金 の 特 性
『広辞苑』岩波書店によれば、金という金属の性質は次の通りである。
・ 元素記号Au 、原子番号79 、原子量196.9665
・ 石英鉱脈または川の砂中に単体として産する
・ 重く柔らかで、延性および展性に富み
・ 空気中で錆びず
・ 普通の酸に侵されず、王水に溶ける
・ 比重は19.3
・ 南アフリカ、カナダ、ソ連などに多く産出
・ 黄色の光輝ある金属元素
とても重くて、とても柔らかい。金属の中では延性と展性がもっとも
優れている。木槌で叩けば、薄く薄く延びていく。化学反応を滅多に起
こさず、王水と称する濃硫酸と濃塩酸の混合溶液でしか溶かすことがで
きない。化学反応を起こさないから金の輝きは永遠である。変化するこ
とがない。
もっとも大きい特徴は、このように美しい金属でありながら、採集量
がとても少ないことであろう。一年間に僅かに2,500トンしか算出しな
い。日本での産出量は8トンである。
これまで人間の掘り出した金の全体量は14.5万トンだといわれている
が、その大部分は失われてしまっている。日本政府の所有する金の量は
2006年で、765トンだった。一位はアメリカ合衆国で8,100トン。国力と
いうものは所有する金の量に比例するのだ。
この金は世界のどこに在庫されているのか。アメリカである。ケンタ
ッキー州のフォート・ノックスの貯蔵庫に4,570トン、マンハッタンの連
邦準備銀行の地下金庫に5,000トン。世界の中央銀行の所有する大部分の
金はマンハッタンの地下金庫で眠っている。
画像:The U.S. Bullion Depository at Ft. Knox.
http://en.wikipedia.org/wiki/United_States_Bullion_Depository
では何故に地球上にこのような物質が存在する
のか、それは一体何処からどのようにもたらされ
たのか?
その答えを人間はもってはいない。人間は基本
的に、哲学的に「無知の動物」なのである。
ただ、「金」は美しいから、人間は古来「金」
を尊重してきた。