?

 ■日本発 ハーバード経由 行き先不明
      森川 正康 氏       アルク新書
  淡々と書かれた アメリカ〜イギリスの学校生活。 高校 スタンフォード ハーバード ケンブリッジ 。

        



■■■■■  2007年 5月 追加  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 ■ ニューリッチの世界  日本の新富裕層
      臼井ひろふみ氏      光文社
  台頭する新富裕層。 年収5000万円以上 金融資産1億円以上 の人々について
富裕層を オールドリッチ ウルトラリッチ  プロフェッショナルリッチ 勝ち組リッチ ガッツリッチ  ストックリッチ リタイヤメントリッチ ラグジュアリーリッチの分類し 成り立ちと 行動特性 を分析している点が面白い。

意外と居るんだ 隣のお金持ち 富裕層。 驚き 桃の木 山椒の木・・・。


 ■ 行動経済学
      友野典男氏   光文社新書
  私の持論と良く似た処がある。 人は見える事で理解したつもりになる。 しかし理解したつもりが 上っ面を見ただけでは判断を誤る事が 意外に多いのだ。  人は 議論を通じて良い結論を導けると思っている。 しかし 丁々発止の議論だけでは到底及ばない きちんと整理して 深くじっくり考えた末でないと到達できない議論の世界がある。 これらのコツは・・・話言葉や文章だけで考えないことだ。 言葉や文章が意味するところを絵や表に描いてみるところから始まるのだ。  もし 絵や表を描けないとしたら・・・それは理解できていない・・・と考えた方が良い。 この壁を越えることができたら 一つ高い処から俯瞰し 眺めるような 新しい発見 扉の向うの世界が開けるのだ。 
 
  本書では 確率・・・という人間が最も理解したつもりで 実はまったく間違えた認識をしていることが多い概念を事例に課題提起している。  解説には表が登場し そこに展開されている状況を整理して 解説している。 キーポイントは表や絵で整理・俯瞰する事なのだ。  

  ヒューリスティック と アルゴリズムの対比は面白い着眼点だ。 面積・体積・関数関係など・・・答えを導く方法が分っている場合はアルゴリズム思考。 答えが皆目検討がつかないような問題は 答えを導くための仮説や 方針をたて 整理をして 方向を見出し 発見する方法が必要。 (チャート式の数学参考書を持ち出し例示した説明に 妙に納得した。)  ヒューリスティックとは そうした掴み処の無いふわふわしたものを捉え 一定の方向性を求めなければならない時に使う思考様式の総体。 また ヒューリスティク思考の陥りやすい過ちについても広く言及している。 

  私の周囲には アルゴリズム思考は得意な人は多く居るが、ヒューリステックな思考が出来る人 得意な人 あまりお目にかかったことが無い。  


  この本は、途中から難しくなります。 
難解なところは飛ばし読みするか、落ち着つける時にじっくり読んでください。 



■■■■■ 2007年7月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■もう 国には頼らない
  渡辺美樹氏  日経BP 

  外食事業から 学校 病院 介護 環境・・・色々な事業に展開するワタミグループのCEO 渡辺氏の主張。  今年の春 未来の市場 ブルーオーシャンは 医療・健康・介護・福祉・教育・環境・食料 に技術革新のWave を と考えていた。 驚いた事に彼が手がける領域とよく似ている。 しかし これらのビジネスはどれも公共性・社会性の高い事業であり 公・官主導で進めてきた事業、 それが元になった障害もたくさんある。 公の仕事に関わる人の心には お金は汚い 経営は卑しい という観念がある。 公の事は官主導で 利益という概念から遠く離れた感覚がある。  しかし 経営破綻したり 経済的な問題以前に 真の事業意義と現実の乖離等 幾多の課題を抱えており 民間企業の経営感覚が必要・・・と著者は言う。  

  渡辺氏の主張は、クロネコヤマトの宅急便の開拓者で ヤマト福祉財団の理事長でもあった 故 小倉昌男氏の考えと とても良く似ている。 生前 小倉氏は福祉の現状を以下のように語っていた。 福祉に関わる多くの方は 福祉事業は崇高なもの 美しいもので お金は汚いもの と思っている様だが それは間違いだ。 お金は汚いものではなく 事業を進めるための道具に過ぎない。 そうやってお金を遠ざけては 長続きする福祉事業は成り立たない。 可能な限り 社会の経済活動の輪に参加出来るようにし、彼らが生活に足る収入を得るようにするのが、真に彼らのためなのだ。 彼らは 誰かの役に立ち 喜ばれ 生きていく自信や喜びを持つことができる。 かわいそうだから 公のお金で面倒を見てあげるという発想でなく 可能な限り 彼らの自立を考えて 具体化することが真の福祉ではないだろうか・・・そういう趣旨の話だった。  今から10年近く前 小倉氏 本人から 直接 お話を聞ける機会があり・・・そのようにお話されていたと記憶している。


  介護・福祉の外から その世界を見ると 辛さ 理不尽さ おかしな処が見えてくる。  サービス利用経験の無い人に 言葉を尽くしても 到底理解できないかも知れない。 渡辺氏が言う たくさんのありがとう をいただけるような実態ではない事も多いのだ。  ( 頑張っている 多くの人がいる反面 妙にプライドが高く どこか 高い処から見下ろして・・・してあげている・・・という 利用者・家族の気持ちを封じるような圧力を感じる。 介護・福祉の方よりは 看護・医療を軸とした方にその傾向は強いのかも知れない。 )



■■■■■ 2007年11月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■環境問題はなぜ嘘が まかり通るのか 1・2
  武田邦彦氏  洋泉社 

  姿を消した 街のちり紙交換のおじさんは どこへ行ったのか???  
40〜50年前までは 何処の町にも廃品回収業者が居て リアカー引いたおじさんが 各家庭を回っていた。 新聞・雑誌・ボロキレ・金属類をまとめて渡すと 廃品回収のおじさんが分別して経済的にリサイクルしていた。 廃品を出す人は分別する必要も無かったし 幾ばくかのお金になった。 廃品回収業者は民間で、トーゼン税金も使っていないし お役所も関与していなかったが 
今 環境という旗印のもと・・・リサイクルのため 役場が関与し 税金使って会議を招集したり 回収容器を用意したり 分別収集の仕組みを運営している。 地域住民は 分別収集に立会い等の勤労奉仕が増えている。 その上 分別回収した廃棄物がきちんとリサイクルされていない現実や リサイクルするとかえってエネルギーを使ってしまい・・・環境負荷が大きくなってしまうなんて・・・・? !  
  税金も公の機能も使わずに 民間業者がきちんとリサイクルの輪を回していた部分だけでも 昔の仕組みに戻せないものだろうか・・・。 もう国には頼らない・・・渡辺美樹さんの主張と同じく 公共性の高い事業こそ役所がやってはいけない事で 民間の経営センスで事業化を進める必要があるようだ。

  リサイクルは 本当にエコロジーか?

