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弥勒菩薩半跏像
広隆寺
赤松材、漆箔

『日本の美術』9
文化庁他監修N0.316 弥勒像
伊東史朗
至文堂 1992
P7

広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像

聖徳太子が推古11年(西暦603年)秦河勝に与えた
百済からの輸入像

胸部の木屎(こくそ)は脱落している。
漆箔も剥がれてしまった。


今現在は韓国中央博物館にある金銅仏を、百済王が赤松材を
用いて模写し、漆箔を施し、聖徳太子に贈与したのではない
か、と思われる。


当然のことだが、漆箔で再塗装して、聖徳太子時代の「光り
輝く美しさ」を再現しなければならぬ。修復作業とは、それ
がつくられた当時の美しさを取り戻すことである。塗装が剥
落した「滅びの精神」を美しさと誤解することは、製作者に
たいする侮辱である。