  ダイオキシンは 本当に猛毒なのか?
 

次から次へと飛び出す  えっ そ〜なの?  環境にいいと思って行動した分別収集は・・・何だったの?  恐れ入りました。 報道や一次的に見える姿を鵜呑みにしてはいけない・・・疑ってみるべき・・・それによって誰が利益を享受しているかを見ると 本当の姿が見えてくる・・・なるほど おっしゃるとおり そういう見方は必要ですね。 著者の武田さん 教えてくれてありがとう。      


■驕れる白人と闘うための日本近代史
   松原久子氏著   文藝春秋刊

  本文の冒頭 15ページに記載された一文は 本書の言い分を物語っているので 引用させて頂く。
社会の生命力は 自己のアイデンティティーを失うことなく また余分なマイナス要素を取り入れることなく 他の文化を充分に借用する能力に最も明白に示される・・・ 借用する事は カルロ チッポラによれば 良い事なのである。 ただし 借用するのがヨーロッパ人であれば・・・である。 ヨーロッパ人が他民族、他文化圏から何か役に立つものを取り入れれば、彼らは自分達がいかに文化的に開かれ、受容能力があるかを誇らしげに語る。 そこに何かを付け加え成功したならば 独創的だと評価する。  ところが もともとヨーロッパの発想であったものを どこかの国で、例えば日本が借用し、応用した場合には、 この独創的・・・という言葉はまずつかわれない。 私は ヨーロッパの内容豊かな独創性に疑いを抱くとか、ましてや過小評価する気などさらさらない。 ヨーロッパは間違いなく、その優れた独創性を賞賛されるに値する。 ただ 私が不思議に思うのは、ヨーロッパ文化の体面を顕示する際の、あのバランスの欠けた態度である。 自分達が 自分達だけが 独創的なのだと主張するあの断固たる態度である。 その態度が 私にはどうにも我慢できないのである。  

   この本を眺めていて 感じるのは 議論の材料は多面的で豊富な方が良いという事だ。  何か物事を決めるにしても、自分の理解能力の範囲で 大切そうな情報を できるだけたくさん選択して取り扱い 個々を勉強し 相互の関係を研究し そうした中から 一定の見識に沿った結論を出すべきだと考える。 そうして磨かれた仮説を持ち寄り 材料として 初めて議論らしい議論ができる・・・というのが私の考え方である。  しかし こういう論理で、お話を展開する事は話が長くなり ともすると 判りやすい三段論法や 丁々発止の議論に慣れている人にとって 何が言いたいのか判り難く 高度な理解力が必要になってくる。 たくさんの情報を扱う事は、現代流の直線的で判りやすい議論にそぐわない事が多い。 いや そういう議論を習い性としていないだけかも知れない。  (逆に判りやすい議論には 騙し・誤魔化し・省略・飛躍・無理・感情が含まていれる。) 

  世の中の大概の事は同時並行的 かつ部分的に独立的に またある時は相互関連して 複雑に進行している事に着目して 情報を集め 整理・分析し 相互の関連性を考え 結論を導く中から得られる仮説を基にした議論。 これは対象を観察しサーベイし 対象を観測するのに適したパラボラアンテナを作り 観測・研究をする事に似ている。 客観的で 科学的で 合理的である。  このアプローチを 科学的・パラボラアプローチと呼びたい。 多少 手間はかかるが 効率的・効果的な議論と結論を導く良い方法ではないだろうか。

   槍と盾をぶつけ合うような議論は、しばしば、直線的であり、シーケンシャル的である。 言葉のやり取りとか応酬は 時間という一本の線の上を流れるように一元的に進行するから 議論は判りやすいけれども たくさんの複雑な因子が絡んだ事象は扱い難くいのだ。  これをシーケンシャルアプローチと呼びたい。   またこのような議論がこう着状態になると 別の技法で相手に勝とうとする。 判りやすく手っ取り早いのは、相手を圧倒して その場の主導権を握る事である。  これは一対一の格闘的・武闘的であり 物事の本質であるとか 事実であるとか 最終的な成功のために考慮すべき多くの事柄はさておいて、相手が答えに窮するような一撃を たくさん放つことが出来ればよいのである。 もはや議論ではなく 相手に勝つ事を目的にした問題のすり替えであり 賢明ではない。  こういう状態に陥りたくないものである。

■世界と日本の見方
     松岡正剛著   春秋社    2006年12月 初版   1700円

  本文から引用・・・文化の柔らかいセンサ・・・
叔父は生まれつきの全盲でしたが 音によってかなり正確にモノの形を理解していたんですね。 ところが地下鉄は音がぐるぐる回っていて 形がまったく捉えられないと言うんです。
そのしばらくたって 音の達人の達人に出会うことが出来ました。 F-1の鈴木亜久里さんにいつも付いているカッコいい紳士がいたんですね。 F-1のレース会場に来るとピットの中で眼をつぶって ただ座っている。 いつもそうやって エンジンの音を聴いているんです。 何十台ものレースカーが一斉にエンジンをふかして爆走していく中で、亜久里さんの乗っている車のエンジンだけを聞き分けて 音によってエンジンの調子を判断していた。 
ドアをノックする時 日本人はコンコンと2度叩く人が多いけど 欧米は違う・・・音の問題一つとっても ノックのの様な習慣によって我々の中に潜んでいる文化距離の問題もあれば 生まれついての能力や訓練によって獲得していく個人知の問題もあるんですね。 人間文化というのは大変多用な視点からかんがえなければならないわけです。

 亜久里さんが語る 極限のスピード F−1マシンを駆るときに 大切にしている身体が感じる意外なセンシングポイントの話・・・など 関係性を察知するための柔らかいセンサーの話など 関係性発見・編集工学者たる筆者の観察眼鋭く 興味深い指摘が多い。




■■■■■ 2008年1月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 


■大人の見識
     阿川弘之著    新潮新書   2007年11月 初版   680円

  吉田茂がマッカーサーに向って  GHQ とはどういう意味ですか?  と尋ねる。  マッカーサーは ジェネラル ヘッド クォーターノ略デ・・・ と応えかかったところに、吉田茂は Go Home Quickly かと・・・ 嫌な顔をする マッカーサー。   独特のユーモアセンス。

  第二次大戦 ドイツと対峙するイギリス軍将校。 寒くてかなわないので禁止と承知で シェリー酒を飲んでいる処へ 大佐がやって来た。 シェリー酒のビンに 慌てて蝋燭を立て燭台にして誤魔化す将校。 大佐は黙って通り過ぎて行く。  ホッとする将校。 数週間後 帰国休暇でロンドンへ。 将校クラブに行くと 件の大佐と再会し バーに誘われ シェリー酒で乾杯したあと 大佐曰く 君 このシェリーは 蝋燭り匂いはせんよ。 塹壕でシェリー酒を飲んだことを くどくど叱られるより 100倍こたえる・・・。

日本人には 充分知識(Knowrledge)はある  足りないのは 智慧(Wisdom)である。

ユーモアには いくつもスタイルがあるが 共通しているのは・・・一旦 自らを状況の外に置くこと。  対象にのめり込まずに距離を置く 人生の不条理や悲哀を鋭く嗅ぎ取りながらも それを よどみに浮かぶ泡沫とと突き放し 笑い飛ばすことで 陰気な悲観主義に沈むのを退けようとというのだ。 

以上 本文から引用。   直球だけでなく 身に付けたい癖珠である。 



■食品の裏側  みんな大好きな食品添加物

     安部 司 氏    東洋経済新報社  2005年11月 初版
  食品添加物のプロが書く 脅威の食品添加物の世界。 光と影。 食品添加物の力で いかに安くて 日持ちがして 値段の割りに美味しい食べ物が作られているのか?  それは同時に 作った人が食べたくない食品 自分の家族には食べさせたくない食品なのだ。 便利さ手軽さと引き換えに ものづくりの現場・職人さんの知恵・工夫・努力がいとも簡単に 安易に 破壊されていく。 


■農業と食料の仕組み
     藤岡幹恭氏  小泉貞彦氏    日本実業出版社  2007年11月 初版

  (カロリー換算)食料自給率が 4割を下回った日本とは・・・。 日本が依存している輸入食糧市場は、異常気象 環境破壊 エネルギー問題 中国・インドの経済成長 等の複合要因で 薄氷を踏むような状態。 フードマイレージ バーチャル ウォーターなどで また日本が攻められる日が近いのかもしれない。 一方で荒廃著しい 日本の農業。 日経ビジネス誌によると 米処 新潟県魚沼産コシヒカリでも 一俵 2万円 というのに 18万円の値が付く米を作った人がいる。 中国でも 日本の美味しいお米は高くても売れるそうだ。 日本は 従来の二次三次産業重視から 多少一次産業に機軸をシフトさせたほうが良いのかもしれない。

  豪州は大干ばつ 水不足の中国 アメリカ穀倉地帯はバイオフューエルフィーバーで作物転換・・・しかしどうもロッキーの伏流水は使いすぎで減少しているらしい。 日本の国際競争力低下 BRICSの台頭 買い負ける日本。 こんなクライシスを目の前にして 国内の農業の実態はどうなっているのか?  自給率40%というカーテンの向こう側を少し覗いて見ましょう。 破綻寸前の農業 農政  破綻した後の食生活が見えてきます。 

  安さを求めるのは自然な心理。 しかし 人は購買者であると同時に生産者でもある。 安さを追い求めすぎると 生産者としての自分のモチベーションは上がらなくなってしまう。 美味しいもの 身体によいものを作っても 良さを認めてもらえる 適正な価格で取引されないと 消滅してしまう。  

  バターが不足して 街のケーキ屋さん 洋菓子屋さんは 大わらわ。 牛乳の供給量が少ない? では なんで牛乳の供給量が減ったのか?  水より安い牛乳って・・・作っている人はどう思う?  作る人が意欲を失うような価格担っていませんか?   スイスの牛乳は何故美味しい?  日本の牛乳は何故美味しいものが少ないの?   タイやミャンマーで食べる野菜は味がしっかりしていて美味しいのに 日本の野菜は味が薄く感じるのは何故? 野菜や牛乳だけでなく お米だって お肉だって 安心で 美味しければ 少々高くても買いますよ。  生産者の努力に 正等に報いる気持ちがあるんです。  そういう選択権は 主権者である国民生活者の権利として 確保していきたいと思います。

正直な話 一日2000Kcalの食事を試してみたら・・・想像以上に辛いものだった。 もっと大事にしましょう・・・日本の農業。



■■■■■■ 2008年2月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 


■ほんとうはこわい「やさしい社会」
      森 真一氏             ちくまプリマー新書
  やさしさを追い求めた結果 手に入れた社会とは やさしいが故にキツくてこわい社会。  心が傷つくのは良くないこと・・・やさしくする事で 滑らかな人間関係を保とうとするけれど・・・ここに二つの考え方が存在する。  傷つけてしまったことを 謝る事で癒そうとする人 と 相手を傷つけそうな事を避け 予防する人。 近年増えているのは後者。  誤るぐらいなら そんな事しなければいいのに・・・という台詞は 後者に属する考え方だそうだ。 謝る事で癒せる・・・人間関係を円満に保とうと思って謝っても 相手が 謝るぐらいなら  相手の嫌な事は配慮して 避けるべきでしょ・・・相手の事考えて行動してよ・・・  こんな行き違いでは 円滑な人間関係は 見果てぬ夢なのかもしれません。  気配り 思いやり 相手の嫌がりそうなことを危険予知しなければならない やさしい 社会とは ほんとうは厳しい社会?

 この二つの考えは 意外に 相互理解ができていないのでは・・・。


■キレる大人はなぜ増えた
      香山リカ氏          朝日新書
   突然キレる・・・ キレるようなTPOではないのに・・・ 昔なら 思慮分別を極め 大人の振る舞いができた年なのに・・・ 自己主張を履き違えた 病的 非常識 エリート・・・ 仕事中だけ うつ・・・ 一見奇妙な話が続くけれども 気がつくと 身の回りには似た事例がたくさん・・・。  怒りを抑えられない人の特徴は ・・・


■食料の世界地図
      エリック ミルストーン & ティム ラング    丸善    2600円
   社会科の地図帳の様な ムックスタイルの本。 地球上の食の分配 食料生産の環境 フードマイレージ 水資源 バーチャルウオーター 食品添加物などの周辺問題 様々な課題が 判りやすく並ぶ。  

■水の世界地図
      ロビン クラーク  & ジャネット キング   丸善      2600円
   社会科の地図帳 水 バージョン。 水が大切な資源であることを再認識。 高いと嘆く ガソリン一リットル150円。  500mlミネラルウオーター 120円。   水は ガソリン以上に高価な資源なのだ。  天然水と称して 地下水を汲み上げる企業。 ビッグビジネスになった水ビジネス。 税金を取ろうとする地方自治体。 水は誰のもの? 地下資源は 原油と同じように 広く考えると その国の国民のものではないか?  輸出して利益を上げるのは理解できるものの 国内ビジネスにしたり 税金の対象にする事に 妙な気分がするのは何故。 

    


■■■■■■ 2008年4月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 


■悪夢のサイクル
      内橋克人   文藝春秋   2006年10月 初版  1429円
   新自由主義・・・ネオリベラリズム循環。 バブルと破綻を繰り返す中で 共同体を破壊し 人々の心を狂わせる「悪夢のサイクル」なのだ。  どこかの誰がが操作しているこの世の中・・・きっとどこかで誰かいい思いをしている奴がいる・・・ どこかの誰かとは だあ〜れ・・・。  バブルのメカニズム 規制緩和 金融ビックバンは何だったの・・・?  大手金融機関の破綻 ボロボロの会社を安く買って ラベルを変えて高く売って 儲けたのは誰???  勝てば官軍 負ければ賊軍 悪役に仕立てられた企業と責任者 それを叩く同胞 冷ややかに見る同胞。 しかし 同じ仲間の資産を安く買い叩き 知らん顔して儲けた胴元は誰・・・ 目の前で演じられる舞台芸能の裏の真意をきちんと視てみましょう。 大切な次の世代のためにもね。 



■利他性の経済学
 
      舘岡康雄   新潮社     2006年4月  初版  2800円
   利己主義の反対側の利他主義。 物不足の時と物余りの時では 経済的・合理的にしくみが違う。 物が不足しているときには やらなければいけない事がはっきりしているから・・・大きな組織 大きな資金力 大きな設備で 上意下達のヒエラルキー組織・軍隊組織がよい。 しかし ものあまりの時になっても そういう方法から抜け出せないから 日本の経済は閉塞感に包まれ なかなかブレークスルーできない。 そこで考えてみませんか・・・利他の経済。 管理の終焉 支援の始まり。 

アメリカの孤独な老人達を見たときの マザーテレサの言葉・・・ インドの飢えや死病に取り付かれた人を救うことは、モノに満たされ 病気も無いこれら老人方の精神的孤独を救うことに比べたら よりやさしい事のように思われる。

閉塞感に包まれた日本の経済産業界・・・従来のパラダイム・・・大きい事が強みにならない 資本力や設備の大きさが武器にならない。  突出する技術力も 横の融合性が脆弱で 新しい用途を考える事を怠ったり 柔軟に展開できないのでは アキレス腱になる。表現は悪いが 目標の定かでないゲリラや 見えない敵が相手では 正規軍はなす術が無い。  一人ひとりの能力を高め 変幻自在に情報をやり取りし 面白い相手と手を組み 支援し合う 動きながら考え変化していく パラダイム。  従来のヒエラルキーとか組織では対処できないのだ。

食の信頼・安心・安全がゆらいでいる。 この解を考える時・・・利他性がキーワードになるかもしれない。 自然科学と社会人文科学の接点で 解決法を探りましょう。  (公開講座で聴講した某国立大学 大学院の教授の言葉・・・。)




■■■■■■ 2008年4月 A 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 


■裸でも生きる
      山口絵里子   講談社    2007年9月 初版   1400円
   情熱大陸でオンエアーされた 著者の始めたビジネス・・・ご存知の方も多いだろう。  
彼女は 目隠したまま疾駆する駿馬の様だ。 壁に衝突するまで全力でまっすぐ走り続ける。 衝突して怪我しても壁を越えようとする。 満身創痍で 号泣しては 考え 次の道を探し出す。 自分自身を納得させるものを見つけるまで手を緩めることなく探求する・・・ピュアで 不器用で ステキな人。 そういう行動の中から 少しずつ 納得できる人と出会って行く。  幼子が転び 泣きべそをかいていると思っていたら 次第に力強く歩き始め・・・ あっという間に 群れ集う人たちを追い抜き もりもりと 突出した力をつけて行く。 

口数の多い人に比べて 寡黙な人は理解されにくい事が多い。  多くを語らず 人差し指を自分に向けて 自分自身の中にある深い井戸の底で こんこんと湧き出す水を せっせと汲み上げる様な人に出会う事がある。  若々しいエネルギーに満ちた 短期間に伸びる力 どんどん何処までも伸び続ける力から 閉塞感という雲をブレークスルーする爽快な魅力を感じる。。。    




■■■■■■ 2008年5月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


■不幸にする親  人生を奪われる子ども
    ダン・ニューハウス著   講談社   2008年1月 初版   1400円

  子どもを支配する親・・・もちろん良かれと思っての事なのだろう。 それは その子どもが成人した後も ひの人の人格・考え方・行動に影響する。 支配・コントロールには色々な種類がある。 かまいすぎて子どもを窒息させる親 子どもの幸せを取り上げる親 完全主義の親 常に自分の都合が優先する親  虐待する親 ・・・。  意識の中に沈み込んでいる事を気づき 気をつけることができる。 子どもを持つ者として 人を指導する者として 眼を通すことを薦めたい。  人と関わることなく社会に生きることは出来ない。 人と関わる時 いつも心に留めておきたい。
 



■■■■■■ 2008年6月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■町人学者 産学連携の祖 浅田常三郎 評伝
   増田美香子/編 板倉哲郎 更田豊治郎 住田健二 北川通治 岡田健 各氏共著
           毎日新聞社   2008年4月 初版発行   1600円

   ソニーの創業者 故盛田昭夫氏の自伝 Made in Japan の中にも登場する 大阪帝国大学の実験物理 教室 浅田常三郎教授。  偉大な おもろい なにわのおっさん物理学者。 困っている教え子に 色々知恵を貸し 偉ぶらなくて いいなあ こういう人。  浅田先生にしても 南極越冬隊隊長・QCの大家 西堀栄三郎先生にしても 関わった人を大きく育てている・・・ 人を残した数少ない上農の人。


■老人ホームをテストする
  岡田耕一郎 岡田浩子 著  暮らしの手帖社  1700円

  見た目ではわからない 老人ホーム。 入れ物が立派でも 支えているのは働く人。  定着率が悪ければ ノウハウが蓄積できない悪循環。 やる気があっても 疲れ果て 燃え尽き去っていく人。 みんな いつかは いつか行く道 きちんと考えてみたい。


■土壌の基礎知識
  前田正男 松雄嘉郎 共著  農山魚村文化協会  1974年12月初版発行  1330円

  土に苗を植えて 太陽を浴びて成長する作物。 家庭菜園を楽しんでいる割に 土の中の事はあまりかんがえていなかった。  何故耕すのか 何故石灰を撒くのか・・・。 微生物や細菌の働きで 土は酸性化したりアルカリ化したり。 根から必要なとき必要な栄養が吸収できるようにする・・・そのためには 植物の事 土の事 微生物の事をもっとしらないと。  土地勘の無い本は 最初は読む速度が上がらず苦労する。 この本はその点 近年のチャンピオン。 三ページ読んでは あれ なんだっけ・・・っと 最初に戻り 五ページ読んではまた振り出しに戻る。 

もの言わない植物 かれらにとって 最適な環境がつくれたら 収穫はもっとふやせるかもしれない。 地球の食糧危機を救えるかもしれない。 バイオ燃料も現実味が出てくるかもしれない。  これから知能・技術は この方面に集中るのがよいかもしれない。 農業でも 日本の技術を世界の人に届けたい・・・貢献したい・・・にっぽん。

2005年に 第66刷が発行され 30年以上に渡って出版されているロングセラー書。


■日本の統計  世界の統計
    総務省統計局発行   2008年 3月   1800円

  統計は 背景とか意味を考えながら読むと面白い。 
日本では・・・台風の被害より大雨の被害の方が大きい。 一年間に交通事故で亡くなる方と うつで自ら命を絶たれる方が ほぼ同じである。  交通事故で亡くなる方は 歩行中で 道路を横断するときが危険。 50歳以上が危険で 恒例の場合 左から来る車にぶつかる事が多い。  火事の原因 2割が 放火と放火の疑いによるもの。  放火は11月12月2月に多い。 夜中の一時と明け方の四時がピーク。 


    



■ビミョ−な未来をどう生きるか
  藤原和博 著    ちくまプリマー新書  2006年1月初版  740円

  単独で存在するものではなく 関連して存在するものとして捉える・・・ストライク。 
納得に行く仕事はパワーがもらえるし クレジットが貯まる。 反対に 納得の行かない仕事は クレジットも エネルギーも失ってしまう・・・ ストライク ツー。 
情報処理能力 と 情報編集能力 の違いは・・・ ジグソーパズルとレゴの違い。 情報処理力・・・決められた世界観の中でゲームをする時 いち早く正解を導き出すちから。 情報編集力 身に付けた経験と知識と技術を組み合わせて 人生を切り開いていくちから。 ストライク スリー。  

たくさんのストライクが並らぶ 藤原和博校長先生 6時限の授業。 


■■■■■■ 2008年7月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■味方を増やす技術
  藤原和博著   ちくま文庫  2002年1月 初版  580円

  味方を増やす ≠ 誰からも好かれる。  
どーでもいい人から距離を置いて 大切な人と密度の高いお付き合いをしましょう。 一緒に居ると元気がなくなってしまう・・・エネルギーを吸い取られる人から離れましょう。 

心の傷・・・だれしもが持っているトラウマ。 これとどう付き合うか。 スターリンやヒットラーのような残虐な独裁者は 幼い頃 父親の愛情を受けず 強く憎む傾向が共通する。  ミソジニストと呼ばれる 心の底にある女性への恐怖心から 普段は魅力的な男性なのに 何かのきっかけで暴力的になる人。  反対に エジソンやジョンレノン シャガールのように 自らのマイナスの経験やコンプレックス・アンバランスを才能に変えていく人。 
人は 失ったものをばねに生きている・・・印象的なコメントに・・・拍手。

我を通せば それが理にかなっていたとしても おおかた嫌われる。 しかし 本来 我を通すと言う行為は 自分に素直に 子どものように生きる事を意味している。  個性がある 主張がある人の コインの表と裏。 ・・・座布団一枚。

大きなイベント・・・俺がやった・・・何をしたの・・・プロデュース・・・カタカナで誤魔化す ヤッタノワタシ星人。  
一度しかあった事が無くても あいつを知っている・・・ あいつの面倒を見た・・・お友達になってしまう。 
よろしくね 頑張ります を多用する人 頭文字をとって ヨ-ガ星人。
うわべだけ調子いいけど 実際こちらのいう事を真に受けているかわからない人・・・上書き保存族の仲間。
ブルーだとかホワイトだとか 現場で働いている人たちを色分けしたがる アパルトヘイト星人。
色づけされた権威を極上のご馳走として生きている。 
肩書き好きな ヤクショク星人。  相手の会社のランキングがわからないと仕事ができない メイガラ星人。 会議中毒のカイチュウ星人。 ヒョウロン星人。 ギジ星人。 面白い分類と藤原流学名が並ぶ。  付き合っておいたほうがいい人としてあげている ギジ星人の中の亜種の記述は 天晴れな慧眼 お見事な指南。 

ルールを守らせ 枠からはみ出さない人を求めながら・・・同時に 個性をという矛盾・・・など 藤原さんの本は たくさんの指摘がちりばめられている。


■お金じゃ買えない
  藤原和博著   ちくま文庫  2002年1月 初版  580円

  新聞とテレビから逃げよう。 
いつ頃からだろう テレビを見なくなったのは。 いつ頃からだろう 毎日新聞を読まなくなったのは。  新聞やニュースキャスターから距離を置いてみると 見えてくる世の中がある。 新聞もキャスターも 事実をある意図で語っている。 鵜呑みにするつもりが無くても そういう情報に漬かっていると知らず知らずに 頭が占領され 麻痺して 判らなくなってしまう。 

  履歴書を書こう。
××に参加した ××を推進した という主体的のようでいて 何をしたのか良くわからない曖昧で便利な日本語・・・ 英語の履歴書で求められるのは 何ができる人か・・・何をしてきた人か・・・  参加した 推進した 関わった という言葉は通じない。 新しい商品の企画なのか 設計なのか 先輩の開拓したスポンサーを引き継ぎ 更に拡大したのか。  ○○株式会社 △△部 部長 とか 課長 という肩書きは もっと通じない。 裏を返すと 曖昧な表現が幅を利かせ通用するのは 日本は 何もしないで やったような気になっている人が多いのかな。 みんなで少しずつ お神輿担いだり お手伝いしたり 踊り踊ったり 屋台やったり 周りではやし立てたりする 祭りは皆で盛り上げるもの・・・日本の仕事の意識って お祭りに近いのかな。

  誰とも違う人生。
印象に残る一文・・・本文から引用させていただきます・・・

よく適応しているという意味で正常な人間は、人間的価値については しばしば 神経症的な人よりも いっそう不健康である場合もありうるであろう。 彼はよく適応しているとしても、それは期待されているような人間に何とかなろうとして、その代償に彼の自己を捨てているのである。 こうして純粋な個性と自然性とはすべて失われるであろう。 これにたいして 神経症的な人間とは、自己のためのたたかいに けっして完全に屈服しようとしない人間であるということもできよう。 自由からの逃走・・・エーリッヒ フロム著

適応すやすいか 適応しに難いか・・・という点。
一人でいる事が苦にならない人 好きな事に没頭すると 時間を忘れて 自分の世界にのめりこめる人 自分の中の井戸からせっせと水を汲み上げることができる人・・・ 周囲から天邪鬼に見える・・・  適応し難い人の一つの特徴かもしれない。 強い個性と面白い意見を持っている。  しかしながら 癖が強く使いにくい。 
適応しやすい人・・・ 集団で居る事が好きな人 一人は寂しくて嫌な人 一緒に居る安心のために 自分を抑え 相手にシンクロする事が 苦にならない人。 こういう事を習いとしている人に 個性的な尖った意見を期待する方が間違っている。 マスゲームや集団農耕をするのに向いている。
人材登用の時 よく見ておきたい点である。
時代は成長から成熟へ 成長期には 多くの人の目標が似ているので、後者でいる事が みんなの幸福につながることが多かったけれども、成熟期にあって 一つ一つのマスは小さいけれど 多用な価値観が並列する時には 前者に軸足を持っていくことが望ましいのかもしれない。

  時間・・・一期一会
今 目の前で会っている人との時間は 二度と訪れない。
この一瞬は永遠であり 永遠とは今このときの事・・・戦国時代は 死が日常・・・この一瞬を深く味わいながら 記憶の中に永遠に留めようと 真剣勝負の気迫が出会いの場をも支配しました。 この一球は絶対無二の一球なり・・・されば 全力で・・ たしか 庭球の心。 これに通じる 気 です。


  下り坂の無い人生
正規分布の様な人生曲線を書く人が多いのは、汚染されている。 同じように 計画を立てる時・・・今と未来を直線で結んで 日割して日程計画にする・・・ これも 汚染されている。  判っているようで 誰かから刷り込まれたレールの上を 無意識に歩いているだけではないのか。 よく考えたら そんな事はないかも知れないのに。 
イメージは大事で・・・イメージしたとおりに人はなっていく。  イメージは自由で 発想も広がるはず・・・なのに 知らず知らず 考えの最初から既成概念から発想している・・・呪縛。 だから新聞を読むのをやめたり テレビを遠ざけることに意味がある。

  10年後のために 今の一割を
10年先の事 3年先の事を考えて 今と関連付けて考えて 今を行動している人・・・たまに居るんですね。  賢くて 意思の強い人。

藤原さんの本 三冊 続けて読ませてもらいました。



      


■■■■■■ 2008年9月  追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■アメリカ下層教育現場  
    林 壮一 著     光文社新書  2008年1月 初版  740円

Life can be rough. Life can be devastating. But if you hang in there , you can still land that land punch to get you back on top. Boxing taught to me 'Never give up.'    ・・・ ジョージ フォアマン

セカンド チャンス を掴め・・・ 失敗しても 諦めずに努力していれば 必ず 次のチャンスがやってくる。 
教員の資格もない フリージャーナリストに 恩師から依頼されたのは アメリカの落ちこぼれ高校の非常勤講師だった。 彼らに語る ジョージフォアマンのメッセージ。 彼らと向き合いながら 自分の人生を振り返り 教えることが次第に自らが学ぶことに変わっていく。

人を育てることは 人と向き合うこと。  認める事 ルールを守らせること 押し付け無い事・・・  馬鹿にして 無視して 潰すのは簡単な事。  

20種類の誉め言葉を使い分けろ・・・と言われても 誉め言葉って そんなにあったけっけ。 


■命令違反が組織を伸ばす
   菊澤研宗著      光文社新書  2007年8月初版  760円

   日華事変・太平洋戦争を通じて 様々な指揮官の行動を分析。 
ものこどのとらえかたには、限定合理性と完全合理性がある。 人間の情報認知能力には限りがあり、そこで得た限定的な情報の中で合理的に行動する。 後日 失敗事例を分析するときの様な 全体を俯瞰したような完全合理的な物事の捉え方は出来ない・・・とした上で、その中にあっても 正しい命令違反と・・・ 


■生き物たちの不思議な超感覚
   森田由子著     Softbank Creatives  2007年7月初版

  鮭がふるさとの川に遡上する。 モグラが真っ暗な土の中で獲物を捕獲する方法。 人間の知らない生き物たちの不思議な能力。 人間の五感では捉えきれない 感覚。  かものはしの生簀に 誤って電池を落としたところ 電池に近づいてきた事から 微弱な電気を認識する感覚を持っている事がわかった。 それは 生物の運動時に発生する微弱な電気を感知する事で 獲物を認知する能力としてつかわれているなんて・・・知りませんでした。 神様の作った生物って すごい。


■葉っぱの不思議
   田中修著      Softbank Creatives 2008年4月初版

  植物は時間を正確に測っているんですね。 驚きです。 また 知ってるつもりの光合成。 水や二酸化炭素を取り込む仕組みまでは知りませんでした。 


■絵でわかる植物の世界
   清水晶子著    講談社  2004年4月初版  2008年3月 5版

  光合成や植物の事をもっと知りたくなって読みました。 カルビンサーキット 高校の生物を思い出しました。 二酸化炭素が地球温暖化に影響していると声高にいわれる中 炭素を固定する機能を担う生物 科学技術が進歩しても炭素固定すらままならない現在の技術。 まだまだ たくさんやることがありそうです。 
 (温暖化と二酸化炭素の因果関係は説明し切れていませんし 太陽の影響もあるようです。 ) 


■貧困大国アメリカ
    堤 未果著   岩波新書   2008年 1月初版  2008年8月 15版  700円

  出口をふさがれる若者たち・・・ 市場原理と競争原理を導入した教育改革と 軍のリクルート活動の関係をご存知の方も多いだろう。  ハリケーン カトリーナの被害を拡大させた政府機能の民営化。  貧困児童に肥満児が多いのは何故。   ネオ リベラリズムが生み出した現在のアメリカは これほどひどいのか。 ある意味 新自由主義の象徴ともいえる 証券業界・リーマンの破綻。 アメリカはどこへ行くのか?   
お薦めの一冊。


         




■■■■■■ 2009年3月  追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■光合成とは何か 
     園池公毅著   ブルーバックス  2008年9月 初版   940円

 知っているようで 知らないことだらけの光合成。 21世紀の技術をもって 光合成プラントを実現させることはできるのかな。  光合成の科学  東京大学出版会  2007年6月 初版 3800円  と共にお薦めです。 


■フードセキュリティー  
    レスター ブラウン著
 
 大きな文字で読みやすいけれど・・・何か物足りない。 この本の主義主張と統計データで事実と対比させながら読むことをお薦めします。 この本が 語り飛ばしている行間が見えて来ます。 


■もう一つの日本は可能だ
    内橋克人著    文春文庫   2006年12月初版   543円

 悪魔のサイクルの著者が語る ネオリベラリズムに対する反論・警鐘の書。 


■バフェットとゲーツ後輩と語る
          センゲージ ラーニング    2008年6月 初版  1785円

 ウォーレン・バフェット氏の母校で後輩の質問に応える彼と 彼の友人 ビル・ゲーツ。

バフェット氏は語る・・・
 
・自分の内側の得点に満足していれば幸せな人生を送れる。 外側の得点ばかり気にしている人は いささか空しい人生という事になるでしょう。  

・もし私が多数決で決断を下せば それは一般的な判断を行ったという事になります。 そういうやり方は投資には向きません。   誰も責任をとらない大人数から生まれた判断は 優れたものになりません。  ビル・ゲーツが 自分を理解してくれて、相談できる人の大切さを説いている姿と対照的。 

・自分にとってのヒーローと呼べる人物を持つと 自分がどういう方向に進みたいかというビジョンを その人物を通してみて行く事ができます。

・快く思わない仕事は引き受けたくないでしょう?  毎朝 仕事に出かけるとき ワクワクしていたいでしょう?  何でもいいから夢中になれるものを見つけてください。

・人に囲まれて過ごす人生で素晴らしいのは・・・・優秀な人に囲まれていると その人たちに倣って行動するようになる事です。

見開きで 英語と日本語訳の構成になっている。 DVD付き。  
日本語訳だけなら サクサク1〜2時間で読めます。
バフェット氏の味わい深いコメントに触れるにはいいかもしれません。 個人的には共感できます。


        




■■■■■■ 2009年5月  追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■新宿駅最後の小さなお店ベルク 
    井野朋也著   P-VIN BOOKS  2008年7月 初版  1600円

 新宿駅東口改札を出て 子供の頃から通いなれた丸の内線に続く地下通路を進む。 四十年以上前から続く有料の化粧室の先 左手に小さなお店が並んでいる。 いつからだろう ほの暗いけれど暖かい照明が店の外まであふれ出したお店・・・BERG という看板が気になりだしたのは・・・。 何か妙にのどかで暖かいオーラを放つそのお店に いつか入ってみたいと思っていたら ベルクの本で読むことが先になってしまった。 

本文から抜粋・・・
例えばパンを探すとき 市場に出ているパンを片っ端から食べます。 現在の状況を徹底的に調べる。 売れ筋 傾向 価格 味のレベルなど 総合的なリサーチ それを記録 記憶します。 でもその前に必ずやって置くことがあります。 イメージです。 自分が何をどう創りたいのか どんな味か どう出すか イメージするのです。 
とても大事な事を言ってます。

商品はインパクト・・・  自分達が食べたいを基準に・・・  業者になめられないぐらいの知識を・・・  知れば知るほど入店拒否なんかできない・・・  大企業が経済を麻痺させている・・・たくさんの自己主張が並びます。

成果主義の弊害かもしれないが 1990年代以降 すぐに成果の出そうなことしかやらない 地道に土を作るような基盤技術開発を置き去りにして 目の前の課題しか見ないようになってしまったのではないか。  先を見てビジョンを考えるよりは 目の前の仕事に没頭する事で 迷いや不安を振り切り 都合の悪いことは みんな他責にして。 そういう 思考停止社会への警鐘・提言に聞こえた。  

追伸・・・井野さんの主張をそのまま受け取ると・・・規制緩和は ベルクの様な中小店舗を締め出す方向に利用されているようだ。 きちんと利益を出せる 新しいビジネスを創出し続けるのは大変な事。 ベルクのように試行錯誤で頑張っている元気のある中小企業は 社会の研究開発費 と思って 減税したり のびのびやれるようになれば いいねえ。  

井野さん 頑張って。


■東急ハンズの秘密
     和田けんじ著   日経BP   2009年2月  初版  1400円

 東急ハンズは 東急不動産がルーツ・・・とは知りませんでした。  常識にとらわれないお店作りの源流を垣間見たように思います。  
東急ハンズは アイディア探しの店。 なんとなく こんな方向に興味とか課題があるんだけど 対象がどんぴしゃしないとき フラフラ歩き回ると面白い・・・。 へえ こんなものがあるの・・・ じゃあ こんな使い方が出来るかもね・・・とか 考えながら楽しいお買い物ができると 私の妻も大好きなお店。  毎回 新しい発見があるのだけれども 最近 そういう魅力が低下していませんか 東急ハンズさん。


   


■■■■■■ 2009年5月 A 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


■新版 石橋を叩けば渡れない
    西堀栄三郎著   生産性出版  1999年3月 一刷   1600円


  最近 西堀先生のお話をする機会がありました。 A社の化学繊維 ベンベルグの こわ糸 不良を解決したときのお話です。 長年直らなかった不良の原因をつかみ 対策を立て 製造特許までとる話なのですが・・・お話した後で 無性に 憎めない顔したあの親爺の話が聞きたくなりました。 矢も立てもたまらず amazonで取り寄せて読んだのがこの本です。

  京都大学助教授 東芝 南極観測第一次越冬隊長 登山家 雪山賛歌の作詞 チョモランマ登頂隊 品質管理の大家 生産性創意工夫研究家 枠に収まらない明治生まれの気骨人 絶対諦めない創意工夫の人。  生きているうちに会いたかった。 

  初めて行く南極はどんな所かわからない。 何をどれぐらい持って行くべきなのか まったく想像がつかない。 結局使わなかった資材もかなりあったが 反対に足りない資材もあった様だ。 出発直前の宗谷のキャビンで 何か忘れ物をしたようだが思い出せない・・・今ならまだ買いにいける・・・とウロウロ。  そこで彼は・・・

  これから先は 何が無くてもやていかにゃならん。 ひたすら創意工夫に頼るしかない。 と気づいたとたん気持ちがスーと落ち着いた。 

  と思ったそうです。  そして本当に彼は創意工夫で乗り切るのです。  段取り八分がしっかり出来ていれば・・・想定内のアクシデントは落ち着いて対処できます。 段取りをしっかりやっても 未知の事・・・開発行為には 想定外のトラブルはつきものです。 そういう時は 諦めず ひたすら明るく文殊の知恵を絞り 創意工夫です。  そういう時にヒステリックになったり 誰かを責めるようなリーダーは失格ですな。 

  諦めてはいかん。 ・・・とは 零戦パイロット坂井三郎氏も同じ事を言っています。 私が長年お世話になった会社の入社式 遠い昔の式典で 当時の社長が言われたのも 同じ台詞でした。 妙な成果主義がはびこって 目の前の事 課題が想定できる事 成果が出そうなことしかやらなくなった昨今、想定外の事態に対処できる人は どれぐらいいるのでしょうか。 目の前の確実な課題対処に手足を動かすことで不安を紛らわせ 不透明で不確定な未来を考えない。 何か問題が起こると他責にする。 そうした思考停止・責任転嫁社会が生み出した閉塞感をブレークスルーするには 想定外の事がたくさん起こる壁の向う側にチャレンジしましょうよ。  うろたえず 諦めずにしぶとく落ち着いて知恵を絞ることを忘れないうちにね。       きっと道は開けますよ。

   Mr.Yang. お薦めの一冊です。


■オトコの仮面消費
  大沼利広 編著   株式会社翔泳社  2009年 1月 初版  1500円

  景気後退の真只中 2009年4月のある日曜日 新宿伊勢丹に買い物に行った。 婦人服のフロアーやティールームには ちょっと裕福な家庭の御婦人が連れ立つ姿 ちょっとリッチな家庭の母親と娘さんの二人連れといった見慣れた女性客の姿が減っているようだった。 やはり 景気後退は伊勢丹にも押し寄せているのかと思いながら 別館のメンズ館へ行くと 若い男性の買い物客で ごった返していた。 オーダーシャツのフロアーでは 採寸待ちのお客は 携帯電話で呼出しますからと説明するほど混雑している。 地下の靴売り場はまっすぐに歩けないほど フィッティング中の人がいる。 一階の服飾雑貨も買い物客で混んでいる。 いったい何が起こったというのだろう。  そんな事があって この本が目に留まり読んでみると・・・いきなり登場するのが 伊勢丹のメンズ館の話題。   ビンゴですよ。

  車は欲しくない。 でも気に入った服や こだわりの品物には お金をつぎ込む人物像が垣間見えたような気がします。


■分散エネルギー
  井熊 均 氏編著   日刊工業新聞社  2004年 10月 初版 1600円

  分散エネルギー概要の書・・・右に説明文 左にグラフやイラスト 見開き毎に一テーマで 判りやすく、忙しい合間に読みやすい。  発電というものは 大規模化すればするほど効率が良くなるものらしい。 しかし遠くから運んできるとロスが大きくなるが そのロス分を差し引いても小型の分散発電効率では太刀打ちできないものらしい。 それほど 分散小型発電は効率が悪く高くつくようだ。  (大型発電所 発電効率50%  送電ロス9%  小型発電 効率 20〜40% )  燃料電池にしても排熱で給湯利用を加えてようやくとんとん。 太陽光発電は高くつくとの事。 無理して太陽光発電を普及させると 電力コスト負担は利用者に・・・。

■パーソナル分散型エネルギーシステム
  川崎亮 監修  伊藤義康編著   養賢堂  2005年 1月  初版  3000円

  分散エネルギーシステムの詳細が知りたければ・・・ 風力 太陽光 太陽熱 水力 燃料電池 熱電 圧電 エンジンなど 様々な小型分散発電の機構 発電規模と効率 特徴 などが説明されている。 



      


■■■■■■ 2009年6月 追加 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■知に働けば蔵が建つ
   内田 樹 著   文春文庫   2008年11月 初版   615円

  雑学とはすでに知っていることを取り出すことしかできない。 教養とは まだ知らないことへフライングする能力。 気づきとか知覚とは 知覚できるように下ごしらえしたものを知覚しているにすぎない。 

この本は書き出しからこうである。  気づいたつもりが 下ごしらえの範囲の中から気づいているに過ぎない。 気づきたいことをイメージして 下ごしらえしなければならないわけである。  判る人はわかる話。 さて実践できる人という事になるとどれぐらいいるのだろう。






遠くへ行きたい・旅物語
Travel to Myanmar
Mr. Yang. All right resreved .